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第1章 3話ー不安と希望ー

「よっしゃ!!教えてやらあ!!っとその前に…」


 そういい、グレイが持って来ていた、稽古用の鎧を身につけた。


「お前ももう立派な剣術者だからな!もしものための保険だ!


よーっし!準備は万端だ!!行くぞ!レオ!」


 そう言うグレイに対し、レオは「俺のぶんはねえのかよ!」と問いかけたが、グレイはにっと笑い、剣を構えた。


レオは、今までとは比べ物にならない緊張感やら不安やら期待やらに目をウズウズさせていた。


「俺が今から教える技はな、自分の心の中に、不安と希望がねえと意味がねえんだ。」


 と、じりっと砂を踏み足に力を入れた。「不安と…希望…?」と不思議そうに呟くレオに問答無用に攻撃を仕掛ける。


反射的に攻撃を防いだレオにグレイは次々に重い攻撃を仕掛けていく。


「おい!レオ!本物武器相手だからって、怯んでんじゃねえ!!そんなんじゃ、戦場に出ても相手にかすり傷一つもつけられねえぞ!!」


 その言葉にレオは、「そんなのわかってるわ!!!」とグレイの攻撃を弾き飛ばした。


「はははっ、流石だなレオ。いいか、お前のすばしっこさは目覚ましい。この俺の攻撃を木剣だけで弾ききってるんだからな。」


とグレイは、納得したように笑っていたが、その瞬間「今から俺は本気で行く!お前はその中で小さな隙でも見逃さずに、俺にとびっきりの反撃を食らわせてみろ!!!」と、地に響くような声で叫んだ。


「っわかった!!!」とレオはくる攻撃に備え木剣を構える。

 その瞬間、今までにない重い一撃をレオの木刀に食らわせた。


「っつ!!!」

次々とくる攻撃を、レオは確実に弾いていく。


 ー相手の攻撃を弾くことができても、こっちの攻撃を入れる隙が少しもない!!


 体力だけが奪われて息が荒くなって来たレオに、グレイはこう言った。

「こんなんじゃ、お前の大切な人の命どころか、自分の命すら守ることなんざできねえぞ!!


 お前はそれでいいのか!!!」


 その言葉に、レオは自分自身にこう言った。


 ーお前は、また大切な人を失うのか?

  自分の弱さのせいでまた誰かを失うのか?

  

  あいつらを失った時のように、恐怖に怯えて何もしないまま… 


「そんなので、いいわけないだろうがああああああ!!!」

 

 レオは、グレイの重い連続攻撃の中、小さな隙を見つけ、自分自身の考えを自分の攻撃で遮るかのように、グレイの攻撃よりもはるかに重い重い反撃をグレイの腹部に食らわせた。


 レオの重い一撃を食らったグレイは、強風に弾き飛ばされてしまったかのように向こうの方へ飛んで転がっていった。


「どうだグレイ!俺は昔とは、ビビリで何もできないような昔の俺とは違うんだ…って、左手超痛いっ!!!」


 そう両手を腰に置き自慢そうに胸を張ってそう叫んだレオは、グレイの稽古用とはいえ硬い鎧に重い一撃を素手で食らわせたてしまった左手を涙目になって痛そうに優しく撫でていた。


 左手を痛がっているレオに、グレイは攻撃を食らった場所を「イテテ…」と抑えながら、ふらふらと近づきながらこう言った。


「そりゃあ痛いに決まってんだろ…あんな強い攻撃素手で鎧に打ち込んだら…っにしても、まさかここまで強いのを食らうとは思ってなかったぜ…結局お前無傷だしな…


ハハハ!流石だ、レオ!」


と、嬉しそうに笑い、レオの背中をポンポンと強く叩き肩を組んだ。


「べっ別に大したことじゃねえよ、お前のヒントのおかげだよ!」と、グレイの方に組んで来た腕を手で振り払い、少し照れたように自分の腕を組んだ。


 グレイは、「そうか、そりゃよかった!じゃあ、今日はもう帰れ!お前の誕生日なんだしよ、お前の母さんご馳走作くって待ってると思うぜ!」と、優しくレオの背中押し、レオが振り返った時にはグレイは背を向けて家の方へと歩いていた。


 「っていうか、必殺技ってあれかよ?ただの反撃じゃないのか…?まあ大事なことも勉強できたしいいか。」

 とぐーっとなったお腹をさすりレオも家の方向へと歩いていった。


そして、帰り道の途中に、「不安と希望ってそういうことかー。」と何かに気づいたように呟くとレオは駆け足になり家へと向かっていった。


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