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外に出て、もう日が高いことに気がつく。
かなりの時間戦っていたことがわかった。
とりあえずギルドに行き、換金するか。魔石は稀にってあったから残しておく。
いつもの受付嬢がいたので彼女に全員分のギルドカードを渡し、換金を頼む。
「十階のボスを討伐されたのですね、おめでとうございます。ところで、ミオちゃんたちに怪我させてないですよね?」
すごい眼力だな、ブルッときた。
怪我をしていないのは見ればわかると思うのだが? 回復魔法があるから確認されたのか?
「あ、あぁ、一番ダメージがあったのは俺だろうし」
「そうですか、でもユーさんたちはCランクですが、リンカちゃん、ライカちゃんはDランクなので気をつけてあげてくださいね。ボスのレベルが上がっていることもありますので」
……ボスもレベルが上がるの!?
「はい、いくつもの冒険者パーティーを倒したボスは、さらなる脅威となることが確認されています。最近、二十階のボスに挑戦したパーティーが帰ってきていません。もしかしたらレベルが上がっているのかもしれないので気をつけてください」
「それは大丈夫なのか?」
「はい、近々調査団を派遣することになっています。結果次第で討伐隊が組まれるでしょう」
なるほど、なら大丈夫か。お金を受け取り、ギルドを出た。
レベルが上がることが関係しているのか、ボスの討伐金は金貨1枚だった。
家に帰り、少し休む。そして俺のレベルが上がっていたのを思い出し、ステータスを確認する。
『ステータス』
名前 ユー(長谷川佑衣斗)
種族 ヒト♂ Lv7
称号 (異世界人)
HP 1486
MP 1115
攻撃 136
防御 110
速さ 155
知識 125
精神 104
器用 129
運 36
スキル省略
{眷族(6/7)}
(ミオ リュミス リオ クオン リンカ ライカ)
レベルが上がって、眷族を一人増やせるようになった。あとはCランク冒険者として恥ずかしくない能力値になったな、レベル以外。
まだ7レベルなんだよなぁ。
名前 ミオ(水緒)
種族 ヒト{隠密スライム(中忍)}♀ Lv21
称号 忠臣 (癒し系 抱き枕)
HP 2790
MP 465
攻撃 93
防御 186
速さ 279
知識 93
精神 93
器用 186
運 50
忠誠 100
スキル省略
ミオはレベルが2つ上がっている。レベルアップする直前だったのか、鵺の経験値が凄かったのか、悩むところだな。それに、20レベルで進化しなかったな。次の進化は何レベルなんだろう、楽しみだ。
名前 リュミス
種族 ヒト{ダークドラゴン(小)}♀ Lv5
称号 (龍種)
HP 5000
MP 5000
攻撃 500
防御 500
速さ 500
知識 500
精神 500
器用 500
運 80
忠誠 100
スキル省略
リュミスもレベルアップか。それにしてもリュミスは10レベルで進化するのだろうか? 20レベルだったらどれだけ時間がかかるかわからないぞ。その分、最終的には強くなるだろうが。
名前 リオ(莉緒)
種族 獣人 (ブラックウェアウルフ)♀ Lv16
称号 (亜種)
HP 1560
MP 2080
攻撃 208
防御 104
速さ 208
知識 312
精神 104
器用 104
運 55
忠誠 100
スキル省略
リオはあれだな、走り回りながら魔法をどんどん撃ってもらうのがいいかな。この能力値ならCランク冒険者は楽勝だろう。
名前 クオン(紅音)
種族 ヒト{魔族(未覚醒魔王)}♀ Lv26
称号 {憤怒の化身(未解放)} 元奴隷
HP 3360
MP 1440
攻撃 336
防御 144
速さ 336
知識 144
精神 144
器用 336
運 15
忠誠 100
スキル省略
クオンは順調に撲殺魔王の道を歩んでいる。
もうこのままなのだろうな。魔王覚醒で知識が上がることを少し期待しておこう。
名前 リンカ (燐火)
種族 獣人(猫)♀ Lv25
称号 なし
HP 525
MP 700
攻撃 35
防御 35
速さ 70
知識 70
精神 70
器用 35
運 34
忠誠 100
スキル省略
上の能力値を見た後だと、少し不安になるが動きは良い。
それに多分30レベルで進化ではないだろうか。進化後の能力値の伸びは凄いので楽しみだ。
名前 ライカ (雷火)
種族 獣人(猫)♀ Lv25
称号 なし
HP 700
MP 525
攻撃 105
防御 35
速さ 70
知識 35
精神 35
器用 35
運 34
忠誠 90
スキル省略
ライカもレベルアップ、これで全員レベルアップか、やはり上位妖怪、強かったんだな。
絶対最初のボスじゃないと思ったからな。
俺の読んでた漫画じゃほぼ人化できて、上位妖怪だった。だから警戒していたが、正解だったな。
そんな風に確認しながらダラけていると暇になった彼女らの襲撃を受けることとなった。
「あるじサマ、ヒマ〜〜」
「あそんでぇ! あそんでぇ!」
「……ん……」
リオは背中に乗っかかる。相変わらず背中が好きな娘である。
リンカとライカには左右の手を、両手で引っ張られている。
これは……休日のお父さんスタイル!
