5. 罪
R15でギリギリ描写できる範囲?だと願います。
罪
「結果が出ましたのでご報告致します。ヒロセ コウイチ 29 男 は自宅にて焼死致しました。こちらが証拠です。」
この不気味なメールと共に二つのURLが載っている。
俺はこれを開く勇気が無い。
未だに現実と信じていないし、非現実であって欲しいと思っているから。
酒のせいなのか目の前がグルグル回り吐きそうだ。
悩みすぎてなのか肩も痛い。
ただこのまま悩み続けても進めない。
一生気分が悪いままになってしまう。
そう思い一つ目のURLサイトにアクセスした。
アクセス先にはヒロセ コウイチの免許証、保険証が写真にとられアップロードされていた。これはニュースで見た顔と同じであり、本物だろうと思う。
その下の少しスクロールした所にヒロセ コウイチの父、母、妹と思われる人物のこれもまた免許証、保険証が載っている。
どこからこんなに情報を集めてきたのかはわからない。
本物なのかもさっぱりわからない。
普通こんなに情報を集める事ができるか?
なんだかおかしい気がする。
少し、自分の罪悪感に対し半信半疑になり始めた。
そのページは一度閉じ、一つ下のURLにアクセスした。
俺はそこで開いた事を後悔した。
まず、ヒロセ コウイチの自宅であろう場所の写真。
夜に撮っている感じなので暗くてよくわからない。
次に家の中の写真。
一体誰が撮っているのか。一軒家でどこにでもありそうな、だが幸せそうな家だ。家具や置いてある物を見ればなんとなく予想がつく。
次の写真から俺は吐き気が止まらなかった。
一枚はヒロセ コウイチとその妹であろう人物が二人共、一糸纏わぬ状態で一本の太いロープに縛られている。
二人は裸で密着している状態だ。
その写真からも家は荒らされ、二人には暴行の痕が見られる。二人共口にはガムテープが巻かれ呼吸出来ているのかもわからない。
次の写真では妹であろう人物と撮影者がセックスしている。
恐らく、妹であろう人物はこの時点で死んでいるのではないだろうか。
縛られたまま髪を引っ張られ、後ろから尻〜背中や頭が撮影されている。
その肌や僅かに見える顔の表情から生気は見られない。
ここまで見終わって俺は今迄に無い嫌悪感と吐き気に襲われ、その場でもどしてしまった。この犯人はどんなやつであれ完全に異常者だ。
考えが全く理解できない。
次の写真を見るまでに随分時間がかかった。俺自身部屋の中を暴れまくった。
次の写真はヒロセ コウイチの自宅であろう家が燃えている写真だ。
これはニュースと同じなのでほぼ確実にそうだろう。
次の写真では真っ黒に焦げ、元々なんなのかもわからなくなった物体の写真だった。
だが直感で俺は人間だと察知した。
恐らくこれはヒロセ コウイチと妹なのだろう。
ここまで吐き通し、何も出なくなってから俺は一度ベッドに横になった。
冷静にならなければ。
俺は人を殺した!いや、殺してない。
間接的に殺してしまっただけだ。
そうだと自分に言い聞かせる。
だが体は嘘をつく事ができず、涙が溢れでてくる。精神的なショックが大きすぎる。
ショッキングな写真は思い出すだけで、また吐きそうになる。
つい、こういうのはその現場を想像してしまうものだ。物凄く凄惨な現場だったんだろう。
また、涙と吐き気に襲われる。
日付はいつの間にか変わり土曜日になっていた。枕もシーツもぐしゃぐしゃに濡れ、部屋は荒れ放題だ。酒が無くなり、俺は少し落ち着きを取り戻しつつあった。
俺は眠りにつく前に、ある仮説が頭に浮かんできた。
「これは元々計画されていた殺人で俺は騙されて濡れ衣を着せられそうになっているだけなんじゃないか?」