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転生魔法女王、2度目の人生で魔王討伐を目指す。  作者: ”蒼龍”
第3章『時空改竄編』
47/49

第47話『正義の鉄剣達、狙われる』

皆様こんにちはです、第47話目更新でございます。

今回はあるキャラの所為でやや物語の毛色が変わると思われますが、そのキャラはそれが平常運転だと思って下さいませ。

では、本編へどうぞ。

 50年前のミスリラント、マグネウム近郊にて。

 現在時刻は夜の8時を回り冷たい風が吹き荒ぶ時期と時間であった。


【カチカチカチカチ、カチャ、ビュゥゥゥゥン‼︎】


「っと、この丘はシェブグラニスが見えた場所だな。

 さて、あの街は………」


「…うむ、元のマグネウムのままだな。

 矢張り此処で特異点(シンギュラリティ)が介入した為に改竄が起きたと確定だな」


 其処に時空の腕輪で時間跳躍して来たネイル達が現れ、最初にシェブグラニスを見た丘から再び街を見ると、其処には至って長閑な田舎町、マグネウムが存在していた。

 するとダイズは早速右の拳を左手に当て、ヤる気に満ち溢れている姿を見せた。


「さあニグラ、本当に貴様が介入者ならば逃げずに掛かって来い。

 貴様が獲物と思いそうな奴は此処に居るぞ…‼︎」


「落ち着けダイズ、先ずは歩いてマグネウムの街へ行く事だ」


 しかもそのヤる気は言葉にも出ており、今にも暴れそうな気迫を見せており背後には般若と呼ばれるヒノモトの悪鬼が見えそうなオーラが立ち上っていた。

 それをアザフィールは宥め、先ずは足で歩いて行く事と話していた。


「ふぅ、ダイズさん怖え………ムリア、アレを次は宥められるか?」


「無理言わないで下さいよガムさん〜‼︎」


 それ等を見ていたガムは改めてダイズを恐いと感じ取り、背筋が一瞬震えていた。

 そんな覇気を纏っているダイズをムリアに宥められるかと問い掛けると、ムリアは当然無理だと叫び頭を抱えていた。

 その光景を見ていたキャシー達はクスリと笑い、ネイルもにっこりとしていた。


「さあマグネウムで情報収集後に領主邸に突入しよう。

 其処で件の魔族が相手か否かを見極める必要があるぞ、皆!」


『OKネイルさん‼︎』


「…確かにニグラじゃない可能性もあるんだったな…いかんな、落ち着け(ダイズ)………すぅ…はぁぁ………」


 それからネイルは街で情報収集をし、その後領主邸に突入と段取りを話すと正義の鉄剣ソードオブユースティティアはそれを了解し、ダイズは違う可能性も考慮して落ち着けと自制を深呼吸して心を鎮めた。


「ふむ、ではダイズを見習い心静かに、されど刃は研ぎ澄ますとしようか…」


「どの道最後は敵と戦うのです、なら覚悟を決めましょう…ふっ‼︎

 すぅぅぅぅぅ………」


「(…本当に私、場違い)」


 それを見たアザフィールは弟子のダイズを見習い熱くなり過ぎない程度に心穏やかに、だがその秘めたる刃は研ぎ澄ますと心掛け始めた。

 リコリスも最後は敵と戦うとして覚悟を決めながら正拳突きを1発宙に入れると同じく心を平静に保った。

 一方枷に繋がれているアギラは場違いだと思いながら背中のむず痒さを我慢するのだった。


「では皆行こう、マグネウムに」


[………たよ]


「? 

