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とりあえず、九階の蛇は一通りの待ち伏せパターンと戦ったと思う。
やはりというか、入り口の所での奇襲が一番戦い難い。
ここの敵と十分戦えることを確認して一応次の階を見て帰ることにした。
ボスがいる階層を見るのが初めてだったからだ。
蛇と一通り戦ううちに見つけていた階段を緊張しながら降りていく。
すると通路があり、その先に大きな扉があった。
どうやらボス以外の敵はいないようだ。
そう、ここも気になっていたのだ。本にはボスの名前以外なかったので、ボスだけの階層、他にもいる階層、どっちなのかと気になっていたのだ。
他にも敵がいた場合、十階層でレベル上げをしようと思っていたが当てが外れてしまった。
確認は済んだので適当に敵を倒しながらダンジョンを出た。
ギルドで換金し金貨3枚銅貨80枚を得た。
やはり鼠がいいな、リンカとライカがメインで狩るので討伐金も高くなるし。
この金額は、四つの群れを二人で狩っていたのでほぼそれのおかげだ。
家に帰り、これから料理できるのかと考えればできるのではあろう。でもそれはみんなでいつも入っていたお風呂を主にクオンを残して、先に入ることになってしまう。
奴隷商の所で皆に嫌がられていたことなどを思い出させてしまうかもしれない。
まあそうじゃなくても仲間はずれなんて認めないけど。
俺が風呂に入っている間に飯の準備をしてくれていた母ちゃん、ありがとう! 一人暮らし中でも感謝しなかったところに感謝できるようになったな。
もっともっとそういう気が付いていない感謝すべきところはあるんだろうな。
帰ったらお礼を言います。
ということで晩ご飯は宿にある食堂で摂ることにする。
せっかく近くにあるのだし、利用しない手はない。
みんなでお風呂に入って宿に晩ご飯を食べにいく。
しかし、みんなでお風呂に入るのは慣れたと思っていたのに挙動不審になっている俺がいた。
これも妹や姉がいない弊害ですかね?
従兄弟に姉と呼んでも差し支えない方もいましたが、女性の黒い部分ばかり見せられっぱなしだったので参考にすらなりません。
もしもみんながこれからああ成長するかと思うと寒気が……。
いや、みんなに限ってそんな成長するはずがない、うん、信じよう、阻止しよう!
宿で食事を摂った後、少し考えた。
黒魔法を隠蔽するべきか、どうかだ。
でも、今まで問題視してなかったし、鑑定されただろうが何も言ってこなかったので、黒魔法の隠蔽はやめた。
鑑定されたならいつの間にかスキルが消えている方が怪しいと考えたからだ。
そんな考えを終えて、みんなとまったりした後、寝ることにした。
今日はクオンとリオが俺の隣だった。
そして、俺たちはレベルアップの為に敵と戦い続けた。
近づく敵を完璧に感知し、奇襲、全てから味方を守り、敵を斬り裂いた……ミオが。
迫り来る敵を千切っては投げ、千切っては投げした……リュミスが。
圧倒的な身体能力で敵を殴り散らしていた……クオンが。
敵が近づく前に高威力の魔法で敵の出鼻を挫いていた……リオが。
杖術を覚え、攻撃を防ぐ、あるいは受け流すこともできるようになった。足を引っ掛けたり、首に突きを放つなど攻撃面も強化されたリンカ。
グレイブを使い、敵の間合いの外から安全に攻撃したり、かと思えば突っ込んで裂帛の一撃を叩き込んだりと臨機応変に対応していたライカ。
え、俺? 蛙の正面に立って囮役とか石を暖めたりとか頑張ってましたよ。
それに木工屋で木刀を作ってもらい、リンカと打ち合ってみたりもした。
レベル上げ中にリンカとライカのランクが上がったり、お金ができてリンカにミスリルの鎖帷子を買ったり、ドロテアさんの所に通い話したりもした。
あとは、桶屋に作ってもらった風呂桶がどう見てもお湯を掬う方の風呂桶サイズで驚いたりもした。
魔法を使うとは聞いていたが、素材の強化だけかと思っていたら大きさも変更できるようになっていた。
魔力を流せば大きくなり、維持は刻み込まれている刻印と魔結晶がしてくれるらしい。
小さくするときはその機能を切ればいいようだ。
ここで前からの疑問、様々な魔法用品のエネルギーの謎が解明された。
どうやら魔結晶が利用されていたのだ。
魔結晶は魔力を集める効果がある。これによって刻印が刻まれた道具に付ければ空気中の魔力を勝手に集め、魔法が発動するようだ。
実は魔族と人間が敵対関係にあるのは、こういうのも関係にあるのかもしれない。
今までみんなから詳しい説明がなかったのも納得だ。
家にまで運び、風呂桶はアイテムボックスに収納した。
少し思うところがあるのか、俯きがちになったクオンをいきなり後ろから抱き寄せて膝に座らせた。
