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朝練を終え、朝ご飯を食べた後、俺は少し悩んでいた。
鬼についてだ。
人型なら戦いたかったのだが、どちらかといえばゴリラに近い。棍棒を持ったゴリラはさすがに人型とは違うと思う。
人型とは違うが、群れでなければ一対一で戦うのもアリな相手だよな。
朝練とかでそういうのをやってはいるが実戦とは違う。
思えば人数が増えてから一対一の戦闘ってあったっけ? チカは犬神と戦っていたが虐殺だったしな。
ということで連携もいいが一対一でも戦えるようになってほしいと思う。
まあ後衛はいいや、そうなった時点で前衛の誰かが亡くなっている。
冷静でいられるわけがない、そのとき後衛は逃す。
いや、バックアタックもあるからやらせるべきか、でも二頭を追うのもどうか……そんな感じで悩んでいた。
あ、ドロップアイテムは煎り豆でした。
鬼が自分の弱点となる物を持ってるってどういうこと? ドラゴンがボスのダンジョンで竜殺しの武器が手に入る感じ? そうは思ったものの、理由がわかるはずもない。
あとこの間弟も良いとか思ったけど、こんなに姉がいたら捻くれ者になりそう。
俺の場合、従姉妹二人に現実を突きつけられたのだし……。
もぐもぐと豆を食べながら色々と考えていた。
『ステータス』
名前 ユー(長谷川佑衣斗)
種族 ヒト♂ Lv7
称号 (異世界人 美幼女たちの主)
HP 2404
MP 1753
攻撃 311
防御 259
速さ 333
知識 189
精神 160
器用 283
運 44
スキル省略
{眷族(7/7)}
(ミオ リュミス リオ クオン リンカ ライカ チカ)
最初の頃の能力値11とかが懐かしくなる。
相当動きが変わってきたはず、なんだけどな〜ミオに勝てない……。
一撃の威力は俺の方が高くなったと思うんだけど打ち合いでも押し勝てないんだよなぁ。
この辺りはスライムの特性なのかな? 衝撃を吸収されている気がする。
リュミスには単純に負けているしな……。
先は長い、強くはなっているのだ、頑張ろう。
名前 ミオ(水緒)
種族 ヒト{隠密スライム(中忍)}♀ Lv28
称号 忠臣 (癒し系 抱き枕 ユーの右腕)
HP 3420
MP 570
攻撃 114
防御 228
速さ 342
知識 114
精神 114
器用 228
運 50
忠誠 100
スキル省略
ミオの能力値を見る度に思うけど、俺の好きな振り分けなんだよなぁ。
ステータスを振り分けできるゲームではよく速さと器用さを上げていた。
序盤からそう振り分けると苦労するけどそれが楽しかったりした。
そういう俺の好みもミオには反影しているのかね?
名前 リュミス
種族 ヒト{ダークドラゴン(小)}♀ Lv7
称号 (龍種 ユーの左腕)
HP 7000
MP 7000
攻撃 700
防御 700
速さ 700
知識 700
精神 700
器用 700
運 80
忠誠 100
スキル省略
強い敵が現れ出してレベルが上がっていた。
上昇率はナンバーワン、さすがドラゴン。
名前 リオ(莉緒)
種族 獣人 (ブラックウェアウルフ)♀ Lv27
称号 (亜種 ユーの影)
HP 2220
MP 2960
攻撃 296
防御 148
速さ 296
知識 444
精神 148
器用 148
運 60
忠誠 100
スキル省略
魔法を使わない戦いなら俺にも勝機はあるが、魔法を使われると厳しい。
しかも嫌らしいからな、闇魔法。
名前 クオン(紅音)
種族 ヒト{魔族(未覚醒魔王)}♀ Lv30
称号 {憤怒の化身(未解放) ユーのメイド、懐刀} 元奴隷
HP 4200
MP 1800
攻撃 420
防御 180
速さ 420
知識 180
精神 180
器用 420
運 15
忠誠 100
スキル省略
