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転生魔法女王、2度目の人生で魔王討伐を目指す。  作者: ”蒼龍”
第1章『旅立ち編』
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第1話『建国女王、転生する』

皆様初めまして、小説家になろうを初利用させて頂きます”蒼龍” と言う小説投稿者です。

この作品はハーメルンからの転載になり、そちらが話がある程度進んでおりますので続きが気になりましたらあらすじのURLから飛んで下さいませ。

では、長々と前書きを書くのも野暮ですので早速本編へどうぞ!

 これはこの世界に生きる者達の物語である。







  始まりは500年以上前、『魔界』より現れし『魔族』達により『人間』や『エルフ』、『ドワーフ』と言った生命が生きる『地上界』が侵略された事に始まる。

  しかし、その侵略に争った勇者達の手により奪われた領土は取り戻され、新たに国を(つく)る事になった。


「…やれるだけの事は全部やった。

 後はこの『予言の日』に私が行動を起こすだけ…。

 さようなら皆。

 私、この世界を守って来るから」


  それから20年、勇者一行の大魔法使いにして魔法王国『セレスティア』の女王『ライラ』は同じく勇者一行の『ダークエルフ』の予言者『リリアナ』の予言により20年後の今日、領土を取り戻した地上界に再び魔族と『魔物』の大群勢が魔界と地上界を結ぶ『門』より2度目の侵略を開始すると予言されたのだ。


「今の地上界は疲弊し切っている、だからもう一度魔界から攻撃を受ければ今度こそ地上界は滅ぼされてしまう。

 なら、その前に………」


 ライラは例え勇者一行が健在であろうと2度目の侵略を許せば地上界は制圧され、魔族達の蛮行に対抗する者が根絶やしにされる事現状を把握しており、そうならない為にこの20年で全ての準備を進めて来た。

  そしてそれを終え、予言の日を迎えたライラは転移魔法である場所へと赴いた。

  その場所とはーーー。


「…魔族達が攻め入る前に門を封印する‼︎

 体内魔力、魔法元素(マナ)接続‼︎

 設置済み魔法陣起動1番から6番まで起動‼︎

  大封印魔法『縛られし門(バインドゲート)』発動‼︎」


 門がある海に囲まれた遺跡群その中心点、門の目の前であった。

 そして魔界の空気である『魔素』が濃くなり空が暗雲に包まれている中でライラは体内にある魔力と空気中の魔法元素(マナ)を20年の間に設置した魔法陣に接続し、それぞれから魔力の光が伸び門を中心に六芒星を形成、門から溢れる魔素を遮断し始める。


「な、何だ⁉︎

  門から出られないぞ‼︎」


「アレを見ろ‼︎

 忌まわしき魔法使いライラが居るぞ‼︎」


「まさか、門の封印をしているのか?

  我々魔族にも出来ぬ事を⁉︎」


 そして門の中から魔族が出て来ようとした瞬間、見えない壁に阻まれ魔族達は者より外に出られず慌てふためく。

 更にライラの姿を捉え、彼女が魔族にも出来ない門の封印を試みていると察知し戦慄しながらも見えない壁に魔法や戦闘術技をぶつけ破壊しようとするが、その壁は一向に破壊される気配が無く寧ろ逆に強度が更に高まり始めていた。


「無駄だよ、この門の封印は私が20年の時間を掛けて作り上げた大魔法!

