第1章 2話ー誕生日プレゼントー
「もっと強く振れ!敵の攻撃を見失うな!」
レオが家を出てから6時間以上が過ぎた今、体力が悲鳴をあげていた。
グレイソンという名の大きな体思った筋肉質の男は、声をあげながら木でできた大剣を振り上げる。
「グッグレイ!!もうっ俺げんかっい!!昼飯休憩っまだかよ!!」
とレオは息を切らせながら声をあげた。
その途端グレイソンの攻撃がピタリと止まった。
「おお、そういえばまだだったな。よし!今から30分間昼飯休憩だ!」
とぐっとガッツポーズをしたグレイソンに対し、「遅いわ!もう昼の三時だぞ?!てか30分間って…」
と呆れたように大きくため息をついた。
「昼にはかわりないだろ?泣き言言ってねえでさっさと弁当持ってこい!」
そう言って、レオの背中を強く押した。「はいはい…言われなくても。」
と小さく呟くと、それが聞こえてしまったのか「ブツブツ言わずに早く行け!」と怒鳴られてしまったレオは、「わかってるわ!」と叫んで弁当を置いた場所の方へ走って言った。
* * * * * * *
レオたちはグレイソンの家の庭で、持って来た昼飯を食べ始めた。
ふと空を見上げてみると、朝と同じ雲ひとつない晴天だった。
「そういやあ、お前今日誕生日だったな。」
とグレイソンはレオに箸を向けて言った。レオはそれに対し、
「箸を人に向けるな。そうだよ、っていうかグレイ俺の誕生日に必殺技教えてやるって言ってただろ!忘れてないだろうなー…」
と、グレイソンをじーっと睨みつけ「忘れてるわけないよな?もしそうなら、この前グレイの奥さんが大事にしてたっていう皿割っちゃったこと、奥さんにバラしちゃおうかな〜。」と悪そうな笑顔をグレイに見せてニヤッと笑った。
「わっ忘れてるわけないだろうが!!だから、頼むからそのことは嫁には言わないでくれ!!」
とグレイソンは、強く手を合わせレオに頼んだ。
「忘れてないならいいんだよ。」と食べ終わった昼飯を片付けるとスッと立ち上がり稽古用の木でできた短剣を振り始めた。
「早く教えてくれよ!俺への誕生日プレゼント!」
と言ったレオにグレイは、「ははっ!いい気合いだ!」と大剣を掴み、ぐるっとまわして肩に置き、ニッと笑った。
* * * *
二人が庭の広い方に出て来た頃には、レオの集中力が周りにいる人間にもわかるほどに高まっていた。
「早く教えてくれよ、グレイの必殺技!」とレオは我慢できないという笑顔でぎりっと片手剣を強く握った。
グレイは「まあまあそう焦るなよ。」と言って大剣を投げ捨て、腰のベルトに刺していた短剣を抜いた。
それを見たレオは、「本物…?そんなの今まで使ったことないだろ!もしグレイの攻撃を受けてしまったら、俺は…」
と、目を見開き頬に一粒の汗を流した。
「だから、これはお前への誕生日だって言っただろ?今までの技なんぞよりも比べ物にならねえくらいすげえやつなんだよ。」
と、短剣をレオに向けた。
「技なんてもんはな、実戦で使えねえと何も意味がねえ。そんなこと、お前はよく知ってるだろ?」
そう言われたレオは、2年前に戦うすべすらなく大切なものを失った弱い自分を思い出した。
「ハハッ、そうだよな…わかってるに決まってんだろそんなこと…
もう、俺は負けない…大切な人を守ることもできない俺なんて嫌だ!!」
レオはそう呟くと、木でできた短剣を振り上げこう言った。
「グレイ!!その必殺技、俺に教えてくれ!!!」
それを見たグレイソンはニヤッと笑い、大きな声でこう言った。
「よっしゃ!!教えてやらあ!!」