 キャシー、シャラ、リコリス殿、何か言いましたか?」


『???』


 そうしてネイルは心の準備を終えた全員にマグネウムへ行くと告げて丘を滑りながら降り始め、手枷を付けられてバランスが取り辛いアギラも上手く滑っていく中、ネイルは不意に女性の声が聞こえた気がした為、女性陣に何か言ったかと尋ねると3人は頭に疑問符を浮かべていた。


「(…気の所為、か?)」


[見つけましたよ、熱き燃え上がる正義の心を持った御仁達。

 さあ早く私の、この卑しく愛されなければ気が済まない魔族、ニグラの下に来て下さいませ。

 そしてその正義の心を存分に見せて下さいませ…ふふ]


「(‼︎

 矢張り気の所為では無い‼︎

 何だ、これは…⁉︎)」


 ネイルはキャシー達が何も知らない様子から気の所為と思おうとした………だが、ネイルの脳に直接声が響き気の所為では無い事が確定する。

 更にその声は自らをニグラと呼び、どこか艶がある声でネイルに正義の心を見せる様に話し掛けて来ていた。

 それを丘を滑り降りたネイルは考え始めながら歩き始めていた。


「如何したネイル、何かあったか?」


「…今私の頭の中にニグラと名乗る女の声が響いた。

 その者は私に正義の心を存分に見せろと、まるで戦う事になるのを望むかの様に発言していた…!」


『えっ⁉︎』


「…チッ、落ち着く様にしてた所でコレか。

 ニグラ………あのクソ女め…‼︎」


 ダイズはネイルの様子を見て何か変だと勘付き、その何かを聞き出すと、ネイルは先程のニグラを名乗る女の声が頭に響き此方を誘っているとニュアンスで伝えるとキャシー達は驚愕し、それから聞き出したダイズは反吐が出ると言った仕草を見せ、拳を作り血管を浮かばせていた。

 するとアザフィールは考え始め、それから話を始めた。


「…ふむ、彼方から仕掛けて来たのであるならば語らない訳には行くまい。

 ニグラ、何故奴が大淫婦と呼ばれ何人も逆らえなかったかを。

 奴は如何やら特異体質であらゆる者に念話を飛ばし魅了魔法を掛けるらしい、魔族は言わずもがな魔物、更に一度ニグラの所業を戒める為に来た天使すらも餌食となった」


「誰彼にも念話ってマジで⁉︎」


 アザフィールは先ずニグラが大淫婦と呼ばれた所以の1つであるあらゆる者達に念話を飛ばし、それに魅了魔法を加えて魔物や天使すらも餌食となったと明かすとガムはビク付き、更にリコリスはその時の件を思い出し瞳を閉じていた。


「更に…奴は如何やらその特異体質には他者の精気…生きる希望、戦う気力、更に多岐に渡る我々が生きる為の活力を吸い上げる力があるらしい。

 そしてその精気吸収には中毒性もあるらしく、一度狙われた者は文字通り全てを吸い尽くされるまで奴の虜になる」


 アザフィールは更なる警告としてニグラの特異体質に他者の精気を吸収する力、そしてその精気吸収には中毒性も含まれているらしく、故に毒牙に掛かった者が大勢に及んだとネイル達は想像する。


「して、此度はネイルが狙われたらしい………よってこれより先は念話傍受魔法(インターセプション)の使用を禁ずる、奴の餌食になる者を増やしたく無い」


 そのアザフィールはこの先は念話傍受魔法(インターセプション)を使うのも禁ずる様に指示を出した。

 恐らくニグラの念話を聞く人数を減らす為だと考え、狙われたネイルは合理的だと感じていた。

 キャシー達は息を呑み、何時もの癖で念話傍受魔法(インターセプション)を使わない様に気を付け始める。


「待ってくれよ、じゃあ狙われたネイルさんは如何するんだよアザフィールさん⁉︎」


「此処に来る前に話した様に心を強く持つ他無い。

 奴の魅了の支配から脱するにはそうするか、元々魅了に掛からない体質の者が立ち向かう以外あるまいよ」


 するとガムがアザフィールに抗議し始め、狙われたネイルは如何すれば叫ぶと、彼は元から魅了が効かない者以外は心を強く持つ以外に無いと話し、所謂それはネイルの心次第だと諭しながら前へと進み始めた。

 ガムはそれに気を落としていたが、ネイルが近付き方を叩き始めていた。


「ネイルさん…‼︎」


「心配するなガム、私の正義の心は簡単に靡きはしない! 