 アンタ達魔族には一生掛かっても封印の壁を壊す事なんて出来やしないよ‼︎」


「お、おのれぇ‼︎

 なら魔物だ、魔物を連れて来い‼︎

 魔族が駄目なら魔物なら恐らく通れる筈だぁ‼︎」


 ライラは体内の血管や神経が焼き切れる感覚を覚えながらもそれを表情に出さず門の封印を続行する。

 魔族達は封印完了まで時間が無いと察知しならば『魔物』なら、自分達が作り上げた生命ならば通れる筈と一縷の望みを賭けて魔物を通そうとした。

 しかし、強弱関係無く全ての魔物すらこの見えぬ壁を通り抜ける事が叶わなかった。


「言った筈だよ、これは『門』の封印‼︎

 アンタ達魔族だけを通さないとか甘めの設定じゃない、門その物を封印して何者も通さぬ様にする大封印魔法と‼︎

 さあお別れの時間よ魔族達、いきがって2回目の侵略をしようとした時の光景を目に焼き付けながら魔界に閉じ込められろ‼︎」


「お、おのれ、ライラァァァァァァァ‼︎」


【キュイィィィィン、キィンッ‼︎】


 ライラは魔族に最後の言葉を掛けて門の封印を行い、魔族達は憎らしげにライラを睨み付けながら呪詛の言葉を投げかけながら壁を叩き続けた。

 そうしてその直後、門の封印が完全に完了し門の先に居た魔族も魔物も見えなくなり魔素も消え、太陽の日を通さぬ暗雲が消え青空が広がっていた。


「…はは、成る様に成るって良く言うけど本当に何とかなった…あ、はは………」


 ライラは大封印魔法の完了を見届け、自分の試みの『1つ』が成功した事にガッツポーズを取ろうとした。

 だが、大封印魔法の代償により体内の血管や神経が全て比喩表現では無く本当に焼き切れ、その生命の灯火が今消え去り倒れそうになった。


「ーーーライラァ‼︎」


【ガバッ‼︎】


 そんな倒れそうになったライラに大声で叫び、駆け寄って抱き抱えた人物が居た。

 それは勇者一行のリーダーであり、神剣を奮い世界を守った英雄の中の英雄、勇者『ロア』であった。

 更にロアの後方からリリアナやエルフの『ロック』、ドワーフの『ゴッフ』と勇者一行が勢揃いしライラの周りに集まっていた。


「皆…内緒にしてた筈なのに、何で…」


「ごめんなさいライラ、私、黙っていられなかった…」


「リリアナから聞いたぞ、門の封印なんてとんでもない無茶を‼︎

 アレは世界創世の時代からある代物、何事も無く封印するなら君レベルの魔法使いが10人居ないとならないのにたった1人でやるなんて‼︎」


 ライラは全てを内密に、それこそ大臣や子供達に親愛なる仲間達に全てを進め今がある筈なのにロア達が来た事を怪訝に思うがリリアナが直ぐに答えを出した。

 更にエルフであり知恵者でもあるロックはこんな大魔法はライラが10人居なければ無事に終わらないと話し、その上でそれを1人でやった事を咎めていた。


「畜生が、お前はいつもいつも後方担当なのに無茶してグイグイと前に出て来やがる‼︎

 おいリリアナ、早くライラに回復魔法を掛けてやれよ‼︎

 このままじゃあライラは死んじまうぞ‼︎」


「…ごめんゴッフ、もう手遅れなの。

 私の生命はもう此処で終わるの…」


「ライラ………」


 ゴッフは口調は荒いがライラの見た目は綺麗だが中身はズタボロになっている事を察知していた。

 その為リリアナに回復魔法を掛けて生命を救おうとするが、ライラは常に皆に見せた笑みを浮かべながらもう手遅れであると言い切り、リリアナを始めとした全員は目を背け、皆一様に涙を流していた。


「…何時もそうだ、僕は勇者と持て囃されながら何時も大切な人達を守れない!

 家族も、友も、そして君でさえ‼︎

 僕は…勇者なんかじゃない、ただの愚か者だ…‼︎」


「…ロア、確かに救えなかった人達も居たけど、皆その瞬間瞬間を懸命に生きて、笑って生きて走り抜いたんだよ。

 そしてその分多くの人達を救い上げて来た。

 だから君は愚か者じゃない、私達にとって本当の勇者なんだよ…」


「ライラ………けど、僕は…‼︎」


 ロアは脳裏に救えなかった人々の姿を思い浮かべ、勇者なのにそれらを救えなかった事を悔やみ自らを愚か者だと蔑み、ライラも救えぬ事を悔やんでいた。

 しかしライラは救えなかった人々は後悔せずに生き抜いた事を語り、更に救った者達も引き合いに出してロアを勇者だと断言して頬の涙を拭いていた。


「ライラ…」


「それにね…ただ死ぬ為に、私はこの魔法を創り上げた訳じゃ無いんだよ?

