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転生魔法女王、2度目の人生で魔王討伐を目指す。  作者: ”蒼龍”
第2章『アギラの動乱編』
24/49

第24話『4国会議、始まる』

皆様こんにちはです、第24話目更新でございます。

今回で修行は完全に終わります。

また、第2章の物語にも動きが入ります。

では、本編へどうぞ。

 エミル達はその後も複合属性魔法と絶技会得の修行を続けていると、寝る前に全員1発ずつ複合属性魔法と絶技を撃つ事に成功し、4日目の昼には全員で全ての複合属性魔法、絶技を会得しそれぞれが熟練度向上の為に別々に修行をしようとしていた。


「うん、皆やっぱり飲み込みが早くて助かったわ。

 さて、そんな皆にプレゼントをあげるわね!」


「エミル様の…プレゼント?」


 するとエミルは杖を構え、皆にプレゼントを出すと言うとキャシー達は不思議がり、ロマン達はまた魔法祝印(エンチャント)なのかと思いその様子を見る事にしていた。

 そして魔法陣が浮かび上がり杖を掲げ始めた。


「ネイルさん達も魔法祝印(エンチャント)内容が私達と似てて良かったよ、ムリアの入れ知恵なのも容易に想像出来るわ。

 さて行くわよ…『二重魔法祝印(ダブルエンチャント)』発動‼︎

 えいっ‼︎」


「うおっ⁉︎

 …何だ、鎧が服の様に軽くなったし、ミスリルが明らかにオリハルコンを超える強度になってやがるし絶技の魔力浸透率も上がりやがった‼︎

 エミル、こりゃどんなもんなんだ⁉︎」


 エミルは複合属性魔法の練習の傍ら、同じ様に熟練度を積みしっかりと使える様にした前世で開発した魔法…二重魔法祝印(ダブルエンチャント)を発動する。

 これを受けたアルは鎧や武器が軽くなったのみならず強度も上がり、元々掛かっていた魔法祝印(エンチャント)が二重に掛かった様になり驚愕し、他の全員も同様の反応だった。


「ふふ、これがセレスティア王国に伝わる秘術、二重魔法祝印(ダブルエンチャント)よ‼︎

 これはレベル250からしか使えないから廃れて書物庫送りにされてたけど、実際に使うとあら不思議、元々掛かっていた魔法祝印(エンチャント)が二重に掛かる様になるのよ‼︎」


「つまり威力アップIVや強度アップIVが二重に掛かって、更に相手に硬くなるしダメージを与えられる様になるの⁉︎

 凄い魔法祝印(エンチャント)だよこれ…‼︎」


 エミルは昔自身が魔族の魔法祝印(エンチャント)に打ち勝つ為に創り上げ、その後は秘術としてセレスティアに代々伝わったがレベル250になった物しか使えない為廃れた二重魔法祝印(ダブルエンチャント)の効力を話し、それにロマン達は驚きルルやキャシーは前世の力を純粋に取り戻したのだなと感じていた。


「さて、皆にプレゼントが終わったし、明日の昼には修行を切り上げてセレスティア王国に行くわよ! 

 今の私やキャシーちゃんにシャラさんなら此処からミスリラントやセレスティアを千里眼(ディスタントアイ)で視える、その視えた場所に転移して行くわ。

 目的は勿論その次の日に執り行われる4国会議の護衛よ! 

 さあ、複合属性の熟練度上げ再開よ‼︎」


正義の鉄剣ソードオブユースティティアも了解した!」


「分かったよ、エミル‼︎

 …4国会議の護衛、つまりエミルが態々それをするって事は…」


 エミルは休憩の二重魔法祝印(ダブルエンチャント)と次の目的、4国会議を護衛すると話すとネイル達もエミルがそれが必要だと感じるならと二つ返事で了解と話し、誓いの翼(オースウイングズ)もロマンが代表者として頷き、アルやサラ、ルルも頷いていた。

 そしてロマンは態々4国会議を護衛すると話した事にその場で何かが起きる、そう予期しながら複合属性魔法、絶技を更に使い熟し始めるのだった。




 その頃天界ではアイリス達が地上界を覗き視ており、エミル達が複合属性魔法と絶技の特訓をしている事や二重魔法祝印(ダブルエンチャント)を目撃しアレスターは改めて驚いていた。


二重魔法祝印(ダブルエンチャント)を使い熟すなんて凄いですよエミル様! 

