表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
藍色に熔ける  作者: 藍澤ユキ
11/26

k:

『大丈夫。元気にやってる』

 嘘。大丈夫でも元気でもない。

『うん。仕事も順調だってば』

 嘘。何ひとつ順調なんかじゃない。

『うん。うん。あぁ、いや、ごめんね。今年は帰れないの』

 嘘。帰りたくないだけ。

『違うけど、仕事が立て込んでて』

 嘘。仕事を増やしているのは自分だ。

『そうじゃなくて、部署が変わっていろいろ勝手が違うから、まぁ、ちょっと大変な時なの』

 これは本当。勝手がわからなくてまいっている。

『うん。そう。えっ? んー、年末はまだわからない』

 これも本当。先のことなどわかりはしない。

『いや、だから、その話はやめてよ。そんな気はないから』

 これは……どうだろう。わからない。

『母さんの言うことはわかるけど、これはわたしの人生なの。わたしが決めることよ』

そう。決めたのはわたし。

『……』

 後悔もわたしのせい。

『……ごめん。そんな言い方するべきじゃなかった』

 これは狡い言い方だ。

『うん。うん。でも、わたしもいろいろ……あるから』

 言わずにわかってもらおうなんて都合がよすぎる。

『ごめん、もう切るね。これから人に会う約束があるの』

 嘘。誰にも会いたくなんかない。

『うん、じゃあ。また連絡するから』

 たぶん、しない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