 必ずやこの誘惑を打ち破り、正義の刃をニグラに突き付けよう!」


[あらあら、本当にお噂通りお熱い方なんですね。

 その熱意に………私の身体、蕩けてしまいそうです。

 さあ、もっと貴方の熱意を…み・せ・て…]


 ガムの心配にネイルは正義の心を燃やし、必ずニグラの誘惑を打ち破ると語り胸を叩いた。

 その瞬間耳元で囁く様な声が頭に再び響き、ネイルの熱さに関心を見せているらしくもっとそれを見せる様に誘う。

 それはまるで甘い蜜の匂いで虫を誘う食虫植物の様だと、ネイルは感じ始めるのだった。




 それからネイル達は小走りでマグネウムの街の門前へ辿り着く。

 すると、街の門番も何故か顔が蕩けた様な恍惚とした表情を見せながら心此処に在らずと言う言葉が似合う状態になってしまっていた。


「これは……⁉︎

 門番よ、我々は旅の者だ、門を開けて欲しい‼︎」


「あ〜………? 

 あぁ…アンタらも彼の方にお会いしに来た方なんだなぁ〜…。

 最近昼夜問わず訪問者が来るから彼の方は本当に凄いんだなぁ〜…。

 は〜い、今開けますぅ〜」


【ガラガラガラ…】


 ネイルは慌てた様子で門番に門を開ける様に叫ぶと、その本人はまるで誰かを尋ねて来たかの様に解釈しながらその人を凄いと話しつつもんをゆっくり開ける。

 そうして街の中に入ったネイル達の目に信じられない光景が映っていた。

 何と老若男女、誰彼問わず地べたや手摺りに凭れ掛かり門番の様な惚けたとしか言えない表情を浮かべ、街としての機能が麻痺していたのだ。


「こ、これは一体…⁉︎」


[これが皆私を愛した、愛された結果ですわよ。

 皆、皆、私のと・り・こ…。

 貴方様は何れだけ勇猛に私を責め立ててくれるのかしら………早く来て下さいな、私の下に、領主様の館に………]


 ネイル達がその光景に驚愕しているとネイルの頭に再び念話が響き、先程よりも近付いた所為か今度は身体に抱きつかれてる様な感覚に陥り、その念話の主は自分の仕業とハッキリと明かす。

 更にネイルが何処まで自分を責め立てられるかを楽しみにしていると発言し、自身が領主の館に居ると居場所まで吐き、早く来る様に促していた。


「ネイルさん、ダメです、誰に聞いてもボケ〜ってしてて全く話にならない‼︎」


「こっちもなんだな〜‼︎

 アザフィール様、これがニグラの魅了の力なんですか〜⁉︎」


「…ふむ、間違い無いな。

 対処法は後でやるとして、今は奴の下に向かい被害を抑える必要がある。

 ネイル、奴は何か話したか?」


 するとシャラの声が耳に届き、ネイルは顔を横に振ると顔を叩き気付けをすると報告を聞くと誰もが門番以上に酷い状態になっているらしく、何を聞いても無駄らしかった。

 それをムリアはこれがニグラの魅了かとアザフィールに問う。

 すると前例を知る者は間違い無いと断定し、今度はアザフィールが狙われたネイルに問い掛けると一旦目を閉じ答え始める。


「…奴は自らの仕業だとあっさり自分の仕業だと明かしていた。

 更に私を完全にターゲットとしてるらしく、この街に入った後の念話による魅了…なのか? 