 幾らライラ様の生まれ変わりでも、たった1日で二重魔法祝印(ダブルエンチャント)を使い熟すには繊細な魔法祝印(エンチャント)付与技術や熟練度が必要ですよ! 

 流石は僕が見てきた中でも特に優秀な生徒にしてライラ様の生まれ変わりでもありますよ!」


 アレスターは自身の生徒であるエミルやアルク達を中心に視て、最後にエミルを視ると様々なレベル250に到達し初めて使える魔法の数々を熟知しながら使い熟すエミルを、死後特別に天使になった後に知らされたライラの生まれ変わりにして転生魔法使用者だと聞かされその才能や技術に一定の理解をしながら、それでも生徒の成長は嬉しくアルクやカルロ達を視てた際も同じ反応であった。


「あーはいはい可愛い教え子がすっごく頑張ってるのを視れて良かったね〜」


「はい、アルク様達ネイル君も大変満足する成長を遂げたので私としては嬉しい限りです! 

 それも死後に天使様達にこの様に視せて頂けるとは、このアレスター来世でも天使様達に感謝致します!」


 アレスターは本来知る事の出来ない死後の世界を特別に向こう100年は天使にすると言う待遇に感謝し、来世でも忘れないと興奮しながら周りの天使達の手を取り彼女達や彼等に恩を感じていた。


「…そのエミルだが、まだ伝えていないが、いや、小さな頃から禁書も読み漁った程に現代の知識を飲み込んだ。

 だから気付いているだろうな、『転生魔法が禁術化している』事に」


「…でしょうね。

 口には出してませんが、彼女は『死んだら次があると思い転生魔法を使用』していませんからね。

 500年前のライラ様の死後に貴女が降臨し、転生魔法を世に広めるなと2代目の王や父さん達に伝えたらしいですからね。

 理由も父さんから聞き及んでます」


 その近くでアイリスが転生魔法が禁術化している事に触れ、アレスターも父からその経緯等を聞き及んでいるとして頭を下げながら答え出し、更に地上のエミルも次があるからと口にせず転生魔法のての字も口にしない事から理由は察しているとアレスターは推察していた。


「そうか…転生魔法は生と死の輪廻の輪を乱し、1度切りの命を軽んじる可能性がある術だった。

 まさか魔族が核さえ無事なら復活する特性に目を付けて開発するなど思わず当時の天界でも大騒ぎになり、私が地上界に派遣され当時の権力者や誓いの剣(オースブレード)にそれらを説明して使ってはならない正に禁術に唯一指定させた程だ。

 我等が父もライラは破天荒だと頭を抱えて言っていたからな」


 そうしてアイリスはアレスターも聞き及んだ転生魔法の禁術化の原因、生と死の輪廻の輪を乱すと言う理由を話し、それ等をロック達や権力者達に1から10まで説明して絶対使用する者が現れない様にし、この500年間それが現れる事は無かった、特に寿命が短い人間達にも。


「…さて、アイリス様はこれから再び神様に進言なさるおつもりですよね?」


「無論よ、あんな答えで満足なんて出来はしないわ。

 だから進言は止めない、あの固い頭を縦に下げさせるまで時間が足りないけど私も諦める気はないから」


 次にアレスターはアイリスに神に再び進言するか問うと彼女自身あんな答えで満足する程の追従者では無い為、時間が刻一刻と迫る中でも諦めず震源に向かい始めた。


「…どうか、その進言が通るのを祈ってますよアイリス様。

 地上界の分水嶺は4国会議の日です。

 それまでに天界がアギラの蛮行を未遂に終わらせられる事を祈ります…」


 アレスターは地上界での分水嶺、ターニングポイントが4国会議の日だと口にしながら、再び泉に目をやりアギラの行動も逐次監視しながら神が首を縦に振る事を祈りながら地上界の様子を眺めるのだった。




