表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/31

28

「その、迷惑かけて、すいませんでした。ドアの代金は、必ず、弁償させますので」

 

 ドアを壊され、バリケードまで解体させる手伝いをさせてしまった、店主に、俺は頭を下げて謝罪し、外へ出る。

 取り敢えず、ギルドに向かえばいいんだよな……

 それは分かっていても、簡単じゃない。


「頼むから、襲いかかってくるなよ」

 

 ある程度実力があるなら、戦いながら進むのも手なんだろうが、俺の場合、一体に手古摺ってる間に囲まれるリスクの方が高い。

 幸い、シアの、お陰が、数も減ってるようだし、避けながら進むことも不可能ではないだろう。

 ――――――と、信じるしかないだけだけどな。泣ける。

 俺は恐怖に堪え走るが、。

  

 

 

「やっぱ、追って来ますよねー!!」

 

 大して足が速いわけでもないし、逃げられないこともないが、前後左右、あらゆる方向から、襲ってこられたら、かなり厳しい。

 何より、俺は、最近までニートだったのだ。長時間、走り続けられる体じゃないことは、誰にだって分かるだろう。

 気合いで持ちこたえるにしても限度がある。


「こ、こうなりゃ、一か八かだ」


 狭い路地裏にでも逃げ込めば、四方八方から襲われることはなくなる。前から来たら、ほぼ詰みだけど。

 俺は覚悟を決め、細めの路地へと突っ込んだ。

 ここを進めば、ギルドへは最短ルートだ。理にも適っている。

 あとは運に――


「もうっすか!?」


 路地に入ってから数メートル進んだところで、死霊が反対側から入り込んで来るのが見えた。

 これは運がないより、恥ずかしい。カッコつけて一か八かだ、とか言っちゃったのに。

 な、なんとかしないと……


「レクイエム!」


「え?」


 突如として、前から突っ込んで来ていた死霊が、消え去った。

 それどころか、追い掛けて来てたやつらも、


「くくく、我から逃げられると思ったか!」


「フィーナ!」


「ぬっ、ニトーではないか。どうしてこんなところに?」


 それはこっちの台詞なんだが。




「つまり、お前は逃げ惑う死霊共を追い回し、ここに来たってわけだな」


「うむ」

 

 成る程、死霊どもは俺に向かって来たんじゃなくて、こいつから逃げて来ただけだったのか。

 なんにせよ、助かった。


「生者と変わらない姿の死霊は、倒し終わったのか?」


「全てと確証があるわけではないが、見当たる限りのものは倒したぞ。それに、住民のほとんどは家の中だし、そう心配することもないだろう。今は、街全体を浄化して回っているところだ」


「そうなのか」


 シアと違い、死霊はドアを蹴破って、入ってくることはないみたいだしな。

 そう考えると、宿屋の店主は本当に憐れだ。弁償代に色付をつけるよう、言っておこう。勿論、俺は払わないけど。


「それで、そっちはどうだったのだ?」


「しまった、急がないと、大変なことになっちまうんだよ!」


「むっ、それはどういう」


「話してる時間がない。そっちが片付いたなら、ギルドに戻ってくれ。俺は先に行く」


「それなら我も一緒に――」


 俺は呼びかけてくるフィーナを無視して、ギルドへ急ぐ。

 とにかく、間に合わなければ話に――


「なっ!?」


「おい、ニトー、あれは……」


 シアのやつ、止められなかったのか。

 こんな離れたところからでも目視、出来る巨体。


「マジでトロールが復活しちまった」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