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【書籍・漫画化】魔道具師リゼ、開業します~姉の代わりに魔道具を作っていたわたし、倒れたところを氷の公爵さまに保護されました~【六章進行中】  作者: くまだ乙夜
六章 女神のオルゴール編

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202 リゼ、オルゴールの修理を頼まれる(2/2)


「妻はドワーフをルーツに持っていて、魔道具づくりが趣味だったんだ」

「ドワーフ……!」


 ヒューマンの種族以外にも、ヒト型の種族は存在する。


 ただし、この大陸にはヒューマン以外がほとんどいないか、いても人間のふりをして暮らしている。


 よその大陸にはわんさかいると言われているけど、交流はほぼないに等しい。


 ドワーフは地下の坑道で暮らしていて、地上のよそ者を好まないのだ。


「妻が生前に使っていた道具箱も見ていただけないだろうか。私にはよく分からないから、とりあえず持ってきた。役に立つものがあればいいのだが」


 バリガントさんは大きめの旅行かばんから、大小様々な箱を取り出した。


 どれも頑丈な金属で出来ていて、表面には華麗でダイナミックな彫刻や、水晶の原石などをあしらった先端装飾(フィニアル)などがつけられていた。


「うわぁ、きれいな彫刻!」

「妻の作品なんだ。ドワーフ様式の魔道具が得意だった」

「!」


 へえ、これがドワーフ様式……


 あんまりこの国には出てこないので、とても貴重な品だ。


 うちの国で見かけるのは、ドワーフの様式を人間が真似したもので、擬ドワーフ様式と呼ばれている。


 カッコいいなぁぁぁ……!!


「珍しいですねぇ! わたしもドワーフ様式の本物は初めて見ます!」

「ああ。だから狙われたんだが……」


 ドワーフは人間に狙われやすい。


 地下を掘って暮らしているので、宝石をたくさん持っていると思われているのだ。


 美術、芸術、工芸の技術もずば抜けているから、人間の作るものには興味がないらしく、交易などをせず、人間を徹底的に避けて、地下にこもっているという話だった。


「他にもまだ色々とあるんだ。もしも修理が完了したら、君に譲ってさしあげよう。私には使い方も分からないものだから」


「いえ、奥様の形見は受け取れませんよ!?」


「妻も、使ってくれる人間の手に渡った方が嬉しいだろう」


 それはバリガントさんの考え方次第だけど……


 わたしは形見は手元に置いておいてほしいと思うけどなぁ……


 まあ、またあとでよく聞いてみよう。


「ひとまず、箱を直すだけだったら割とすぐに済むと思うので、しばらくお借りしててもいいですか?」

「頼みます」


 バリガントさんはわたしにお礼を言って、帰っていった。


 手元に残された箱を開けてみる。


 鉄の化粧板の下は、無垢の木材でできている。


 綺麗な木目だ。


 おそらく杉の一種かな。正確な種類までは分からないけど、似たものは手に入る。


 鉄は寸法を測って同じ厚さに延べつつ貼り合わせるだけ。


 手も空いてるし、すぐ取りかかろう。


◇◇◇


 わたしはまず、鉄を薄く伸ばしてくるくると巻き取った、板金素材を用意した。


 糸巻きの糸を延べ板に変えたような材料だ。


 細部の厚みを軽めのトンカチで慎重に叩いて揃えつつ、カットする部分を決めていく。


 厚みを揃える作業は、複製で一気にするというわけにもいかない。一枚一枚微調整がいるからだ。切り抜きも、ぴったりでないとダメ。


 ひととおりフレークを用意し、仮に並べてみたところで、違和感に気づいた。


 なんかこれ、変だな……なんだろう……


 このまま並べれば、おそらくぴったりハマる。でも、何か馴染まない感じがする。


 鉄の材質が、これだけ真新しいからかな?


 ほかのはちょっとずつ変色してるのに、ピカピカすぎるかもしれない。


 うーん……加工したほうがいいのかなぁ……


 少し錆びさせるか、黒く着色するか……うーん……


 でも、加工して作った古美仕上げでも、なんか合わない気がする。


 よく分からなかったので、わたしは一度そこで作業を止めた。


 なーんか違う気がするんだよなぁ……


 斜めにしたり裏返したり、ためつすがめつ眺めてみたけど、結局分からなかった。


 もう少し考えよう。


 その日は結局答えが出なくて、わたしはすごすごと帰宅したのだった。


 食事とお風呂を終えて、完璧メイドのクルミさんに髪とお肌のお世話をしてもらう。


 何でも聞いてくれるクルミさんに、わたしは今日あったことを報告した。


「ドワーフ様式でございますか」

「そうなんです! わたしも初めて見たので、これでいいのか分からないんですよねぇ……調べた方がいいのかもしれないです」

「それなら、ピエールが詳しかったかと。ご主人様に請われて、骨董品の目利きをした、というような話を耳にしたことがございます」

「目利きができるんですか!?」


 珍しいものなのに、すごいなぁ。


 技術力が段違いだから、見慣れれば簡単な目星はつきそうだけど、まず本物を見て勉強しないとだよね。


「ええ。一度見せてみてはいかがでしょうか」

「そうします!」


 さっそく明日、お店から持ってきて聞いてみよう。



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