 それが強くなった気がする…そして、奴は案の定領主邸に居るとも吐いた‼︎

 これ以上の被害を、あのシェブグラニスと言う歪な街が作られるのを阻止する為にも皆、行こう‼︎」


 ネイルは念話の内容を伝えると、領主邸にニグラが居ると話しその内に燃える正義の心を以てシェブグラニス建設を阻止する為、全員(アギラは除く)は頷きながら領主邸へと走り出した。

 それから直ぐに領主邸に踏み入ると警備の者は街の人よりもげっそりと痩せこけており余りにも痛ましかった。

 そしてネイル達は領主の応接室、寝室と調べた後ダンスホールのドアを蹴破り中を見た。


「Le〜Le Le〜 Le〜、 Le〜 Le〜」


 すると其処には床にはビクビクと痙攣し泡を吹いている領主ゴルドルと、ダンスホールの窓から照らされる月明かりの下で背中を向けて何か歌を歌っている銀髪褐色肌の女性が居た。

 ネイルはその声が念話のそれと同じと確信し、この者が件の魔族…ニグラと確信する。


「貴様がニグラだな、この街での蛮行を許す訳には行かない、我等が正義の刃でお前を斬る‼︎」


 ネイルはニグラに向かって剣を構え、リコリスは時間加速魔法(タイムアクセル)でゴルドルを救出し、ネイル達の近場で回復魔法(ライフマジック)で容体を安定化させると、守護結界を張りその身を守ると自身も光の籠手を装備し構える。


「…そのお声、直で聞いて矢張り思いました。

 貴方様の熱意は素晴らしい物だと、ですから今宵は…このニグラに、貴方達の正義の心を独占させていただけませんか?」


 するとニグラはネイルの声を聞き大変満足したらしく、歌うのを止めてネイル達の方にその顔をゆっくりと見せた。

 それは月明かりで照らされている為どんな容姿なのかはっきりと分かってしまう。


「………なっ…⁉︎」


「…シエル…様…⁉︎」


 その照らされた容姿はネイル達が良く見た事がある、シエルの姿を更に大人らしい女性にして妖艶な雰囲気を纏わせた様な物であった。

 アザフィールとダイズはその容姿を見て吐き気の様な胸がむかむかとする感覚に陥っていた。


「矢張り私とシエルと言う子は似ているのですね………隔世遺伝でしょうか、私の様に愛される姿に生まれて来たのでしょうね」


「黙れ淫婦、貴様とシエルを同じだと見做すな‼︎

 シエルは貴様などとは比べ物にならぬ程気高く強い‼︎

 それを穢す貴様の存在そのものを、俺は許さん‼︎」


 ニグラはシエルが自身に似ている事を隔世遺伝だと話し、更に自身の様に愛される姿に生まれたと口にした瞬間、ダイズがシエルの方が気高く強いと叫び、それ等を穢すニグラを許さないとして拳を構え全員で戦闘態勢に入り、アギラは虜になり易いと考えられリコリスに無言で腹パンを受けてしまい気絶してしまっていた。


「あらあら、ネイル様の様にお熱い方が沢山いらっしゃるのですね。

 この熱気に私の身体が溶けてしまいそうです…。

 では初めに、『その熱気の、堕落した甘い甘い蜜を………味見をさせて………く・だ・さ・い』………」


 するとニグラは手を叩き、ターゲットのネイルみたいな者が多いと確認すると汗ばむ身体を抱き寄せ、頬を赤らめながらネイル達を見据えていた。

 だがその次にはその表情のまま言葉を紡いだ………その瞬間、ネイル達の頭に『ニグラの物になりたい』、『ニグラと蕩ける時間を過ごしたい』と言う感情が突如湧き始め、武器を落としてニグラを倒すと言う想いと矛盾した思考による頭痛で頭を押さえていた。


「ぐぁぁぁぁぁ、な、何だ、これはぁ…⁉︎」


「気を付けよ、これがニグラの魅了の魔法だ‼︎

 もしもそれに負ければ忽ち奴の虜となる‼︎

 心を強く持て、己が信念を貫け‼︎」


「あらアザフィール、魅了が効かない体質の貴方も居たんですね。

 興味が無かったので視界に映りませんでしたよ。

 …それにしてもアザフィール、此処に集まった方達は私を蕩けさせる方々ばかりと思いませんか? 