「え、え!? 突然なんですかご主人様!?」
慌てるクオンが何か言ってるが無視して抱きしめたまま頭を撫で続けた。
実際どう思っているのかはわからないが、触れ合った記憶は無くとも同族が、もしかしたら道具の為に狩られていたとしたら、そりゃ気分も悪くなるよな。
でもクオンは何も言ってこないので俺も何も言わず、ただ共にいることにした。いや、撫でたりはしたけど。
そんなこんなでレベル上げやらボス対策をしてきたつもりだ。
そろそろボスに挑む頃かもしれない。
ステータスを開いて確かめる。
『ステータス』
名前 ユー(長谷川佑衣斗)
種族 ヒト♂ Lv6
称号 (異世界人)
HP 1329
MP 983
攻撃 121
防御 96
速さ 139
知識 111
精神 91
器用 114
運 35
(エクストラスキル)
(眷族化 ダンジョン作製 不老)
ユニークスキル
{異世界言語 異世界文字 異世界武術(剣道)} 心眼(擬)
スキル
中級鑑定 (アイテムボックス小) (隠蔽Ⅲ) 気配察知Ⅲ 危機察知Ⅲ 空間把握Ⅲ 剣術Ⅴ 全状態異常耐性Ⅳ 忍び足Ⅲ 威圧Ⅱ 防具顕現Ⅰ 武器顕現Ⅱ 刀術Ⅲ 二刀流Ⅲ 格闘Ⅱ 再生Ⅰ
魔法 火Ⅱ 水Ⅱ 黒Ⅲ 風Ⅱ 闇Ⅲ 雷Ⅰ
{眷族(6/6)}
(ミオ リュミス リオ クオン リンカ ライカ)
レベルは上がらなかったものの能力値も、剣術、刀術などのスキルも上がり良い感じだ。
それでも一般的なCランク冒険者の能力値に負けているのが悲しい……。HPは高いからきっと圧倒的に硬いだろうけど。
名前 ミオ(水緒)
種族 ヒト{隠密スライム(中忍)}♀ Lv19
称号 忠臣 (癒し系 抱き枕)
HP 2610
MP 435
攻撃 87
防御 174
速さ 261
知識 87
精神 87
器用 174
運 49
忠誠 100
(種族スキル)
(スライムボディ中)
(ユニークスキル)
{人化(特) 忍術}
スキル
(隠蔽Ⅷ) 気配察知Ⅵ 投擲Ⅳ 短剣Ⅴ 全状態異常耐性Ⅳ 格闘Ⅲ
ミオはステータスを見る限り、リュミスやクオンに負けているように思うのだが、模擬戦などでは負けていない。やはりステータスによらない強さもあるんだろうな。
リュミスはレベルが上がらなかった。リュミスのレベルアップを待とうと思ったのだが、全く上がらなかったので諦めた。
名前 リオ(莉緒)
種族 獣人 (ブラックウェアウルフ)♀ Lv15
称号 (亜種)
HP 1500
MP 2000
攻撃 200
防御 100
速さ 200
知識 300
精神 100
器用 100
運 54
忠誠 100
種族スキル
(黒狼爪牙 黒体) 獣化
(ユニークスキル)
(シャドールーク 人化)
スキル
闇魔法Ⅲ 忍び足Ⅲ 拳闘Ⅲ 威圧Ⅲ 格闘Ⅲ 再生Ⅰ
リオの能力値は綺麗な数字になっているな。
防御面に不安のあったリオだが、HPも高くなり安定してきたと思う。
名前 クオン(紅音)
種族 ヒト{魔族(未覚醒魔王)}♀ Lv25
称号 {憤怒の化身(未解放)} 元奴隷
HP 3150
MP 1350
攻撃 315
防御 135
速さ 315
知識 135
精神 135
器用 315
運 15
忠誠 100
種族スキル
魔力吸収(弱) 魔力操作(弱) 魔力解放(弱)
(エキストラスキル)
(未解放)
(ユニークスキル)
(未解放)
スキル
火魔法Ⅱ 木魔法Ⅰ 武器顕現Ⅱ 拳闘Ⅲ 家事Ⅴ
クオンは20レベルを超えてからの能力値の伸びが高い。これって魔王補正なのかね? でも勇者とかには確実に負けているよな、どういうことなんだろうか?
名前 リンカ (燐火)
種族 獣人(猫)♀ Lv23
称号 なし
HP 495
MP 660
攻撃 33
防御 33
速さ 66
知識 66
精神 66
器用 33
運 32
忠誠 95
(種族スキル)
(猫爪牙 金招き)
(ユニークスキル)
{人化(劣)}
スキル
火魔法Ⅰ 杖術Ⅱ
スキルに杖術が追加されたものの能力値には少し不安が残る。20レベルで進化してくれることを期待したが進化もなかった。Cランク冒険者にはまだ遠いかな。
名前 ライカ (雷火)
種族 獣人(猫)♀ Lv23
称号 なし
HP 660
MP 495
攻撃 99
防御 33
速さ 66
知識 33
精神 33
器用 33
運 32
忠誠 85
(種族スキル)
(猫爪牙 人招き)
(ユニークスキル)
{人化(劣)}
スキル
雷魔法Ⅰ 槍術Ⅱ
能力値はリンカ同様低いものの器用にグレイブを使い、攻守に活躍してくれている。このまま成長したらかなり頼もしくなりそうだ。
二人に少し不安が残るもののレベルも上がりにくくなっており、ボスに挑む頃合いなんだろう。
頑張ってみますか。