 エミルが二重魔法祝印(ダブルエンチャント)を全員に贈ってから1日が経過して5日目の午後、遂にタイムリミットとなり全員を一堂に集め盗聴防止結界(カーム)を使いながら話を始める。


「皆、此処まで修行してくれてありがとう。

 さて、何故皆を盗聴防止結界(カーム)内に集めた理由を説明するわね。

 明日の4国会議、其処で必ず魔族が動くと踏んだからよ。

 これは元アギラ派のムリアにも確認済みよ」


 エミルは集まったロマンやネイル達にムリアから確認を取ったとしながら魔族が4国会議の時に動き出すと話し、ムリアもそれに頷きながらその通りと言った様子を見せる。

 するとサラがムリアの話が出た辺りからある理由を思い浮かべそれを話し始めた。


「それって、ムリアみたいに地上界の人に化けてるのが一斉に動き出すって事?」


「ええ、私は今日の朝にギルド協会を間に挟んでアルクお兄様宛の極秘の書簡を送ってるから、私が行けば話がすんなり通る筈よ。

 そしてその日は私達は念話傍受魔法(インターセプション)を使って誰が魔族か感知したり、ムリアが直接見て誰が魔族かを探し当ててお父様やロック様達を守るつもりよ」


 サラはムリアの様に地上界の者に化けた魔族がその日に暴れ出す事を想定し始めると、エミルは何時も重要な事を書く日記を出しながらYESと答え、その日は念話傍受魔法(インターセプション)や魔族のムリアを活用して敵魔族を見分け、ランパルド国王やゴッフにロックとリリアナ、更にヒノモトの現女王『サツキ』を守るつもりだと話す…と同時に溜め息を吐いていた。


「本当ならムリアが使ってる『変身魔法(メタモルフォーゼ)I』を解析し切ってそれを見破る『看破魔法(ディテクション)I』を創り上げたかったんだけど…複合属性を教えたり二重魔法祝印(ダブルエンチャント)を取得したりで忙しくて間に合わなかったわ、ごめんなさい」


「エミル、また新しい魔法をあんな忙しい中で作ろうとしたんだ…でも、本当に忙しかったから仕方ないよ」


 するとエミルはムリア達魔族が使ってる変身魔法(メタモルフォーゼ)を看破する為の魔法すらあの忙しい2日の間に作り上げようとしたらしく、しかし間に合わなかった事を謝罪するとロマンが忙しかったから仕方無いと言いエミルの激務を労いつつ出来なかった物に対しては余り触れず、その代わりに複合属性絶技と魔法を岩場や空に撃ち熟練度は問題無い事を示した。


「うーん、そう言う事にしてこの魔法を創るのはお父様達を守った後にするわ。

 それじゃあ、セレスティアのライラックまで転移するわ!」


「シャラ、キャシー、我々も行くぞ! 

 悪逆が成されるのを黙って見過ごす訳には行かない!」


『了解です‼︎』


 そうして転移魔法ディメンションマジックを使用し、レベル260を超えたパーティ2組が一気にフィールウッドの最北の世界樹からセレスティアの中央都市ライラックを囲む外壁前まで転移する。

 すると門前の兵が一瞬驚き槍を構えそうになるが、エミルの顔を見た途端槍を仕舞い始める。


「おーい、エミル王女殿下が帰還なされたぞ〜‼︎

 門を開け〜‼︎」


 更に兵士の1人がエミルの帰還を叫び門を管理する兵士達に開門をさせ、中央都市ライラックへの道を開かせる。

 そして門の奥からも見えるセレスティア王国のセレスティア城を一望し、ロマン達は言葉を失っていた。

 そこに兵達が10人用の大型馬車を用意し、城まで走らせていた。


「中央都市ライラック、相変わらず街並みが美しくその象徴たるセレスティア城もまた素晴らしい城だ…」


「あれ、ネイルさん達もライラックに来た事があるのですか?」


「ああ、1年前に要人の護衛依頼で来た事がありますよエミル殿」


 するとネイルがライラックに住まう人々や街並み、更に国の象徴たる城を相変わらずと話した為エミルが来た事があるかと聞くと、如何やら1年前にガム、シャラ、ムリアと共に護衛依頼来ていたらしくキャシーやロマン達以外はライラックに来た事を明かしていた。

 その間にサラは周りを見て興奮し、アルも「まぁまぁ」と零し、ロマンとキャシーは街の雰囲気に圧倒され言葉を失っていた。


「エミル王女殿下が帰還なされた、城門を開けよ‼︎」


 すると馬車を運転する兵が城門でエミルの帰還を叫び、門を開かせると橋も降り城壁の内側へとエミル達は通される。

 そして馬車から降り立つと其処にはアルク達王族兄妹とマークス、親衛隊達がエミル達を迎えた。


「お帰りエミル、そして城へようこそ各々方! 

