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『ポーン♪』という音はせず、レベルは上がらなかった。ミオのときは上がったのに……。

 さて、現実逃避はやめて後ろから聞こえる泣き声の方を振り向こう。


 振り向くとミオが泣きながら抱きついてきて

「まずだなんでですか! なんでまずだがたたかうんですが!」

 足にしがみつき、叫ぶ。

「わだじは、じってまず。まずだはあらぞいのない ぜがいからぎまじだ。だがらあだじにまがぜでいいんでず」

 どうやらそんなことも知っていたらしい。確かに争いなど身近ではなかった。だから今もゴブリンを殺したことに少なくない動揺を感じている。心臓もバクバクいっている。

 でも必要だったのだ。ミオに甘え切らない為にも、何より俺がこの世界で生きていく為にも。


「ミオ泣かせてしまって本当にごめん。ミオの気持ちは嬉しいよ。涙が出るほど嬉しい。でもこれは必要だったんだよ、どうしても。だから泣き止んでくれないか? 俺はミオの笑顔が好きなんだ」


 しゃがんでミオの身体を抱きしめる。

「俺はね、ミオを失いたくないんだ。ミオは俺の為なら死んでもいいって言ってくれるけど俺は嫌なんだ。だから俺も戦うんだ、何もせずにただ見ているだけなんてできないんだよ。この世界はモンスターが居て襲ってくる。自分の身も仲間も守りたかったら戦うしかないんだよ」


「ますたー……」

 どうやら少し落ち着いてきたようだ。さらに畳み掛ける。

「だから、次からは俺と一緒に戦って欲しい。まだ戦いに慣れないけど一人で戦って、これからも戦っていく決心ができた。ミオ俺に力を貸してくれないか?」

 目線を合わせ、しっかりと目を見る。

「ぐすん、ますたーはひきょうなのです。そんなふうに いわれては ことわれません。でもおひとりで たたかうような きけんなことは にどと しないでください!」

 怒られてしまったが二人で戦うことの了承を得られた。十分くらい抱きしめ、慰めた。


「ますたー、ますたーがしんでしまったらとおもうと こわくて、こわくて たまらないので ほんとうにもうやめてくださいね」

 ミオは本当に俺のことを心配してくれる。可愛くてたまらない。

「ミオが俺を失うのをどのぐらい怖がっているのか、俺にはわからない。でも俺もミオを失うのが怖いんだ。それだけは覚えていて欲しい」

 ヨミもミオは俺の為なら命すら惜しまないと言っていたのでよく注意しておく。


「ますたーは、そんなにわたしのことをたいせつにおもってくれているのですか?」

 信じられないというように、でも凄く嬉しそうに聞いてきた。

「ああ、俺の為に生まれてきたと言ってくれるミオが大切に決まっているじゃないか! それにミオといると安心するんだ。俺を大切に思ってくれているのがいつも伝わってくるよ」

 まだ出会って二日目なのに心から大切に思えるのは心が繫がっていて気持ちがダイレクトに伝わってくるからだろう。

 もう俺とミオは家族なのだ。それが伝われとミオを強く抱きしめる。


 ミオは心から安心した表情で

「ますたーのきもちがつたわってきます。うれしいです!」

 笑顔に戻ったのでドロップアイテムを回収し、これからの打ち合わせをする。


 ミオが気配を消しながらゴブリンの後ろから奇襲、驚いて隙ができたところに俺がトドメを刺すという作戦になった。


 試してみるためにゴブリンを探す。

 少し歩くとミオが1体のゴブリンを発見した。1体で索敵って危機意識低くないか? と思いながらも隠蔽スキルを使いながら近づいていく。


 まず、ミオが足に斬りつけ、ゴブリンが驚きながらバランスを崩した。その隙に上段に構えていた剣を一気に振り下ろした。

 ゴブリンの首が斬れ、骨が折れる。

 やはり断ち斬ることはできないようだ。

 二人で戦うことにより危険度が格段に下がった。この方法で戦うことにする。


 しばらく歩くともう1体発見した。

 さっきよりも連携がとれて、簡単に始末できた。



『ポーン♪』

 ついにきたようだ。

 ミオに遅れること二戦、ようやく俺のレベルが上がったようだ。スキルは、変わってないだろうし、省略してステータスを見れないだろうか? そんなことを考えつつ



『ステータス』


 名前 ユー(長谷川佑衣斗)

 種族 ヒト♂ Lv1

 称号 (異世界人)


 HP 139

 MP 106


 攻撃 11

 防御 12

 速さ 13

 知識 11

 精神 11

 器用 12

 運  11


 スキル省略


 {眷族(1/1)}

 (ミオ)


 省略できるみたいだな。そんなことより気づいてる? 俺のレベル上がってないんですけど……。 は? なんで⁉︎ 順番的に俺じゃねぇの?

 俺じゃないとすると……、ミオのステータスを出せと念じる。



 名前 ミオ(水緒)

 種族 {隠密スライム(下忍)}♀ Lv3

 称号 忠臣 癒し系


 HP 390

 MP 65


 攻撃 13

 防御 26

 速さ 39

 知識 13

 精神 13

 器用 26

 運  12

 忠誠 100


 スキル省略


 やっぱりミオのレベルが上がってた……。称号も増えてるし、まあこれは俺の精神をいつも癒してくれていたからだな。

 ってかなんで俺のレベル上がんないんすかねぇ?


「ミオレベルアップおめでとう! それで少し聞きたいんだけど、ミオが3レベルになっても俺は1のままなんだ。なんでかわかる?」

 少し落ち込みながら聞いてみる。

「つよいまぞく、りゅうがれべるあっぷごとにすてーたすをおおはばにあげるそうです。ですが、そのためのけいけんちもばくだいらしいです。ますたーもそのたいぷなのではないですか?」

 なるほど、上げ幅が大きい分必要な経験値も多いと。

「そうなんだ、ありがとう。レベルアップが楽しみになってきたね!」

 ミオに笑いかける。


 その後、索敵ついでに食べられそうな物も探して、見つけたら状態異常耐性持ちのミオに食べてもらって毒のない物を集めた。


 お昼くらいになり川の近くに行き、お昼ご飯に食べられる草や実を食べた。

 あまり美味しくなかった……。

 川の水をミオの身体に少し貯めてもらっておいて、また探しに出た。

 非常食をアイテムボックスに入れておきたいし。


 その後、ゴブリン二体を撃破、少量の食料を手に入れて、日が沈んできたので村に帰った。

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