……普通に強くない? 魔族のステータスがちょっと気になる。気性が荒いとか聞いたけど、このクオンの能力値より高いのかな? 未覚醒でも魔王の方が強い? 魔族、気になるなぁ。
名前 リンカ (燐火)
種族 獣人(化け猫)♀ Lv20
称号 (ユーの癒し)
HP 1800
MP 2400
攻撃 120
防御 120
速さ 240
知識 240
精神 240
器用 120
運 58
忠誠 100
スキル省略
進化すると本当に能力値の伸びがよいよな。
魔力も多くなっているし、頼もしくなったものだ。
名前 ライカ (雷火)
種族 獣人(化け猫)♀ Lv20
称号 (ユーの槍)
HP 2400
MP 1800
攻撃 360
防御 120
速さ 240
知識 120
精神 120
器用 120
運 58
忠誠 100
スキル省略
攻撃と速さに偏っているはずだが、槍を器用に扱っている。
魔法単体の威力は、仲間内では低いものの槍との合わせ技なのでそれを感じさせない。
特に斬る、刺すした後に身体に直接流せるというのが強みだ。
名前 チカ (三上千花)
種族 ヒト(ホムンクルス)♀ Lv10
称号 (人造人間 ユーの盾)
HP 2000
MP 0
攻撃 1000
防御 1000
速さ 1000
知識 0
精神 0
器用 1000
運 19
忠誠 100
スキル省略
仲間内からついにHP、MP以外で4桁の能力値が現れた。
最初にそうなるのはリュミスかなと思っていたけどドラゴンより成長しやすくて、チカの方が早かった。
魔法関連にハンデがある分、強くなってもらわないといけないので願ったり叶ったりだ。
もしものときの為にもう少しHPが欲しい。と思ってしまうのは贅沢なんだろうか? 仲間内なら少し少ない程度だが、一般の冒険者に比べると10倍近いのだから。
『コンコンコンコン』
ステータスの確認をしていると本当に珍しく玄関のドアがノックされた。
しかもちゃんと礼儀正しい。
嫌な予感がします。
そう思っているとクオンが扉越しに対応していた。
しまった、嫌な予感がしたから本当は居留守を使いたかった……。
「突然すみません、ギルドからお話があり急ではありますが家を訪ねさせていただきました」
この声ってさ、あの受付嬢の声じゃね?
「どうぞおあがりください」
と言ってクオンが扉を開けたので急いで締めた。
「イタ!」
だが遅かったか……ドアを開けるとすぐに足をねじ込んできていた!
悪質な訪問販売員かよ!?
「ユーさん、酷いじゃないですか! 痛いです!」
「嫌な予感がするのでお帰りください」
「私にも家でのミオちゃんたちの様子を見せてくださいよ!」
「それだけで家に来るか? 絶対怪しい! それに名前も知らない相手を家にあげるわけにはいかない!」
「あれ、言ってませんでしたか? ミーアです。さあ、お互いの名前も知っている仲になったのですから開けてください」
「俺は名前を言ったら家にあげるとは言っていない。とっとと帰れ!」
「いや、本当に困るんですよユーさん! 今回の件はギルドでも戸惑っていて……」
「ほらやっぱり、予感的中! ギルドが戸惑うような案件をCランク冒険者に任せようとなんてするんじゃねぇ!」
「ユーさんへの指名依頼なんです。ギルドで待っていてもユーさん来てくれないのでこちらから来ました」
「指名依頼! Cランクを指名なんて普通無いって聞いた、だから嫌! 何より嫌なのはお前の他にも人がいるだろ! その人たち魔力量多くて、高レベルな気がする! 絶対厄介ごとだ、嫌ぁ!」
そんな時間稼ぎをして後ろを見るとミオ、クオン、チカが中心となって話し合いの場を整え終わっていた。
俺はいらないって言ったが、クオンが来客の対応をする場が必要と言って一応すぐに準備できるようにしておいたのだ。
家自体が小さいので生活スペースと兼用になってしまったが、みんなが手伝ってくれればこの早さだ。
この茶番で帰ってくれれば……なんて思っていたけど帰らないか、さてどうなることやら。