 此度は我々セレスティア王家4名が客人の皆様をおもてなしさせて頂きます!」


「あーそんな畏まらなくたって良いってアルク君達さ〜! 

 公の場じゃ無い感じで普段通りに話そうって! 

 …エミルからの話があるし、さ」


 すると長兄アルクが畏まりながら客人であるロマンやネイル達をもてなそうと話し掛けてくると、サラが笑みを浮かべながら普段通りに話そうと促した。

 その途中でふと真顔になりエミルからの話と言って親衛隊を含む城の重要人物全員がエミルから送られた書簡の話と察し真顔に一瞬なり、しかし直ぐに笑顔となり次にレオナが話を始める。


「分かりましたわ、ではサラさん、ルルさん、そして皆様、エミルの話をする為客間へと案内致しますわ」


「ふっ、それにしてもネイル達までエミルに引き寄せられるとはな、人間磁石か何かか俺達の妹は?」


 レオナはサラの言う通り公の場では無い様に振る舞い、サラやロマン達を客間に案内すると話す。

 次にカルロはエミルの人を惹き付ける魅力を磁石に例え、更に護衛依頼で出会ったネイル達にも会釈しつつエミルの頭をワシャワシャと掻いていた。


「アルク殿達御兄妹やマークス殿もお変わりない様子で何よりです」


「ネイル殿こそな、では中へどうぞ」


 ネイルも護衛対象だったアルク達兄妹に共に護衛を務めたマークスが元気そうな様子を見てそれぞれ握手を交わし、最後にマークス達親衛隊が護衛を務めつつ客間へと向かい始める。

 そうして客間に辿り着き、親衛隊達は立つ中でエミルやアルク達は席へと座り、用意された紅茶を飲みながら話が始まる。

 それも盗聴防止結界(カーム)ありで。


「それでエミル、このアレスター先生式の書簡にあった魔族が地上界の者に化けて4国会議の時を狙って暴れようとしてるのは本当か?」


「はいアルクお兄様、現に此方にいらっしゃるムリアは魔族ですが、ネイルさんの正義の心に触れ直属の上司から手を切り我々地上界に力を貸して下さってます」


 そうしてアルクが開口1番に本題である魔族が地上界の者に化けて潜伏し、4国会議の場を狙って動き出すのかをエミルに問うと、彼女はムリアの事を説明しながらそれが事実だと口にし、ムリアが実際に魔族としての本来の姿を見せた事で周りは騒めき始める。


「静かになさい、それでも映えある親衛隊ですか! 

 兎に角、向こうの計画を知る方が味方になって下さったのは心強いわ。

 お父様達を守る用意が出来るわ。

 それで、ロック様達から極秘に伝えられたアレスター先生が遺した枷を外す修行法…如何やら成功したみたいね、エミル達全員レベルが260となっているわ」


 その間にレオナが騒つく親衛隊達に静かにする様に叫び、更にムリアの事はエミルが信用している点から魔族と変な区別はせず同じ志を持つ仲間として見る様にしていた。

 そしてカルロやアルク達が少し懐かしそうな物を見る目でアレスターの遺した修行法の話を切り出し、エミル達10人がレベル260となった点を鑑定眼(アナライズ)で見て成功したと察していた。


「お兄様やお姉様達もマークスもレベル240オーバーを果たしているじゃないですか。

 …もしや魔族に狙われましたか?」


「ああ、お陰でレベルは上がったが負傷者も出て修行中に地上界は相当数の魔族が潜伏してやがる事を察せたぜ。

 たく、アレスター先生も奴等に狙われたって話だし、本格的な戦争は眼下に迫って来てるぜ」


 エミルも鑑定眼(アナライズ)でアルクとマークスが遂に250、レベルが248、カルロが249に到達し、親衛隊達も平均レベル200を上回り最早戦力としては計り知れない物になっていた。