「ダメですよ、りーちゃん、りんちゃん、らいちゃん。マスターはお疲れなのですから」
「そうですよ、それにもうお昼ご飯の準備ができたので食べましょう」
「クオン、ありがとう。それとすまんな、一緒に料理しようなんて言っておきながらいまだ手伝いすらしていないもんな。明日、一緒に料理しようか?」
俺がそういうとクオンは喜んでくれたもののそれを遮る者たちが。
「トノだめだよぉ〜、オトコがダイドコロにはいっちゃぁ」
「……そこは、オンナの、センジョウ……」
なんと古風な! だが、そう言われるとな。
「クオンごめん、ダメになった。その代わり、リンカもライカもクオンのお手伝いをしてあげてくれな」
「はぁい!」
「……ウン……」
そしてクオンたちの作ってくれた料理を食べた。味? 妹というか娘みたいな存在が作ってくれた料理だぞ、至高の味です。
その後、第二回目の襲撃を受ける。
え、こんな年の娘たちと遊ぶって何をすればいいんだ?
「おままごととか?」
考えていたら口に出していた。
「おまま、ごと? どういう遊びなのですか、マスター?」
え、あれだけ色々知っていたのにそれは知らないの?
「おままごととは、お父さんやお母さんの役などを決めて、みんなでなりきる遊びだよ」
「そうなるとマスターはお父さん役だよね」
「そうなるかな」
「はい、はい、お母さん役になりたいです!」
「くーちゃん、その役はマスターの右腕である私にこそふさわしい役なのです!」
「チッチッチ、マスターの左腕である私が適役だよ!」
「え? え? なんかみんなかっこいいです! じゃあ私はご主人様の魔王です!」
いやいや、それかっこいいのか?
「クオン、それ外では絶対言っちゃダメだからね」
頭を撫でながら忠告する。
「あう、じゃあ何がいいんでしょうか?」
そんなことで、瞳を潤わせなくても……。
「じゃあ、懐刀でどう? いつもは主人に付き従うメイドのような感じで戦えるように見えないのに、主人に危機が迫ると本当の姿を見せ、敵を排除する。うん、主人の切り札、懐刀でいいんじゃない?」
かなり適当である。
「めい、ど? ってなんですか?」
「メイドは主人の世話をする女性のことかな? 詳しくは知らないんだけど、クオンは俺の世話をしてくれているからメイドを名乗っても大丈夫じゃないかな」
「じゃあ私、ご主人様のメイドで懐刀になります! これでお母さん役にもふさわしくなりますよね!」
こうして撲殺魔王メイドが誕生した。メイド服って頼んだら手に入るのかな? 王都とかにはありそうだよな。
「リオはあるじサマのむすめヤクがいい〜〜!」
「じゃあぼくもぉ、でもトノの〜ってのぼくもほしいよぉ!」
「……ソレガシ、トノの、ヤリ……」
「ああ! ライカずるいぃ!」
今度はリンカか。
「リンカは俺の癒しでどうだ」
リンカをあぐらをかいた膝の上に乗せて、撫でる。
「むふぅ……」
うん、この間まで俺の癒しはリオだったが、女性らしくなっちゃったからな。
「ムム」
「……」
リオとライカの視線を感じる。いや他のみんなの視線も感じるが特に二人からは強く感じる。
二人に視線を向けると、二人とも抱きついてきた。
右側にリンカを移動させて、左右の足にリンカ、ライカ。
背中にリオ。
だが、さらに続きがあった。
ミオたちも続いてきたのだ。
俺の右側にミオ、左側にリュミスが左右の腕を抱きしめるようにして座っている。
「ううぅ〜〜」
どこに座ろうか、抱き付こうか迷っている感じのクオン、正面を目で示してあげる。
視線に気がつき、リンカとライカを巻き込み正面から抱きついてきた。
残念ながら背やらが足りないからちゃんと抱きつけてないが。
そんな風にみんなにくっつかれながらもゆったりとしていたが、またお母さん役やらを取り合う戦いが始まり、結局おままごとの配役を決める戦いで1日が終わるのだった。




