どっきどき初冒険
「とりあえず森を1つ抜けたところに町があるからそこでお寿司をたべましょう」
ミーナはそう言って竹馬の様なハイヒールで歩き出す。
「1000円しか持ってないのでカレーうどんにしませんか?」
恐る恐るのっくんは提案するがミーナはムチをちらつかせ脅し無言でそれを却下する。
「私はマンボウのおすしがたべたいの!ナマコも良いわね!」
のっくんはそんな寿司が存在するのかと疑問に思うが叩かれたくないので黙って後に続く事にした。
後ろからミーナの姿をチラ見する。
とても140歳とは思えないスタイルには彼も頭が下がる所である。
セクシーだなと心で思い顔が綻びつつ歩いているとあることに気付いた。
歩く度に彼女の豊満な尻がプリップリッと音を立ててオナラをしているではないか。
これを指摘するべきか悩み葛藤しているうちに森の入口にたどり着いた。
【モンスター注意】と書かれた看板が立っていた。
「ママ、この辺にはどんなモンスターが出るの?」
生身の人間であり武器も持っていないのっくんは不安で仕方ない。
「三メートルくらいの大ムカデとかちょっと大きめのハムスターが出るわね。ハムスターは唐揚げにするのが一番美味しいのよ?あとはゴブリンが出るわ」
萎縮するのっくんを見てミーナは非常に悪に満ちた満面の笑顔を見せる。
「さあ行きましょう」
震える男が覚悟を決めて歩き出すとしばらくして視線を背中に感じた。
確かになにかに見られていると感じるのっくんではあるが恐怖のせいで振り返ることは出来ない。
そのまま何百メートルか進んだ辺りでミーナの尻から歩行中ずっと鳴り続けていたプリッという音がプスーッというすかしっ屁に変わり急に立ち止まる。手にはいつのまにかムチが持たれていた。
「エモノよ。のっくんやりなさい。」
目の前には木の棒を持った子供くらいの身長のモンスターが二体奇声を上げながらこちらへ向かってくるのが見えた。
「あれはゴブリンね ブッころしなさい!」
ミーナはそう言って突然視界から消え去る。
「え!?ママ!」
突然の出来事にのっくんが慌てていると視界の隅っこから木の棒が振り上げられてくるのが見えた。
「あぶね!」
一振りはなんとかかわすことが出来たがもう一振りがのっくんの左足に直撃する。
「痛い!やばい死ぬ!…ん?」
そんなに痛くない。元々身体能力は高かったが転移して何かの恩恵を受けたのかダメージ耐性がついたようだ。
のっくんはゴブリンの顔面に膝蹴りをひたすら放つ。転がっていた石を持ってもう一匹のゴブリンの頭を思いっきり殴打する。
勝てると思えば人間強気に出られるものである。
一方的にボコボコにした後、成人してから封印していたスキルを放つ。
『有り金全部置いていけ』
ゴブリン達は震え上がり所持金の3000円をのっくんに手渡すと、そそくさと去っていった。
「勝った…」
アドレナリンどっぴゅっぴゅ状態ののっくんは息を切らしながら現金を財布にしまいこむ。
「よくやったわね それがスキルよ 経験値も手にはいったみたいだしこの調子で行きましょう」
ミーナは突如姿を現す。その姿は非常に神々しい。
「やりました!」
のっくんは調子に乗りそのあとも数体のモンスターに勝利していく。
やがて森の出口が見えてきた頃二人に若い女の子の声が聞こえる
「はろー!ちょっと待って☆」
振り返ったその先に声の主である女の子が立っていた。