 が、同時にレベルの上がり方が異常の為魔族に狙われたのか問うとカルロがその通りと答え、カルロは負傷者とアレスターの事を想いながら大きな戦争が迫っている予感を告げる。


「戦争…そうだね、魔族との戦いが遂に…」


「その魔族との戦いについて、私が修行法の中で天使アイリスと接触しこの戦いが聖戦の儀と呼ばれる物と知りました。

 それについてお話しします」


 ロマンも先程まで晴れていた空が曇り、雨が降り始めたのを見てこの先の魔族との戦いの暗雲が迫ると思いながら見ていると、エミルはアルクや親衛隊達にも聖戦の儀についての情報や楔の泉について日記を見せながら話をし、アルクやカルロ達は天使達の立場等に驚愕しながらもそれらを聞き、話を更に深めていくのだった。




 そして翌日、セレスティア城に設けられた円卓にランパルド、ロックにリリアナ、ゴッフ、そしてヒノモト女王のサツキが座り、護衛には親衛隊の一部やロマン、アル、ルルとキャシー、そしてアルクやカルロが立っていた。

 そしてリリアナが盗聴防止結界(カーム)を発動させ準備が完了する。


「ではこれより4国会議を執り行う物とする。

 先ずはお集まり頂いた賢王ロック殿、予言者リリアナ殿、職人王ゴッフ殿、女王サツキ殿、今日という日にお集まり頂き感謝の意を込めて進行を務めさせて頂くと存じ上げます」


「いえいえランパルド殿。

 此度は我々地上界の未来を守る為に必要な会議、出席しない訳には行きませぬよ」


 そうして会議が始まり、円卓を囲む中でランパルドが立ち上がり進行を務めると話した後、ロックが此処に集まる者は皆地上界の未来を憂う者故に出席したと話し、ならばグランヴァニアは違うのだなとロマンは自然と思ってしまっていた。


「さて、堅苦しい挨拶は此処までにして会議を始めるぜ。

 魔族共の好きにさせねぇ為にな」


「妾もゴッフ殿の意見に賛成させて頂きます。

 ではランパルド殿、先ず最初の議題からお話を」


「うむ、では先ず魔族達の目撃例について話し合いたい」


 次にゴッフが堅苦しい挨拶を抜きにし、サツキも同調し初めの議題、魔族の目撃例について話し合うべく円卓中央部の水晶石から映像が流れ、其処にグランヴァニアを含む世界地図が映され各所に✔︎印が付いた物になっており、中にはロマン達の最初に遭遇したアイアン村近くにも付いていた。


「ご覧の様にセレスティアやミスリラントのみならず、フィールウッドやヒノモトにさえ出現例があり、内撃破した物はこのチェックマークの半分にも満たず、此処にいる勇者ロマンやゴッフ殿のお弟子のアル殿やリリアナ殿の娘のルル殿や我が子達等、一部の者しか倒せず犠牲を払い撤退が数多い」


 ランパルドの口からこれらの目撃例に対して倒せた数は少なく、逆に犠牲を払って逃げ延びた事例が多くあると告げられ、ロマン達の場合は運が良かった、エミルの判断力や自分達の連携が良かったから成せたと理解しロマン達もアルク達も心を痛めていた。


「それで、ワシ等の戦力は如何なってる? 

 ミスリラントはやわな鍛え方をしてねえからレベル210を平均にした兵団がゴロゴロ居るぜ」


「フィールウッドも同じく戦争に赴く兵は皆レベル200を超える様にしていますぞ」


「妾達ヒノモトは絶技の国故、レベル240の兵達を用意可能じゃ」


 次に戦力が水晶石の映像に映り、それぞれの国の兵士達のレベルの平均値と兵力が映し出されセレスティアが190とやや低めだがそれでも戦力としては申し分無く、1番戦力の高いヒノモトは平均値240と武を極める事を矜持とする国柄故にこの様なレベルの高い兵士が揃ってる様だった。