 もう1個だけ魔法を創り上げて、それに望みを託してこの大魔法を使ったんだ…」


「ライラ、それ、前に私に話していた…」


 ロアや皆がが悲痛な表情を浮かべる中でライラはもう1つ魔法を創り上げた事を話し、それに望みを託し此度の大魔法行使に至ったと告げる。

 それを聞いたリリアナはこの計画で話した魔法を思い出していた。


「…じゃあ、皆…封印魔法は大体200年で魔物が、500年後には効果が切れて魔族が通れる様になるから気を付けてね…。

 それから500年後には必ず魔王は斃される筈だから皆心配…しないで………ね………」


「っ、ライラ、ライラァ‼︎」


 ライラは最後に200年で門から魔物が、500年で封印が切れて魔族が通れる様になる事と、500年後には必ず魔王は斃されると確信めいた事を告げ終えると手がパタリと地面に落ち、その意識は黒く塗り潰されロアの叫び声を最後にライラはその生命を使い果たし息絶えてしまった。


「クソ、クソ、クソォ‼︎」


「ライラ…‼︎」


「(…ライラ、貴女の賭けが成功する事を祈るわ。

  だからそれまで、ロアの子孫や私達『ダークエルフ』やロック達エルフやドワーフが世界を守るから………だから…500年後に…)」


 この日世界は1人の英雄を失った。

 その悲しみは瞬く間に世界中に広がり、また200年後と500年後の脅威を忘れぬ様にと短命な人間も長命な他種族もこの日を大魔法使いライラの命日と定めその忠告を胸に刻み込む。

 そしてリリアナはライラが自身に何を託したのか遺言を英雄達の間で共有しそのとんでもない賭けが成功する事を祈るのであった。










 それからライラの魂は暗闇を彷徨い、何時しか明るい光に包まれその魂が新たなる形に変わる瞬間を認識し始めた。

 その瞬間ライラの魂は魔法陣に包まれ、その意識が再び浮上し始めた。


「(…術式解凍確認、魂の固定化開始。

 記憶、知識、技術継承を開始…同期開始、『転生魔法』の正常起動確認。

 …さあ目覚めよう、私の第2の人生を始める為に!)」


 ライラの魂は転生魔法と銘打ったその魔法の正常動作を確認し、ライラ『だった』頃の記憶や魔法知識に技術を第2の人生を始める新しい肉体に継承されて行く事を確認し賭けに成功した、そう確信を持ち光に向かって手を伸ばし………次の瞬間身体が軽くなっている事を感じていた。


「おぎゃぁ、おぎゃぁ、おぎゃぁ‼︎」


「国王陛下、王妃様、生まれました‼︎

 元気な女の子でございます‼︎」


「おおそうか、女の子か‼︎

 良く頑張ったな我が妻よ、そして良く元気に生まれて来てくれたな、我が娘『エミル』‼︎」


「はい、あなた…!

 ああ、愛しいエミル、生まれて来てありがとう…!」


 そして目はまだ開かないが耳は聞こえ、ライラ『だった』者…エミルと呼ばれた娘は前世の記憶や知識、技術を受け継ぎながら国王と王妃の間に生まれた王女だと認識しつつ現状把握を終えて次の目標を思案していた。


「(よし、転生魔法が正常に働いたから此処はアレから500年後の世界で間違いない筈!

 なら次に目指すべきは………修行し直してロアや皆で達成出来なかった最大の目標、魔王討伐の悲願達成よ‼︎)」


 そう、転生魔法はライラの時には達成出来なかった目標…地上界を侵略する魔族の長、魔王討伐の為に行った物である。

 こうして今此処に転生した建国女王、エミルの波瀾万丈の第2の人生が幕を開けた。

 そして世界の命運はエミルと彼女と出会う仲間達の手に懸かる事となったのは言うまでもなかった。

 全ては魔王を倒す為、エミルを中心に渦巻く物語が始まる。

 それを未だ本人は知らない。

此処までの閲覧ありがとうございました。

この物語の主人公エミルについて少し書かせて頂きます。

エミル:この物語の主人公にして魔法王国セレスティアを建国した初代女王ライラの転生者にしてセレスティア王国第2王女。

転生魔法により前世の才覚をそのまま引き継ぎ、魔族からの理不尽な侵略を防ぐ為に500年後の世界に転生した。

彼女がこれから様々な運命が待ち受けているのは言うまでも無い事である。


それでは、此方ではハーメルンよりゆっくりとした更新になりますがよろしくお願い致します。

もしよろしければ感想を書いて頂くと幸いです。

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