14. 尋問
14 尋問
シャツを着て歯磨きをしながら俺はない頭をフル回転させる。時間は7時。2時間しかたっていない。とりあえず会社に連絡を入れて遅れる事を伝えなければいけない。
洗面所とトイレにはちょっとしたこだわりがあり、壁や天井やコップ、タオルや歯ブラシまで全て白で統一している。
これは母のこだわりで水回りには神様がいるから常に清潔でなければいけない。だから汚れが目立つ白にしなければいけない。と、こういう事らしい。
それは未だに俺の中でも感覚として残っていて掃除は怠った事がない。
課長との素っ気ない電話を終えた後、5分で昨日の状況を自分の中で整理し警察の元に向かった。
「すみませんね朝の忙しい時間に〜。職場にはこちらから連絡いれときましょうか?」
「いえ、もう連絡は入れてありますので。」
いいから早くしろよと内心イラ立つ。
「あー私警察の物ですが…私ハタケヤマと申します。本題に入りますが、昨日の隣で起きた事件についてぇ何か存じ上げておりますか?」
「いえ、次の日も仕事で早いと思いまして昨日は早々と寝床についていました。殺人事件とは…どちらがお亡くなりになられたのですか?」
警察はなんとなく、機嫌の悪そうな顔で俺の顔を様子見するように覗く。
「えぇ…お隣のハマグチさんの奥様が何者かによって殺害されていました。ちなみに死亡推定時刻は午前2時頃とされておりますが自宅で寝てた、という事でお間違えないですか?それを証明できる方はいますか?」
「いえ、一人でしたので。」
予想通りの質問に対する返事を淡々とこなす。動悸や焦りは一切ない。そもそも焦る必要もないのだから。自分は目撃はしたが何もしていないし、見た事を黙っていても罪にはならない。いたって冷静だ。
「そうでしたか。いや近隣の住民さんの話によるとね?物凄い女性の叫び声が響き渡ったそうなんですがねぇ…聞こえなかったですか?」
「いやぁ…特になにも。昨日は焼酎を飲んで爆睡していたものですから。」
なんとも腑に落ちないと言った表情でハタケヤマは頭をボリボリと書いて、
「わかりました。すみませんお忙しい所。もしかしたらまたお伺いするかもしれないのでその時は、よろしくお願いしますね。」
「こちらこそお力になれなくてすみません…」
聞き終わるかどうかの所であいつは背中を向けてさっさと歩いて行った。
40代も半ばでタバコくさい嫌な奴だ。
時間は8時過ぎで思ったより早く終わった。せっかく会社を遅刻できる理由ができているので近くの公園に向かう事にした。ベンチに腰をかけグーっと伸びをするとそのまま横になった。するとまた急激な眠気が襲ってきた。
ここ最近本当にこういう事が多いなぁ、と考えているといつの間にか眠りについていた。