 だってほら、シエルの誇りと言っていた方が…」


 その時アザフィールがネイル達全員に叫び、心を強く持たなければニグラの虜…つまり魅了魔法を受けきってしまうと叫び、大剣を床に突き立てながらニグラを睨んでいた。

 対するニグラは元々魅了が効かないアザフィールに微塵も興味が無く今初めて気が付いた様子を見せた。

 そして…そのアザフィールやネイル達に自分を満足させる者が多いと話し、その証拠としてダイズを指差していた。


「ダ、ダイズ殿‼︎」


「ま、まさかこの魅了に掛かっちゃったんですか⁉︎

 く………う、うぅぅ‼︎」


 ネイル達は頭を押さえながらダイズに視線を移し、同性すら魅了されるこの魔法に苦しむキャシーが真っ先に魅了に掛かったのかと思い始め、床に落ちた杖を拾い上げようとした…が、片膝を突く形になり頭痛が強まった。


「うふふ、そうよ。

 皆私を愛して………そしたら私も貴方達を愛してあげるわ…。

 さあ、いらっしゃい小さな魔族の子…」


 ニグラはこの様子を見てそれが正しいと言う様子を見せながらダイズに向かって歩き始めた。

 そしてその顎に指を1本1本撫でる様に絡ませると、更に近付いて行き頬に手が触れようとしていた。


「ダ、ダイズ殿ぉぉ‼︎」


「心配するな、アレはそんな柔な育て方はせん。

 何故なら…」


 それを見ていたネイルはダイズに手を伸ばすと、アザフィールはまるで心配しておらず寧ろ期待した目と声でダイズを見守っていた。

 そして…。


【ドゴォ‼︎】


「何故なら、常に強者を求める狂気と理性を兼ね併せる様に育てたのだからな」


「………はい?」


「…うおォォォォォォォォォォォォ‼︎」


【ドガドガドガバキバギグギバギガンッ、ドガァァァ、ドサァッ、ゴロゴロ‼︎】


 ダイズは頬に手が触れようとした所でアザフィールがどんな風に育てて来たか話した所でニグラの脇腹にパンチを与え、何が起きたと思う彼女を他所に目、耳、鼻、喉、心臓の上、腹と様々な急所を雄叫びを上げながら目にも止まらぬスピードで打撃を加え、中には骨が砕けた音も混じりながら蹴り上げられ、更に空中に上がりダブルスレッジハンマーを首に叩き込み床に落とし、その華奢な身体が青い血に濡れながらダンスホールを転がる。


「ダ、ダイズ殿、無事だったのか⁉︎」


「こんな魅了など、強者と常に戦いにと言う狂気に飢えた俺にとっては子守唄にもならん‼︎

 それより貴様等、正義や誇りと声を上げたが貴様達の正義はこんな小細工に負ける弱き物だったのか‼︎

 思い出せ、貴様達の内なる熱を、それでこの小細工を上回れ‼︎」


 ネイルはダイズが無事だった事に驚いていると、彼はこの魅了が効いてる様子を一切見せていなかった。

 如何やら彼は強敵を求める狂気が魅了を弾くと言う常人に理解し難い方法で正気を保っている様である。

 更にダイズは正義の鉄剣ソードオブユースティティアやリコリスにこんな魅了に負ける様な正義や誇り程度でしか無かったのかと叱咤激励し始め、その内に眠る熱意で魅了の魔法を上回れと叫んでいた。


「ぐ、うぅぅぅ‼︎」


 するとネイル達はこの街に来た理由、マグネウムの人々の様子を思い出し、その蛮行を行った魔族が此処に居ると思い出し、その心に弱き人々を守る正義の心の炎が再び燃え上がり始め、リコリスも神より生み出され、今に至るまで育て上げた自らの誇りを思い出し始め…。


「そ、そうだ…我等の心は、正義と共にありぃぃぃぃぃ‼︎」


【パキンッ‼︎】


 ネイルが代表として雄叫びを上げながら武器を手に取り、自分達の心は正義と共にありだと叫び立ち上がった。

 その瞬間心の中を縛っていたニグラへの『気持ち』が砕け散り、他の皆もネイルの様に声を上げながら立ち上がった。


【グリグリグリ、グギギッ‼︎

 スッ】


「…アザフィールの様な者がまだ居るとは聞いてませんよ? 

