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SNSが結ぶ恋  作者: TERU
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第10話「本当の幸せ」

ついに付き合う事になった2人に、不穏な影がチラつく、その影は何者なのか?

正樹は真咲を守れるのか?

第10話「本当の幸せ」


「真咲さん、大久保君、この荷物ちょっと多いんだけど頼んでいい?」

「はい、中原所長!」真咲は明るく返事する。

「なんか最近機嫌がいいわね。何かあったの?」

「いいえ、な~んにもないですよ。」っと満面の笑みで答えて、荷物を運びだした。

「あれは恋ね!恋!」所長の一言でダンボールを抱えた大久保が固まる。

「そっそうなんですか?」突然顔を近づける大久保に中原はビックリする。

「ちっ近いわよ。」両手で大久保の顔を押し返して答える。

「女の感だけどね。分かるのよ。雰囲気が前と全然違う。今は何やっても楽しいんじゃないかな?恋する乙女ね。」

「そっそんな~~!」大久保はダンボールが急に重くなった感覚になり、そのまま床に座り込んだ。

「あ~ら大久保君は逆に失恋かな?いつもおめめがハートマークで真咲の後を追いかけていたからね~!まあ頑張りなさい、若人よ!」っと中原は昭和のお父さん的な発言をして、座り込んだ大久保の肩を叩きオフィースに戻っていった。

「真咲さ~~~ん!」涙目の大久保が大量のダンボールの中心で叫んだ。


「美佳、荷物運んできたよ~!」美佳が振り返ると大きなダンボールを抱えている真咲が満面の笑みを浮かべて倉庫に入ってきた。

「ありがとう。真咲。ごめんね。」

「大丈夫、こんなの軽いもんだから。」ドスっとダンボールをおいて答える。

「いや~軽そうには見えないけど・・・。」

「そうかな~?意外と軽かったよ。」真咲が笑顔で答える。

「恋のパワーは凄いよね。力までついちゃうんだから。」

「え~そんな事ないよ~!」っとニヤニヤしながら答える。

「そんな事あるでしょ~!よく20歳以上離れている人と普通付き合える?しかも遠距離でしょ?後々後悔するよ~!私には無理だわ~!」まさに正論である。

「そうよね~私もそう思うわ。でももう止められないかも!?なんか今、世界が明るく見えちゃうんだもん。いつも会えないんだけど、毎日ドキドキが止められないの!」

「はーもう病気ね。恋の病。はやく治るといいわね。とりあえず真咲が決めたなら応援するから。」美佳は恋する乙女に呆れなから答えた。



海が荒れている。大波により船が前後左右と大きく傾き、身体が飛ばされないように踏ん張るのが精一杯である。慌てて救命胴衣を着て舵を握り、転覆しないように波や風の方向を見ながら船を支える。

「ミスったな。今日こんなに時化るとは思わなかった。」そう言いつつ舵を握る腕に力が入る。

海ではよくある事だが、陸では快晴だが一旦海に出ると「波」が高く「風」が強い日がある。その為、船に乗る前には天気予報や天気図、潮流データ・風向データなどを調べてから出港するが定例だが、今日は漁協の会合があり時間が無く調べていなかったのだ。

「大きい船なら問題ないけど、こんな小船ならいつ転覆してもおかしくないな!?」そう言いつつプロッター(GPS)を確認して位置を把握して船を支えながら陸に寄せていった。


一旦、陸に近づくと波と風が徐々に収まり、岩陰を背に港に戻ることにした。

「ふー命拾いしたな~!」タバコに火を点けて、一息付いて舵を取った。

「こんな時にあの子の事が頭を過ぎるとは思わなかったな~!」

船が大きく傾き沈みかけている頃、脳裏に過ぎったのは真咲の事であった。人生のどん底に落ちて、死のうと思った事は何度もあった。その時に死に切れなかったのに、やっと見つけた運命の子に会った途端、死ぬのかと思うと自分のツキのなさにホトホトいやになった。

「でも助かった。」その現実に今は素直に喜んでいた。



「大久保君何しているのもうすぐ会議が始まるよ。」会議室に向かう中原が声をかける。

「あっ!所長!」慌てて振り返る。

「真咲の鞄を運んであげているの?あの子鞄までほったらかしで。」

「そっそうなんですよ。不用心ですよね。片付けておきますね。」慌てて真咲の鞄と荷物を運び出した。

「早く会議にくるのよ。」

「分かりました。すぐに。」大久保が慌てたように去って行った。


今日は1ヶ月ぶりのデートである。二人は土日に予定を組んで東京ディズニー・ランドとシー出かける事にした。中々定番過ぎるのだが真咲は大学2年の時にデートに行って以来5・6年は行っていないし、正樹に至っては10年以上行っていないのだから行きたいという事になり、二人で計画したのであった。お泊りデートになると日帰りデートと違い、お互いの付き合いも1段上がる事になるので、二人とも色んな意味で緊張していた。


正樹は待ち合わせ時間の「12時」より少し早めにJR舞浜駅に到着して真咲を待っていた。スマホでパスポートを確認してデートプランを考えていた。土曜日はディズニー・シーに行って日曜日にディズニー・ランドに行くつもりである。ディズニー・シーではお酒を飲む事も出来るので、夜料理を食べながらお酒を飲むつもりである。今日の為にディズニー・シー内の「S.Sコロンビア号」のプライオリティ・シーティングを予約しているのである。デートのプランを立てるのも楽しみな正樹であった。


