はじまりはじまり
はじまりのあさ
早朝4時 まだ薄暗い空の下 とある高層マンションの10階の一室で眠っている男の耳には聞き飽きた音。今日一日の始まりを伝える目覚まし時計の音が鳴り、部屋中を不快にさせる。
男は数分のらりくらりと布団の中で体をくねらせながら二度寝のひとときを楽しんでいたが、三度目のアラームが鳴り響くと観念した様子で体を起こした。
「今日も仕事か…」男の声からは絶望の色が色濃く出ているが、これはいつもの事である。
男は歯みがきをしながら今日の日付に印がされてあるカレンダーを確認する。
西暦2X18年5月26日
「ついにか…」
男はさらに絶望する。
今日が彼の31回目の誕生日である。
彼は知っていた。
彼は以前結婚をしていたが、離婚をしてからというもの人生にはろくな事がない。
きっと今日の誕生日も母親以外誰にも祝われる事はないのだろう。
この物語の主人公である彼の名前は「のっくん」年齢は前述の通り31歳 身長は180センチ 筋肉質でおっとり系の超肉食系なタレ目に泣きホクロがチャームポイントな元ヤンだ。
ちなみに仕事は駅前で小さな小さな自転車店を経営している。
今日もだらしない性格が災いし、前日に酒の飲み過ぎで処理しきれなかった受注分の自転車の整備に追われ早朝から起こされるハメになっていた。
「最近花粉症酷いから暇になったら耳鼻科にでも行くか。」
そう言って今日も何事も無いだろう一日の始まりをスタートさせようと玄関を出て自分の店へ向かった。
午後四時頃
仕事を一段落終えたのっくんは勝手に店を閉店(本来なら夜七時閉店)し、溢れる鼻水をティッシュで拭いながら最近できた超ドSな美魔女が経営しているという評判の耳鼻科へ向かうことにした。
【店主誕生日の為本日は終了します。】
「看板もかけたしこれでよし!」
のっくんは美女が大好きである。彼にとって美女とは何物にも代えがたい さらに最近は不幸が重なり属性は若干ではあるがMに寄りつつある。
「ついたぞ!ミーナ地獄耳鼻喉頭科!!こんなに鼻水垂らしてって早く叱られたい!!」
若干本来の目的とは離れてしまっているが花粉症に苦しんでいるのは事実であるため受付を済ませるべく正面に向かう。
「ん、、なんやこれ…」
病院の外壁はパープルカラー一色であった。あまりの異端さに物怖じしながらも覚悟を決めて建物へ入る。
受付には顔面アザだらけ全身包帯だらけの奴隷風の男性が笑顔で迎えてくれた。
「こんにちは 初診の方ですね。今日はどうされましたか?」
受付の男性が尋ねてくる。
「…ああ、、初めてです。ちょっと花粉症で。」
若干引き気味なのっくんは答える。
「それではこちらの問診票をお書き頂いて少々お待ちください」
問診票に1ヶ月前から花粉症と記入して受付へ渡し、しばらく待つ。
「のっくんさん、お待たせ致しました。診察の準備が出来ましたので待合室へどうぞ。それではDead or…ゴホン!! デッド・オア・アライブ」
訳がわからないので無視して待合室へ向かうと診察室から声が聞こえた。
「診察するわよ。さっさと入りなさい」
「はい…失礼します」
のっくんは診察室のドアを開けた。
そこには噂で聞いた美女が座っており、木で作られた背中がやたらと鋭利な馬が前にあった。
「何してるの!それに股がりなさい」
金髪に紫色の眼光を光らせ女医は指示する。
「これにですか?」
「さっさと座りなさい」
有無を言わさず木馬責めを敢行する女医 それに従わざるを得ないのっくんは震えながらそれに座る。少し刺激的だったことは本人だけの秘密だ。
「花粉症ですって?…ん?」
のっくんをまじまじと眺め女医は言う。
「とりあえず上着を脱ぎなさい」
「あの…鼻を…」
「脱ぎなさい 叩かれたいの?」
ムチをちらつかせ女医はのっくんを脅す。
「へえ、これなら鍛えればそこそこ前衛で使えそうね」
等と女医は体を触りながらさっきから意味不明な事をブツブツと言っている。
「あの…すんません、花粉症の治療に来たんですけ…」
バチーーーーーンッッ!!
ムチがのっくんを激しく叩く
「アッーーーーーー!!痛い!なにすんねん!」
「私の名前はミーナ」
女医は突然椅子から立ち上がる。
高さ20センチのヒールはかなりの高さであり股下五センチのミニスカートから紫色のティーバックが尻に強烈に食い込むその出で立ちに突然叩かれて激おこ状態なのっくんも言葉を失う。
「おいで、のっくん 終末は来た」
「まだ月曜ですけど…」
バチーーーーーンッッ!!またムチを振るうミーナ
「アッーーーーーー!!やめてー」
バチーーーーーンッッ!!
「アッーーーーーー!!」
バチーーーーーンッッ!!
「アッーーーーーー!!」
「ハァハァ… とりあえず一緒に来なさい。こっちの世界では末期ガンで死んだことにしておくわ。」
「いや、意味わからんし行きません」
何度も叩かれて激おこクライマックスなのっくんはもうプンプンである。
「帰ります」
木馬から降りようとするのっくん
「待ちなさい あっちにいけばモテるわよ」
「行きます」
意味もわからずノリで同意してしまったが不思議に思い質問をしてみる。
「どうやっていくんですか?」
ミーナは答える
「簡単よあなたの命はあと3秒 転移するのよ」
これよくある転生ものやんというのっくんの意識は突然薄れていく
「あ、ちょっと待って、こんな強引なんって有り?」
「有りよ」
のっくんの意識は薄れていき、目の前は真っ黒に染まる。。