 それよりも…私の魅了を自力で破る人達が居るなんて素敵………是非とも、『私の側に居てほしい』ですわぁ…」


「黙れ悪逆なる者よ、我等が正義の刃、此処に受けろぉぉぉぉ‼︎」


 すると骨が捻じ曲がっていたりしていたニグラの身体が軋む様な音と共に元に戻り、そのまま自然と立ち上がり始めた。

 更にまだ魅了を止めないニグラはダイズとアザフィール以外に掛けると、ネイル達はその魅了を破る『コツ』を掴んだ為、ニグラに全員で攻撃開始した。

 するとニグラは『全ての攻撃を避けず』受け続け、腕や足、そして首が刎ねられそれぞれ刎ねられた部位がダンスホールに転がり、青い鮮血が床を濡らした。


「やったか⁉︎」


「まだだ、ニグラの特異体質はこの程度では無い、一旦離れろ‼︎」


 それからガムがニグラを討ち取ったと思い声を上げると、ダイズはまだ終わっていないと話し前衛に距離を離す様に叫ぶとネイル達はニグラの身体から距離を離す。


【…グググ】


『⁉︎』


 するとニグラの切断された腕、足がモゾモゾと動き始め、離れ離れになった肉体と1つになると立ち上がり、最後は頭を持ち、首と1つにすると青い鮮血で濡れたドレスに傷無しの魔族の女性と言う異様な光景が広がっていた。


「こ、これは一体⁉︎」


「これもニグラの特異体質、幾ら心臓を潰そうが首を刎ねようが死なない身体の持ち主よ‼︎」


「奴を殺すには全てを塵に還すしかない。

 私は先ず斬首する際に身体を全て塵とし、残った頭を灰燼に帰した。

 そうでもしなければ奴は死なん」


 ネイル達が驚く中、リコリスとアザフィールがニグラの特異体質の身体の説明をし、それを聞いたネイル達は擬似的な不死だと感じ取り厄介なと思い始めていた。


「…本当、簡単に手に入らない物程手に入れたくなってしまう。

 貴方達のその身体と心、私の虜にして手に入れたいわ…」


 それから妖艶な雰囲気を纏っているニグラはネイル達を見定めて、改めてネイル達を欲しいと考え始め、全員で身構えていた。


【カチカチカチ、ビュン‼︎】


「死ね…‼︎」


「っ、危ないネイルさん‼︎」


「な、うおっ⁉︎」


 その次の瞬間、ネイルの背後からネロが現れ、ネイルの首を狙い剣を振るった。

 しかし時間跳躍直前にそれに反応した時空の腕輪の力のお陰からキャシーと最も近いネイルが勘付き、その斬撃を頭を下げて回避した。


「このっ‼︎」


【ズシャ、ドォォン‼︎】


「ぐはっ…⁉︎」


 それを見たリコリスは直ぐに動きネロの背後から籠手のブレードを突き刺すと、それがまるで釘を打つかの様に勢い良く動きネロの心臓を潰しながらその身体をニグラの横まで吹き飛ばした。

