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第1章 4話ー選ばれし者ー

「ただいまー!」


 勢いよく家の扉を開き、家に帰って来たレオに、キッチンでジュー、ガチャガチャと何やら忙しそうにしていたレオの母親は「おかえりー!」とレオに返事をした。


「レオくん!今日は宴よ!なぜなら、今日はレオくんの誕生日なんだから!!!」


 と、キッチンから目をキラキラさせておたまを持ちながら飛び出て来た母親対しての、「はいはいありがとって…キッチンから煙出てるけど大丈夫?」というレオの言葉に母は、


「え?」


 と振り返ってみると、キッチンから何やら黒い煙が出て来ているのをみてしまった母は、「ギャーーーー!!」と声をあげて、キッチンへと走っていった。


「たまにドジなとこあるよなー、母さん。」


 と、レオは少し呆れたように笑うと、「荷物置いてくるー!」と母ににと声かけ、二階への階段を駆け足に登った。


* * * *


 レオが、荷物を置き、着替えて一階に降りてくる頃には、母は夜ご飯(宴)の準備を済ませていた。

机の上には、朝とは比べ物にならない料理の品々がびっしりと並べられていた。

肉料理や、魚料理。10品以上のたくさんの料理に、レオのお腹はぐーっと大きな音を立てた。


「ふふ、お腹空いてるでしょ、レオくん?さあ、ジャーンっと食べてっ!」

 と、嬉しそうに手のひらで料理を指し、ドヤ顔でそういった。


 レオは、ゴクリと唾を飲むと、豪快に椅子に座り、「いただきます!!!」と大きな声で言いながら、それに負けずと大きな音を立てて手を合わせると、目の前に並べられている料理を次々に口に運んだ。


 レオの母は、微笑ましそうにレオの食べっぷりをみていると、玄関の戸がトントンと鳴ったので、「はーい」とドアの方へ声をかけると、早足で駆け寄っていった。


 誰が来たのだろうと、レオも食べる手を止めドアの方を見つめていると、ドアの向こうにいたのはこの村の長。年老いたソルムとそのお付きの者だった。


「ソルム様!!お待ちしておりました…!どうぞ中へ…。」

 と、レオは母親がソルムたちを家の中に招き入れるのを見つめながら、(なんで村の長が、俺の家に?)と不思議に思いながら食べてる途中だった料理を口に運んだ。


 もぐもぐと、頬を大きく動かせながら料理を頬張っているレオを見て、ソルムは「君の食べっぷりは、幼い頃から変わらんのお。」と感心そうに笑った。

 それに対しレオは、「どうも…」と軽く頭を下げた。


「今日、ソルム様にこうしてお家まで出向いてもらった理由はね、レオくんにとっても大切なお話があるからなの。」

 と、レオの母は深刻そうな顔をしてレオにそう言った。


 よほど大事な話なのだろうと悟ったレオは、手に持っていた料理を机に置くと、ソルムの方へと駆け寄った。


「晩飯の途中に来るなんて、よほど大事なことなんですか…?」

 と、冗談ぽく言ったレオに、ソルムは「これをお主に渡しに来たのじゃ。」とソルムの右側に立っていたお付きの胸元から出て来た手紙をソルムが受け取りそれをレオに差し出した。


「手紙…?」とレオは不思議そうな顔で呟くと、「中を見てみろ。」とソルムに言われたので、小さく頷き封筒の中に入っていた紙を取り出した。

 中に入っていた紙に目を向けると、そこには聞いたこともないような内容が書かれていた。


神眼しんがんを持つ選ばれし勇者達よ?鬼神族が封印されてから丁度100年がたつ、八月やつきの二十一日に、神眼を持つ者達はは聖境の丘へと集まりたまえ?なんだこれ…って言うか、八月の二十一日って明日じゃねえか!」


 とレオは声をあげて驚き、手紙を床に投げた。

そして、ハッと我に帰ると「悪い…ちょっと驚いちゃって…」と手紙を拾い軽く手で伸ばした。


 そして、それを見ていたソルムは、「驚くのも無理はない」と小さく二回頷くと、真剣な顔をして言葉を続けた。


「お前はな、神の眼を持つ者。神眼の持ち主なのじゃ。そして、鬼神族をもう一度封印するための“鍵”なんじゃよ。」


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