「すみません。お待たせしました。」振り返ると可愛らしいワンピースにカーディガンを着た真咲が立っていて思わず“クラッ”と来た。ワンピース姿も可愛すぎる。

「いや~ちょうど今着いた所だから大丈夫だよ。」

「よかった。久しぶりのディズニーなので何を着て行こうか悩みました。」

「めっちゃ似合っているよ。」足元を見るとスニーカーを履いていたので、ディズニーを思いっきり楽しもうとする気持ちが伝わって、さらに可愛く見えた。

「本当ですか?よかった~!」真咲は素直に喜んでいた。

「じゃ~行こうか!」

「はい!」二人は目を輝かせて夢の国に入って行った。


「タワー・オブ・テラー」や「センター・オブ・ジ・アース」等、一通りアトラクションを楽しんだ後、二人は「S.Sコロンビア号」にて夕食を食べる事にした。タイタニック号に似させた外観や内装はアミューズメントパークとは思えないほどの装飾である。

「本当に美味しいね。」ワイングラスを片手に笑顔を見せる。

「そうだね。調べて予約したかいがあったよ。」正樹は得意げに話す。

「ありがとう~!また来たいね。」

「これから毎年来ようか?」

「えっ?うん。」正樹の何気ない一言に真咲は照れながら答えた。


食事をしつつ正樹は少しの違和感に気が付く、夢のテーマパークにいるのに“一人”で深々と帽子を被って食事している男がいるのである。その回りは“異質”な空間をしていた。家族連れやカップルが大勢いる店内ではかなり“異質”であった。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ。ただ食べているところも可愛いな~!って思って。」真咲に気を心配させないように笑顔で答えた。

「いや、やめてよ~!」照れながら答える。

ふと見るとその男が立ち上がるところをみて、正樹も立ち上がった。

「ちょっとワイン飲み過ぎたよ。トイレに行ってくるね。」

「顔赤いよね。」

「すぐに赤くなるんだよ。すぐ帰ってくるね。」


「すみません。少しいいですか?」トイレの中で男に話しかける。

「うわああああ」大声をあげて、座り込む。かなりビックリしたようだ。正樹の顔をみて余計にこわばる。

「勘違いかもしれないけどさっきから俺たちの事を付けてないかな?」正樹の言葉に男は青ざめた。

「やっぱりな。何の用かな。」正樹の強めの言葉に、観念したのか?うなだれるように頭を下げた。

「黙っていても分からないよ。」男の肩に手をかようとした瞬間、男は何かを振り上げた。

「僕の真咲さんに手を出すな~!」奇声をあげて振り上げた男の手には小さなナイフを持っていた。

慌てて正樹も脇の上から腕を押さえ動きを封じた。その手元を確認すると男の手にはナイフがあった。キャンプの時に使う折り畳み式のナイフのようだが人を殺すには十分だろう。

「ぐわ~!」正樹はそのまま流れるように手首と肘の関節を決めて、ナイフを離させ男の顔にパンチを繰り出す。男は便器に体を打ち付け悲鳴をあげてうずくまる。

「お前はなんだ?何故俺を襲う。何故真咲を知っているんだ!」ナイフを拾い上げ男の喉元にナイフを近づけて問い詰める。

「ひや~!」男は震えて声を出すことすら出来ない。その時点で小物と分かる。

「ストーカーか?この先、もし俺と真咲に何かあったら生きていけると思うなよ。」

「はっ!はい。」男は震えが止まらない。

「財布をだせ!」

「はい?」

「財布をだせ!」正樹の凄味に慌てて財布をだす。正樹は財布から免許証を取り出し財布を捨てる。

「大久保君ね。これは預かったから、何かあれば分かっているだろうな?」

「はっはい!」男は震えながら返事をする。

大久保の目を睨み恐怖心を植え付ける。それを確認した後、ナイフをポケットにしまい鏡で身だしなみを整えてトイレを去った。警察に突き出そうとも考えたがそうするとせっかくのデートが台無しになると思ったので、そのままトイレに男を捨てておいた。恐怖を与えておいたので、小物にはもう手を出せないだろう。後で、住所を調べておこう。そう思いつつ席に戻った。


「遅かったね。大丈夫?」真咲は心配そうにしていた。

「いや~久しぶりのワインで飲み過ぎちゃった。」っと取り繕ってみた。

「無理しないでね。」真咲の優しさに素直に嬉しかった。


「美味しかったね。」S.Sコロンビア号のエントランスを出て真咲が満面の笑顔を見せてくれた。

「本当、美味しかったね。」エントランスを出てアメリカンウォーターフロントの湖の前で園内の街並みを眺めながら余韻に浸る。

「ちょっと冷える?」そういうと正樹は真咲の頬に手を触れた。

「手が温かいね。」正樹の手を真咲が触れて照れた笑顔が美しく見えて、自然と唇を合わせていた。

真咲は驚いた雰囲気を見せたが、そのまま正樹の想いを受け入れた。

その瞬間、二人の目の前で花火が打ちあがった。時計を見ると20時を刺していた。

「ビックリした!花火が上がるとは思わなかった。」

「本当綺麗だね。」二人は花火を眺めながら、手を握りしめた。

「また来ようね。」

「うん」正樹の言葉に素直に真咲は答えた。




次回、第11話「Engagement Ring~婚約指輪~」






正樹はついに真咲に結婚を申込もうとしていたが、やはり自分の立場が二の足を踏んでいた。

そんな中、正樹にかつての部下から連絡があった。


次回、第11話「Engagement Ring~婚約指輪~」

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