 だがネロは心臓が無くなっても執念なのか、空中で身体を立て直しニグラと並び立つ様に着地する。


「あらネロ様、一体如何されましたの?」


「ソーティス様の命だ、ニグラは帰還しろ。

 そして次の使命を果たせ」


「あら、もう此処での役割はお終いなんですか…仕方ありませんわ、あの人達の機嫌を損ねない様に帰りますわ。

 それより貴方、もう死にそうですが大丈夫ですか?」


 ニグラはネロに何用か聞くと、如何やらソーティスの命令で次の使命を果たす様にと話していた。

 それを聞きニグラは帰る気だったが、死に掛けのネロを見て大丈夫かと問い掛けていた。


「…ヴァイスがエミル達に殺された。

 ならば私は弟の仇を、奴等の大切な仲間の命を奪うと言う形で果たさねば死ねない。

 だから早く行け、今我が身は憤怒の炎に身を焦がしている」


「あらヴァイス様が………それは、残念でしたわね。

 分かりました、では少し失礼して………ああ、復讐の炎が温かく心地良いですわぁ…。

 それではネロ様、さようならですわ。

 ネイル様達もまた会いましょう」


【ブゥン、カチカチカチ、ビュン‼︎】


 ネロはヴァイスがエミル達に殺された事を言い放ち、ならば彼女達の仲間の命を奪わないと気が済まないと話してニグラを撤退させようとした。

 そんなニグラはネロに抱き付き、傷跡から垂れる血を舐め取ると復讐の炎を感じ取り満足した様な形で時間跳躍した。

 但しネイル達に狙いを定めたまま。


「…今のがニグラの精気を吸収する行為なのか?」


「そう、肉体に汗や血でも良いので吸収する事で精気を吸収するのだ。

 無論奴の気分次第で量は決まる。

 そして奴が満足しないと言う理由から使わんが直接触れずとも一度魅了に完全に堕ちた者から精力を吸い上げる事すら可能だ」


 するとガムは最後のニグラの行為の意味が分からずアザフィールにアレが精気吸収かと尋ねると、血や汗でも良いから直接身体に吸収or魅了に堕ちた者から精気を直接でなくとも吸収可能と、本人の意思次第で量を決めて吸えると話されガムは嫌な想像をした為オエっと吐き気を模様していた。


「と言う訳だ、我が弟の為に誰か生贄になって欲しい」


「断る、我々は此処で死ぬ訳には行かない。

 よって………我々の正義の刃で、お前をヴァイスの下に送る‼︎」


 するとネロは先程のニグラの行為を全く気にせずネイル達の誰かを殺そうと剣を向けたが、ネイルがそれを断り剣と槍の二刀流になりヴァイスの下に送る…つまりこの場で斬ると宣言し構えた。


「そうか、ならば………私が勝手に決めさせて貰おう‼︎」


『させるかぁぁぁ‼︎』


 そうしてネロは誰も生贄になる気が無い為勝手に誰かを殺そうと動き出し、ネイル、ガム、ムリアは叫びながら突撃しそれを止め、更にリコリスとアザフィール、ダイズまで加わり6対1の多勢に無勢で徐々に身体に傷が増えるネロだが、そんな物何処吹く風と言わんばかりに拮抗しながら戦闘していた。


「皆さん援護します、身体強化(ボディバフ)IV」


時間加速魔法(タイムアクセル)‼︎」


 其処にキャシーとシャラの身体強化(ボディバフ)時間加速魔法(タイムアクセル)が発動し拮抗した状態だった戦況が一変し全員の1撃が入る様になり、ダイズの蹴りやムリアの薙ぎ払いを受けたネロは距離を引き離された。


