テロ
私はシャルロット国に来る人皆にシャルロットと言う名前を与えた。男性でもシャルロットと名付けた。私はシャルルになれる男性を探してる。恋がしたいわけでもなく、子供や家族、結婚を望んでいるわけではない。シャルロットの男性系のシャルルと言うシンボルが欲しいだけだ。今の所、シャルルたる男性はいない。
そんなある日、私の母くらいの歳の男性が来た。路上生活を数年している男性だった。男性に無地の服を着せて、手錠をかけてご飯の時間以外は部屋を施錠した。暗闇の中、私や他のシャルロットの声が録音されてる音源をひたすら流した。ご飯を食べさせる度にスピーカーの数を増やした。日に日にたくさんの音が重複する。時々、電気をつけてサイケデリックアートをたくさん見せた。
「あなたはもうここには帰れない。シャルロット国以外は汚れてるのだから。外に出たらあなたを追いつめる人間ばかり。ここにいればそんなことない。」
私は男のシャツを脱がし、上に乗ってキスをした。男は感情のないロボットのように動けなくなっていた。私の手が身体中にのびる。男は私の言うとおりにして私を抱いた。その男との行為は終わり、一緒に夜を過ごした。その男の正体を分かってて私は近づいた。彼は私の実の父。赤ん坊の時に私を捨てた父。子供より母との夜に行う楽しいことをとった父。私は彼らの付属品にすぎない。嫌いでも好きでもなく恨んでもいない。一つ分かるのはシンボルにするほどの人間ではないことだ。
実の父を3人で別の部屋に運んだ。父はある台に拘束された。私は何も思うことなくただその様子を見ていた。麻酔をかけることなく父の男性器を切除した。父はひたすら痛がっていたが、私は助けようとも何とも思わなかった。嬉しさも悲しさも恨みも何も無かった。ただ何かが暴れているくらいに思った。シャルルになれない男性は、男性器を切除されてシャルロットになる。しかし実の父だけは麻酔も何もかけなかった。そうする必要もないと判断したから。
「ねえ、私あなたの当時のパートナー、イザベルの娘よ。名前すら関心なかったから気がつかなかったよね。今辛いけどこれから楽にしてあげるから。」
私はそんな言葉を吐き捨てて、その場を去った。彼はしばらくすると気絶した。しかし父は幸い生き残った。
今度は会社ばかりで人生に対して希望を無くした日本人の男性、自国の政治にかなりの不満を抱く中国人の男性2人、フランスに不法入国したパキスタン人の女性が来た。女性以外は3人まとめて暗い部屋に入れた。そして女性を一人暗い部屋に入れて拘束し、トリックアートが流れる動画をひたすら見せた。光ってないのに光って見える絵、回っていないのに回ってるように見える絵、吸い込まれるような絵がたくさん流れた。女性に夕ご飯を与えるタイミングで、銃声と小鳥の鳴き声が交互に聞こえるテープを繰り返し流した。トリックアートが彼女の視界に広がり、録音テープが部屋中に響き出す。
その頃、男性3人の部屋では彼らは拘束されていた。まずは3人の自慰行為を手伝った。そして彼らに白ワインを上からかけた。残ったのを飲ませた。その後、不気味な絵をたくさん見せた。夕飯は毎回彼らの大好物を出した。
「ねえ、これはあなた達がここに来なかった未来が描いてあるの。分かった?」
そして彼らを放置して部屋を出た。その後男性はシャルルになれず、シャルロットになった。
2週間後、女性と男性3人を解放した。
「ここから先は自由な世界よ。ある国では不法入国と言われているけど、シャルロット国には不法入国者は一人もいない。皆、特別な国民よ。」
日に日に規模が大きくなったので、シャルロット国の拠点がいくつか出来た。そんなに遠くないのでしっかり連絡はとれた。しかし外部からの批判の声がたくさん上がってきた。もちろんフランス以外から来てる人達も多かった。デモが起きたり、強制退去を命じられたがシャルロット国はそんなので崩壊はしなかった。
「君達、税金も払わないで何してる?そんなカルト団体に洗脳されて何してる?目を覚ませ。」
もちろんそんなことを言うとシャルロット国の国民の一部は凄い剣幕で怒った。
「皆、落ち着いて。私が彼らの話を聞くわ。」
彼らの言うことを何も批判せず聞いた。話してる間に抗議に来た何人かをスタンガンで気絶させてさらい、録音テープが流れる暗い部屋に閉じ込めた。残った人達がすごい大きな声で批判する。いやもはや彼らは受け入れる努力も出来ないから否定だろう。
「自分の住んでいる国々がまともだと?ちなみに先進国でまともと言う割に、家のない人、失業してる人、お金が無いのに根本的な救済をしないのがまとも?その割に食品を残したり、排気ガスをたくさん出したりするのがまともな国だと言いたいの?私達を危険な集団だと言うけど、そんなまともな人間なのかしら?」
「俺は何一つ間違ったことはしてない。」
ある一人の男性が返した。
「それどう言う基準?人間は所詮自分が一番可愛い。都合よく自分の犯した罪を隠蔽して自分は何もしてないかのようにお前は間違ってると説教ね。悪いことしない人間なんて一人もいないのに。国同士の戦争や人の喧嘩だって正義の押し付け合い。くだらなすぎて見る価値もないし、時間の無駄ね。」
ある日、お店を指定して実の父、シャルロットソレイユに買い物に行かせた。それはここから遠いパリのシャンゼリゼ通りの複数のデパートに行かせた。もちろんお金は私が出した。そこで小さな鞄を複数デパートに置かせた。鞄の中には時限爆弾が入っている。実父にも爆弾を密かに仕込ませた。爆弾が爆発すると、色んなデパートで多くの犠牲者が出た。死者の中には元父ピエール、母と父ジェラールもいた。もちろん実父もどこかに行ってしまった。その様子をカトリーヌの家に勝手に入り、テレビ越しで見ていた。そこには悲しみも達成感も何も無かった。
「ねえ、私あの時言ったよね。楽になれるから大丈夫ってね。もう楽になれたでしょ。」
テレビ越しの実父に言った。
一方国民の二人が私への忠誠心を見せるために、中学の時のクラスメートになりすまし、嘘のパーティーを計画し、元クラスメート数名を車にのせた。わざと事故を起こして、誰にも見つかりにくい所で全員死亡した。もう一人は遠方から操作していた。
「シャルロット、中学の時いじめたり、無視した奴らを数人始末しといたよ。」
「それであなたは忠誠心を私に見せたわけ?」
「あんな奴らが死んで、嬉しくないのか?」
「あなたは今から国から強制追放ね。もうようはない。さよなら。」
「何で?何一つ間違ったことはしてない。」
「くだらない忠誠心の競い合いは新たな抗争を産み出すわ。」
いつも通らない道に連れて行った。
「あの滝をよく眺めて。」
私はそう言ってその男を崖から突き落とした。あっという間に彼は死んだ。
「シャルロットクラージュはどこに行ったの?」
彼を心配する人がいた。
「崖から転んで死んだみたいよ。」
それに対し適当に答えた。
夜になって静かな眠りについた。