 しかし国の大きさもありヒノモトは1番兵が少なく、ミスリラントが1番多いと言った具合になっていた。


「ヒノモトは1万2000の兵、ミスリラントは8万の兵、我々セレスティアとフィールウッドは6万の兵が居り、敵の戦力は量と質が揃った厄介な者達だ。

 しかしそれぞれの国には切り札の兵団がそれぞれある筈。

 それ等を基にして連合軍を編成すれば魔族達と戦えるか…?」


「やれる事はやる、それだけでしょう」


 そうして兵力の話に移り、魔族が何れ程の戦力を持つか分からなくランパルドは慎重に考え出しているとロックがやれる事全てをやると至極当然の事を口にし、リリアナも含めた全員が頷いていた。


「次に地上界が守るべき対象についてです。

 地上界には楔の泉と呼ばれる魔王を地上界に降臨させぬ様に門の機能を制限する泉があります。

 それを発見し守る事は重要事項です。

 幸いフィールウッドは1箇所を既に発見し万全な守りを固めています。

 残る2箇所を発見して守り切れば魔王を地上界に来させなく出来ます」


 次にリリアナは楔の泉の事を共有し始め、正確な場所を伏せつつフィールウッドが既に1箇所確保済みだと話し、ランパルド達も手元の資料から楔の泉の重要性を理解し、内偵等を使い意地でも発見せねばならないと判断し始め唸り声を上げていた。


「一応ミスリラントは隅々まで探したがそれらしいもんは無かったぞ。

 てか荒地にそんな大それた泉があってたまるか」


「ヒノモトの探しとうはしたが、矢張り見つからぬ故、残るはセレスティア…そしてグランヴァニアでは無いかと妾は踏んで居るぞ」


 その楔の泉をゴッフはセレスティアに来るまでに探したが見つからず、サツキも国内を隅々まで探したが矢張り見つからず残るはセレスティアとグランヴァニアにしか無いと発言し、もしもグランヴァニアなどに有れば話がややこしくなる一方の為、そうで無い事をランパルドやロマン達は祈るばかりであった。


「次に魔族のレベルについてだな。

 奴等は500年前と比べ物にならない奴等をこっちに仕向けやがった。

 其処は理解しているな?」


「うむ、レベル350のアザフィールに450のシエル…280のアギラ。

 確かに500年前からの資料からは想像も付かないレベルだが…それでも我々は戦わねばならない、魔族の好きにさせぬ為にも」


 次にゴッフがアザフィールやシエルの話に移り、前代未聞のレベルに全員の空気が重くなるがそれでもと戦う意志を放棄しなかった。

 これも全ては地上界を守る為、その意地から来る物であった。


「では妾から、この手元の資料にある聖戦の儀とは一体何なのじゃ? 

 天界、我等が神と天使が取り決めた魔界と地上界の戦いの法と書かれておるが真か?」


「はい、我が娘エミルが天使アイリスと接触した際に刻まれた知識です。

 更に魔界側はルール違反を幾つも犯し、しかし天界が未だ傍観していると書かれてるのも娘が事細かに資料作成しました」


 残る議題が僅かになり、サツキは聖戦の儀についてランパルドに問いただすと、昨日のエミルがアルク達に話した内容が全て其処に書かれており、天界の助けは期待不可と書かれておりロックやゴッフは天界の傍観振りに握り拳を作り、リリアナは怒りから左腕を強く握ってしまっていた。


「…では最後に魔族が地上界の者に化けて潜伏しているとありますが、これも事実で?」


「はい、正義の鉄剣ソードオブユースティティアのムリア氏がその魔族の1人であり、彼は此方側に手を貸す正義の者です。

 これは情報提供やエミルやネイル殿からの証言から間違い無いです」


 最後に魔族が地上界の者に化けている議題に入りそれは事実であるとランパルドは答えつつムリアは正義を成す者と説明し彼の名誉を守る発言をしていた。

 そして議題が出揃い、今後の課題についてランパルドが口を開く。


「では今後の課題として地上界に潜伏する魔族の見分け方について、これは念話傍受魔法(インターセプション)やムリア殿の目、更にエミルが創ってる途中の魔法が完成次第炙り出しをする。