「ぐ、うぅ‼︎」


「今よ‼︎」


瀑風流(タイダルストーム)‼︎』


 其処にキャシー、シャラの風と水の複合属性魔法が放たれ、風と水の渦がネロを拘束し、その嵐が鮮血を洗い流す。


「ぐ、うおぉぉ‼︎」


「これで‼︎」


「止めだぁぁぁぁぁぁ‼︎」


 そうして嵐で動けなくなったネロに対し、嵐の上部分、風が無い地点までリコリス、ガム、ネイルがジャンプしそのまま中まで突入する。

 それから中に突入した3人が乱舞し、ネロの生命を削る。

 そして最後の1撃として嵐が晴れた瞬間ネイルがネロの身体を一閃した。


「────」


 最後にネロは何かを言おうとし、ネイルに斬り掛かろうとしたがその剣は彼の眼前でゆっくり止まり、それからネロの身体は青き炎に包まれ死んで逝った。

 これ等を見て戦闘終了としたネイル達は武器を仕舞い始めながら思う、この戦いは始まる前のリコリスの1撃で決していたと。

 すると熟練度元素(レベルポイント)がアザフィール以外に吸収されネイル達はアザフィールと同じ750に、リコリスとダイズは800になり完全にネロが死したと察した。


「終わったか…そう言えば何故アザフィール殿はレベルが上がらないのだ?」


「全盛期を過ぎ老いて行く老兵だからだ」


 ネイルは一息吐き、一旦全員で集まると何故アザフィールがレベルが上がらないかと尋ねると、彼は既に老兵らしく老いて行けど成長はしないと言う感じに話し、ダイズにも視線で確認すると彼も頷き、それが正しいとしていた。


「さて…ニグラが居なくなったのでもう歴史改竄は正された………とは行かないな、この街の有り様では」


「ええ、ニグラに精気を吸われた者は回復魔法(ライフマジック)を掛けた後気付け薬か魔力を少し込めた1撃…ビンタ程度を当てないと、上手く精気吸収の中毒性から抜けられないわ。

 しかもゴルドルの様な者は1週間栄養ある食べ物を食べさせてそうしないと元に戻らないわ」


 それからネイルは現状確認としてニグラが消えたのでそれでお終いでは無いと勘で話し、それをリコリスが肯定して精気を吸われた者用の治療しなければならないと話された。


「それしなきゃ勿論この街は廃れてはい終わりって感じっすか?」


「そうだな………マグネウムの街だけでも廃れてしまうのは見兼ねるな。

 ならば、暫くこの時間軸に留まって患者の治療に当たるぞ。

 さあ、忙しくなるから早く動け!」


 更にガムがその治療をしなくてはマグネウムは廃れて終わりと確認しリコリス達は頷き、特にダイズは思い入れあるミスリラントの街が消えるのは堪え兼ねると話し、更に言えば元々あった街が荒廃するのはグランヴァニアで経験してる為ダイズの暫く止まるにネイル達は賛同し、キリキリと動き始めた。


「(それにしてもあのニグラと言う魔族、異様だった………それをあの容姿で言われればダイズ殿達も怒るに決まってる。

 それに…確かに歴史改竄をしていたが、何を目的に彼女はこんな改竄をしていた? 

 …この時間軸の中に居る内にダイズ殿達や皆に相談しなくては…)」


 その中でネイルはニグラと言う魔族の思考が異様過ぎた事を思い出し、更にシエルに似た容姿であの言動をされれば彼女の同志であるダイズ達が怒るのも納得した。

 が、次には何故こんな歴史改竄を起こしたのかが気になり、何が目的だったか考え始めていた。

 しかし、独りで考えても分からない物は分からない為、アザフィールやダイズ、リコリスと言った長寿組の知識や仲間達の発想に答えを託し、この時間軸中で仲間に相談すると決めるのであった。

此処までの閲覧ありがとうございました。

今回登場したニグラは本編通りのキャラです。

彼女を今後ネイル達やエミル達は如何に斃そうとするかお楽しみ下さいませ。

では今回はニグラの設定を公開します。


ニグラ:大罪の魔族の1人にしてナイアと合わせて魔界の歴史に負の一面を刻んだ。

見た目はシエルの血縁の為彼女を大人にしつつ妖艶な雰囲気を纏わせ、性格はそのシエルと真逆の他者の色欲を貪る蠱惑的である。

更に彼女は如何なる者にも念話を一方的に送り、その者を虜にし離さない魅了魔法と肉体の疑似的な不死と言える再生能力の2つの特異体質を持つ。

そして魅了を一度でも破った者には執着心を、そもそも魅了に掛からない者に興味を持たない両極端な面を持つ。


次回もよろしくお願い致します。


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