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 まだ日も暗いうちに目が覚めた。ミオはもう起きていたようで俺の顔をじっと見つめていた。

 ちょっと照れたが

「おはよう、ミオ」

「おはようございます、ますたー」

 挨拶をして朝日が出るまでに昨日決意した、気配察知スキルを教えてもらうことにする。

 ミオは常時使っているようで分かりやすく説明してくれた。


「けはいは、とらえかたが ひとそれぞれなので、そうぞうしやすいものを えらんでください。まりょく、しんどう、くうき、なれれば ふくすうのじょうほうを とらえ、せいかくに わかるようになります」

 集中して確認すると、ミオの身体から何かが微量出て、周囲を探っているのがわかった。アドバイス通り、イメージしやすいのでレーダーを頭に思い浮かべる。そして探知源は、熱だ。生き物なら持つ熱をレーダーで感知していくイメージをしていく。ミオのように身体から何かが出ていくイメージも忘れない。


 しばらくして、日が出てきた頃、その熱を感知していると


『スキル【気配察知】を習得しました』


 例の声が聞こえた。それでも続けているとやはりイメージしやすくなっている。

 そして、この部屋に近づく存在に気がつくことができた。

 俺より前にミオは気がついていたようで迎撃準備が整っていた。と言っても起こしに来た村長で危険は無かった。

 そして村長の家族と朝ご飯を食べて雑談をした。


 この村では食事は朝、晩の二食だった。これは昼ご飯を探さなければならない。そして、ゴブリン退治に出ることにした。昨日は見なかった子供や女性をよく見かけた、どうやら昨日のうちに話があったらしく皆挨拶をしてくれたので、笑顔で返した。


 覚えた気配察知を使いながら、ミオと一緒にまずは昨日ゴブリンと出会った場所に行ってみる。

「ミオ、ゴブリンたちはいる?」

「ここにはいないみたいです、ますたー」

 ということなのでそこから村を中心にぐるりと回ってみることにした。

 できたらゴブリンの集落を発見したいところだ。今の能力で複数のゴブリンを倒せるとは思わないが、向かってくる方向さえわかれば警戒も楽だし、集落を身張れば外に出たゴブリンに奇襲を仕掛けることも容易だからだ。


 そんな目的で歩いているとミオが立ち止まった。スボンを引いて、俺が進まないようにしている。

「敵は、何体だ?」

 まだ俺の察知には反応が無いので聞いた。

「いったいです。あとごふんくらいでそうぐうします」


 1体なので、ちょうどいい。

「ミオ、鑑定を使ってレベル1のゴブリンだった場合は、俺に戦わせてくれないかい?」

 ミオはとんでもないとばかりに

「せんとうはわたしのしごとなのです、ますたー。わたしのしごとをとらないでください」

 そう言ってくれる忠臣だがここで折れる訳にはいかない。


「なあミオ、正直俺は戦いたくない。ミオに全て任せてしまいたい、逃げてしまいたい、そんなことばかり考えている」

「なら、すべておまかせください。わたしはますたーのためにたたかいましょう」

「ありがとうな、ミオ。たしかに、ミオは強い。昨日の戦闘を見るに本当にすべて任せてしまえるかもしれない。だがミオは一人だ。一人ではどうしたってカバーできない隙がある、それも俺という足手まといがいれば尚更だ」

「ますたーは、あしでまといじゃありません!」

 ちょっと怒ったように言われた。しかし、このままでは事実足手まといなのだ。

「いや、今戦わないと足手まといだと思うよ。この先、ゴブリンにすら立ち向かえなくてどうやって生きていける? それにね、俺が足を引っ張ってミオが傷つく、最悪死んでしまうことだってあるかもしれない」

「わたしはますたーのためにつくられました! あなたをまもるためならほんもうです!」

 声を荒げ、泣きそうな表情で真摯に訴えかけてくる。

 嬉しいとも思うが大きな声を出した為にゴブリンに気づかれてしまった。

「ゴブ! コブーー!」

 奇声をあげながら短剣片手にこちらに突っ込んで来る。



 すかさず迎撃に向かおうとしたミオに、銅の剣を引き抜き、構えながら

「ミオは、下がれ! こいつは俺がやる!」

 ミオを下がらせる。

「ますたー、きけんです! かんでいもじでいまぜん‼︎」

 後半は泣きながら、それでも俺の命令には逆らわないようだ。


 こちらに突き刺そうと走ったスピードを乗せた短剣の突きに、カウンターで中段の構えから首目掛け突きを放つ。

 浅い! 震える腕が原因か、首の皮一枚しか切れなかった。

 そんな俺目掛け短剣が迫る。

「まずだーーー‼︎」

 ミオが泣き叫ぶ。

 足を後ろに引き、剣を左に払い、ゴブリンの腕ごと短剣を逸らす。浅い切り傷を与えながら、お互いに後ろに離れた。

 リーチの差を活かしながら手元を狙い小刻みな動きで傷を増やしていく。相手に焦りが見え、やや大振りになってきた。

 突きを放ち伸びきった腕を避け、素早く上段から全力で首に斬りつけた。


 断ち斬ることはできなかったが、首の骨が折れ血を噴き出しながら倒れていった。

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