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殺人サイト.com  作者: Toshi
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3. 実行

実行


変わらず真っ暗な画面に説明文は白、注意事項は赤い文字で書いてある。

他に良くある広告やその他のリンクが一切無い。

この手のサイトにはよく、アダルトサイトの広告が山ほどあり間違えて押すと、またワンクリック詐欺なんて事も良くある事。

だが、このサイトには一切無い。

そういった部分でもこのサイトに興味や、ある種の恐怖感を抱く。


仕事場で、仕事もせずにもうすぐ朝を迎えそうだ。

だけどこんな所で止められない。


下の方にスクロールしていくと殺人ボタンなる物がある。

こちらもオドロオドロしく、いかにも人を怖がらせようという気持ちがひしひしと伝わる。

俺は気付いた時には、そのボタンを押していた。


「本サービスのご利用、誠にありがとうございます。本日はどちらのサービスをご利用になりますか?」


またさっきの表が出てきて、今度はチェックボックスがある。

希望の部分にチェックを入れて下の実行ボタンを押せばいいんだろう。


男 ランダム選択

女 ランダム選択


文字の横には不似合いでキラキラした文字が「初回無料!」と書いてある。

どこぞの課金ゲームでもあるまいし笑。と思わず一人で突っ込みを入れつつ、男 ランダム選択 にチェックを入れ実行ボタンを押した。勿論、なんの躊躇いも無い。

ただ単純な好奇心からここまで進んで行ったのは生まれて初めてだろう。

あー俺も末期だな。


病院でいくつか質問されたとされ、全てに答えた俺は恐らく鬱病だと診断されるだろう。なんたって仕事場から帰る気力が無い。

なぜ帰る気力が無いかと。

それは帰ってしまうと行く気力が湧かなくなるから。

仕事はしないと食っていけない。

必要とされなくても、俺は生きていかなければならない。

死ぬ理由をまだ見つけていないから。



実行ボタンを押すと、画面が切り替わる。

相変わらず真っ暗な画面に白い文字で次の説明がでる。


「ご依頼ありがとうございます。お客様の条件からこちらの方が抽出されましたのでご確認ください。


ヒロセ コウイチ 29 男

俺より3つ歳上の男が選ばれたな。

まぁ3年も長く生きてるんだ。

もう後悔なんてないだろう。

実際にこの人間が実在してればな笑。

説明は続く。


「尚、結果につきましては2日〜1ヶ月。長くても3ヶ月以内には結果が出ます。もし、それまでに成果を出せなかった場合。全額返金させて頂きますのでご了承くださいませ。本日はご利用、誠にありがとうございます。」


でたな、お決まりの全額返金。

返す気ゼロの癖に。

恐らく3ヶ月後に連絡しても一切音沙汰無し。よくある詐欺のパターンだ。

この事を考えた後にもう一つの違和感に気がつく。

連絡先が一切載っていない。

こういうのは嘘の連絡先でも記載するものじゃないか?

初めから逃げる気満々じゃないか笑。

よく俺はこんな馬鹿げたサイトに何時間もかけたもんだよ。

でもまぁ日頃から大した事に時間を使っていないから良しとしよう。

久々に恐怖とか好奇心とかを感じる事もできたし。

俺が生きている上で最も生を実感できる時は、恐怖している時。好奇心が収まらない時。そして自慰行為をしている時くらいだろう。

恥ずかしい話俺はセックスをした事がない。今後もする予定はないだろう。

そういう人生だ仕方ない。


そんな事はどうでもいいか。

バカバカしいが凄くいい時間だった。


さぁ寝るか。

あーもう6時だ。

あと1時間半もすれば人が来てしまう。

風呂に入っておかなければ。

流石に臭い。

インターネットを閉じ、パソコンをシャットダウンさせ、靴下を履く。



まだ日は短く朝と言うにはまだ暗い時間。

外に出て、事務所に鍵をかけ大きく深呼吸をする。

微かに明るく染まる空。

鳥の鳴き声が聞こえ、道路ではチラホラ車が動き出している。

静かとは言えない。

男はポツリと呟く。



「寒い…コートとってこよう…。」


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