 更に我々地上界の限界レベルはアレスター殿が遺した修行法、試練の問いを乗り越える事で突破し、更には21万2000の兵とエミル達試練を超えた者達で聖戦の儀を乗り越える、これで構いませんな?」


『異議無し』


 そうして出された課題はエミルの創った魔法による魔族の炙り出し、試練の問いを超える事、目下に迫る戦争については総力21万2000の連合軍の兵力で乗り切ると決まり、全員が異議無しと答え4国会議は幕を閉じようとしていた。


「よし、では4国会議の終了を此処に」


【ギュァァァァァァッ‼︎】


「っ、何じゃ⁉︎」


 ランパルドが会議の終了宣言を行おうとした…次の瞬間、水晶石が赤く輝き、何らかの映像が映り始め全員が困惑し始める。

 更にロマンがふと外を見ると、外の水晶石も同じ反応を示し、全員何が起きているのか慌ただしくなる。

 すると、黒い玉座に座る肌色の悪い人間の男が座る映像が映り始めた。


『魔族に歯向かう愚かな者達へ、初めまして。

 私はグランヴァニア帝国皇帝『ドゥナパルド4世』と申す。

 突然の全国家の水晶石掌握と言う非礼については謝罪したい…が、何故そうしたか理由も聞いて頂きたい』


 すると肌色の悪い男は自らをグランヴァニア帝国皇帝ドゥナパルド4世と名乗り、4国の水晶石を全て掌握したと話し、更にその理由を語ろうとしていた。

 その時映像に額に魔血晶(デモンズクリスタル)を付けた魔族が現れ、ドゥナパルド4世の横に立った。


『我々が水晶石を掌握した理由…それは、此方に御座す魔王様の幹部が1人、アギラ様と共にこの地上界全てを明け渡し、未来永劫続く恒久和平を結ぶ為である‼︎』


『何だと⁉︎』


 ドゥナパルド4世は水晶石を掌握した理由を語り始め、その理由はランパルド達正常な感性の持ち主に理解し難い地上界の全てを其処に映るアギラや魔王に開け渡し恒久和平と言う身勝手な降伏宣言を行うと言う物であった。


『ふっ、ふふふふ』


「あの野郎がアギラか…成る程、腐った性根がそのまま面に出てやがるぜ…‼︎」


『………』


 そうして青髪の長髪の魔族、ナルシストな一面や腐った性根を一切隠さない男、アギラに対しアルは辛辣に語る中他の全員は事の成り行きを見守りつつアギラに不快感を示すのであった。

此処までの閲覧ありがとうございました。

会議中にグランヴァニアによる完全降伏宣言があり、これが如何なる結果を齎すのかまた次回に。

さて、今回は二重魔法祝印(ダブルエンチャント)変身魔法(メタモルフォーゼ)I、地上界の情勢について書きます。


二重魔法祝印(ダブルエンチャント):魔法祝印(エンチャント)の最高峰にして効果も武具に掛かった魔法祝印(エンチャント)の効果を二重にしてしまう物である。

しかしその効果と引き換えにレベル250にならなければ習得出来ず、更に魔法祝印(エンチャント)の付与技術や熟練度も相応の物が必要でありこの魔法を今まで使えたのはライラ以外に居なかった。


変身魔法(メタモルフォーゼ)I:ムリアが使ってる魔族が地上界の者に化ける魔法。

この魔法を使うと魔族はその体型に似た地上界の種族に化けられる。

見分ける方法は現在地上界には無い為、念話傍受魔法(インターセプション)で相手が念話を使うのを待つか、ムリアの魔族の魂の色を視る眼で視る以外に手段が無い。

なおIがあると言う事はIIもあると言う証明である。


地上界の情勢:現在地上界はセレスティアを始めとした4国が魔族と戦える様に準備を進めているが、その裏でシエル、ダイズとその部下達による経済や政治の支配が粛々と始まっている。

またアギラが表立って部下の魔族を使い冒険者や遠征中の軍を襲撃したりと既に小さな衝突は始まっている。

そしてグランヴァニアが魔族信奉者の国の為寝首を掻かれない様にすることにも気を遣っている状態である。


次回もよろしくお願い致します。

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