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 目を覚ますともう腕の中にミオはいなかった。

 リュミスにはべったりと抱きつかれていたが。

 リュミスを引っぺがすか一瞬迷い、そのまま背負って洗面台に向かった。

 無防備で可愛い寝顔に起こすのを躊躇ってしまう。

 寝るときに着ている犬の着ぐるみとの合わせ技で俺の意思は折れかけていた。

「おはようございますマスター、何をしているのですか?」

 起こすことができず、ほっぺをプニプニして遊んでいたらミオに見つかった。

「おはよう、ミオ。いや、リュミスを起こそうと思ったんだけど幸せそうな顏を見たら起こせなくなっちゃってね……」

 俺がそう言うとミオはなんとも言えない顔をした。

「マスターは優しすぎますよ、朝なのですから起こしていいんです」

 そう言うとリュミスをやや乱暴に起こした。

 起きたリュミスと挨拶を交わし、朝練の支度をしてみんなでダンジョンへ。


 チカの動きを見ると今戦っている十一階で大丈夫だと思われる。犬神は魔法を使わないし。

 さらには失う魔力が無いという、もしかして犬神の天敵なのだろうか。

 リュミスとの手合わせを見てそう思う。

 リュミスが魔法を使うと厳しいが、魔法無しならリュミス相手に圧倒していた。

 チカは朝の支度もみんなに混じって行っていたし、徐々に馴染んでくれるのかな。

 そんなチカの装備について考える。

 魔法に弱いのだから盾は必須だと思う。魔法耐性の高い盾が良いのだが難しいらしい。

 でも盾、それに片手武器だな。

 装備品は出し入れできるので幾つか渡しておくのがいいかな。

 うん、そうしよう。

 そんなことを考えていたら、最後のみんなでの乱戦が始まっていて巻き込まれた……。

 チカ助けてくれてありがとう! 全く、影からの強襲は考え事の最中じゃなくても直撃するぞ、リオ……。

 いつの間にか俺、チカ対みんなになっていた……。

 なんでいっつもみんな俺を狙うの!?

 後に聞いたら乱戦が激しくなると、不注意で怪我を負わせてしまう危険があるから早めに抜けてもらう為だったことを知る。

 その所為で次からはチカにも真っ先に狙われることになるのだった。


 朝練を終えて、朝ご飯を食べる。

 準備すらさせてもらえないと逆に不安になるんだな、母親にされているときは全く気にならなかったのに……。親不孝ですまん、母さん。

 でも幼女たちが働いているのに座ったまま、というのはやっぱりなんか、ね?

 なかなか親父のようにどしっと構えてはいられないものなんだな。


 再度ダンジョンに入る前に鍛冶屋に向かった。

 いつもの店員に懐刀をお願いし、展示品を見ていく。

 なんか店員の目がまたか! と驚き見開いていた気がするが、気のせいだろう。

 チカは俺の思惑を読んでいたかのように盾の置いてあるところにまず向かった。

 自分の身の丈を超えるような盾を二個取り、上に重ねたりしている。

 何をしているのか、二枚盾? とか思っているとチラチラ俺を見て確認していた。

 どうやら俺の全身が隠れるようにする為みたいだ。

 ミオも忠臣だが、チカもそうみたいだ。

 ありがたい。

 まあ眷族みんなそうなんだけどね。

 メイン盾はミスリルにしようかと思ったのだが、どうやら魔法適正の無いチカにはあまり良くないらしい。

 本来は持ち主の魔力を高め、魔法攻撃力、魔法防御力を上昇させるなど様々な恩恵のあるミスリルだが、魔法適正の無い者が持ち、相手の放った魔法を防ごうとするとその魔法の威力を高めてしまうようなのだ。

 そのためミスリルではなく、鋼の盾を勧められた。

 そして色々とチカと見てみるが、あまり武器には興味を持っていないみたいだ。

 なんだろう、護衛というか守ることを第一に考えているのか?

 とりあえず出し入れ可能なので鋼の剣や槍、メイスなどを渡した。

 うん? メイスに若干反応した? 良いかわからないがメイスか、力もあるしいいかもな。

 店員に聖銀のメイスを頼み、持ってきてもらう。

「チカ、どう?」

「……振りやしゅく良いと思いましゅ」

 良し、全部でいくら?

「金貨8枚です」

 あれ、安くない?

「鉄、鋼の武器は材料があれば、スキルで大量に作れる言わば量産品でして、お求めやすい価格となっております」

 へぇー、そうだったんだ。

 そこから一歩出ると一気に値段が変わるんだな、ミスリルとか特に高いし。


 買った装備を手分けして持ってダンジョンへ。

 ダンジョンに着いたらすぐにチカに装備を渡し、収納してもらう。

 ダンジョンをゴスロリ服に素手で歩いているのはなんというか違和感が半端ない。

 何があるかわからないから盾くらいは出しておいて欲しいのだが……。

 俺の思いが伝わったのか、俺の近くに立ち盾を出した。

 完全に俺の護衛ですね。

 これにはミオも安心してくれるかなと目を向けていると剥れているのがわかる。

 護衛役を取られたと思っているのかな?

 家族も増えたんだから適材適所でいいんじゃないかな? ミオの能力は防御寄りだけど斥候職向けなんだから。

 まあこの辺りはおいおい話していこう。

 今は頭を撫でるに止める……なぜかそれをみんなに咎められ、全員の頭を撫でることになったが。


 ちょっと和んでしまったが、深呼吸して気合いを入れ直し、みんなの準備が整ったのを確認して進んだ。

 そして犬神戦、はっきり言って酷いものだった。

 誰が、といえばもちろんチカが。

 最初のうちは左手に盾、右手に聖銀のメイスで慎重に戦っていたのだが犬神の攻撃はチカに対して全くと言っていいほど効果がなかった。

 通常攻撃も特殊攻撃も効かないことがわかったチカは盾を収納し、両手でメイスを握った。

 そして犬神が吠える前にメイスを叩きつける、無表情で、叩きつける。

 淡々としていて怖い。

 黒い煙がもくもくしていても無視、相手が鳴いても無視、犬神が命を失うまで叩き続ける。

 俺は何もすることがなかった……。

 というかミオとチカだけで戦闘が終わっていた。

 ミオが犬神を発見次第、チカが撲殺。

 そういう流れができていた。

 本当にチカは犬神の天敵のような存在だったんだなぁと遠くを見ながら思った。

 なんで遠くを見ているのか、それは近くを見ると頭を潰されている犬神が見えるし、なんだかグチャっていう音が聞こえているからだ。


 チカの虐殺劇を昼まで続けた。

 これこそ見敵必殺(サーチアンドデストロイ)

 見事だ、でも問題も見つかった。

 結構レベル差があると思われる犬神を多く屠っているというのにチカのレベルアップが緩やかだ。

 さすがにドラゴンであるリュミス程ではないにしろ、他の眷属とは比べ物にならないくらい遅い。

 となると、ここは安全な狩場、レベルが上がらなくなるまでここで狩りを続けるのもいいな。

 いや、上げておくべきだろう。

 そうなるとリンカとライカのレベルが30になるのも近いだろう。

 あの受付嬢はこの娘たちをよく見ている。

 進化して一気に成長したのを見られるのはよくないな。

 一週間くらい間をあけておけばこんなだった? と勝手に判断してくれるかな?

 あんまり人は人の事を見ているようで見ていない……って言うけどこの娘たち美幼女だしなぁ……。

 まあ進化しないという選択も選べないし、30レベルで進化することが決まっている訳でもない。

 出たとこ勝負だよなぁ。

 そう判断し、家に戻った。

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