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風邪で集中できず、遅れました。まだ治らないのでもうしばらくは遅れると思います。
皆様は体調にお気をつけください。
ギルドを出て、気分を切り替えようとミオたちの頭を順番に撫でていき、落ち着いた頃、ダンジョンに向かった。
とりあえず、進路上の蜘蛛を排除していて気がついたが、リンカを後ろに回すと攻撃の機会がない!
遠距離攻撃の手段がないのだ。でも前衛に回して安心できるほどの能力値でもない。
悩んでいると杖に魔力を流して、杖に火属性が追加されていた。
殴り魔法使いの誕生である。
うち、前衛多くないですか?
しょうがないので、杖による護身術を学んでもらおう。
その後は七階層のリベンジだ。
リンカとライカには人化を解いて戦ってもらう。
あの小ささは戦いづらすぎるのだ。あんな地面スレスレを一匹一匹叩いていくのは正直無理。踏むしかない。
踏むという攻撃は単純でありながら、体重のほとんどを使えるので凶悪な威力を出せるのだが、鼠は速い。
前回のように固まっていればどこに攻撃しても当たるが今回は難しいだろう。
そこで猫である。ハンターに任せるのだ。
気配察知を使いながら鼠を強襲していく。
本当に十数匹の群れにしか出会わなかった……。
ドロップアイテムは鼠の尻尾、ヒゲ、チーズだった。
結構、ドロップアイテムってなんでギルドが買い取っているのかわからない物多いよな。まあモンスターを倒して得られる物だから魔力があったり、俺の知らない技術に使われたりするのかな。
ついでに人がいないことを確認してリオに人化を解いてもらう。
二本足で立つ子狼だな、うん。前より成長して、少しは手に物を持てるようになっているのかな? まあそのくらいの変化しかわからない。
攻撃を当てにくいこと以外は特になかった。
群れだとあんなに恐ろしかったというのに……。
鼠たちはレベルも14とそこそこで群れで出るのでレベルアップに良いのかもしれない。その反面、余裕と舐めてかかると手痛い反撃を受けたり、受けた相手によってモンスターハウス化したりと、危険性があると。
ハイリスクとは言えないまでも、今までの階の中で断然危険で、リスクに見合うかわからないまでも経験値というリターンがあると。
その結果、リンカとライカはレベルアップを果たしたようだ。
まあ既に一度危険な目に遭っているので戦闘もそこそこに階段を見つけたので降りていく。
降りる前に念のため、二人には人化してもらった。
出てきた敵を見て、リンカとライカに人化してもらって良かったと思った。
子猫姿なら楽に、人化状態でも怪しい、いや成長したミオたちですら一飲みにしてしまいそうな敵だ。
それはそれは大きな蛙だった。元の世界一の大きさを誇るゴライアスガエルが子供? に見えるほどの大きさだ。
ここまで大きいと思わなくて圧倒される。
生で見たことがある最大はウシガエル、20㎝に満たない大きさなのだから……。
その大きさに圧倒された俺に蛙が迫る!
「マスター!」
ミオがとっさに俺の前に出て、短剣で防いでくれるが、舌が短剣に巻き付いていた。
俺もとっさにミオに覆い被さる形で抱きしめる! 抱きしめてすぐに凄い力で引っ張られた。
俺のミスでうちの娘に蛙に丸呑みされたなんてトラウマを植え付けさせるわけにはいかん!
「……ッシ……」
ライカがグレイブで舌を切り裂いてくれた。
舌を失った蛙は攻撃の手段を失ったのか脚力を活かした体当たりしか仕掛けてこなかった。
正面をリュミスに頼み、みんなで囲んで倒す。
打撃攻撃は、表面にぬめりがあるのか効かなかった。
クオンとリンカの火属性の殴りは効くようだ。
跳躍する蛙もリュミスが力尽くで止めてくれ、集中攻撃でやっと倒せたがかなりタフだった。
斬ろうにも深く傷付けることができなかったりと戦い難い相手だった。
戦いが終わって考えるに最初の攻撃は、あの強力な脚力を活かした跳躍と舌を伸ばす動き、二つを合わせたあの敵の中で最速の必殺技だったのではないだろうか。しかも多分初見殺しのような技。
知っていれば対処できるが、知らなかった為に蛙にあんな速さの攻撃があるなんて思わなかったこともあり、隙を突かれてしまった。
「ありがとう、ミオ、ライカ」
助けてくれた二人を撫でながらお礼を言う。
それにしても危なかったな、不用意に蛙の正面には立たないように気をつけないと。
ドロップアイテムは蛙の足だった。
蛙の足は皮が剥いてあった。蛙の足は皮を剥くと蛙とは思えないほど綺麗な肉をしているんだよな。
少し臭みがあるから唐揚げにすると美味しい。
実験に利用した蛙を食べたことがある。
珍しいからと家に持ち帰って調理もしてもらった。
鳥の唐揚げの中に混ぜてあって下の弟が食べたら、美味しいと言っていたみたいだ。
食べたあとそれ蛙肉って親父が教えたら吐いたらしい。
俺に文句を言ってきたが、素材を提供したのは俺だが、黙っていたのは親父だしな。
懐かしいことを思い出したものだ。ちょっと思い出し笑いをしてしまった。
「どうしました、ご主人様?」
「いや、なんでもないよ。クオンってこれ調理できる?」
「? はい、大丈夫だと思います」
「じゃあ、これは売らずにクオンに調理してもらおう、お願いね」
「はい、わかりました」
唐揚げができる調味料や油があったら俺も作ってみるかな。
ほとんどは舌で巻きつける攻撃をしてくる蛙で、俺が正面に立つことで防ぎ、その間に他のみんなに舌を切ってもらい、その後は先ほどと同じ、という手順で倒した。
俺以外だとみんな軽すぎて巻きつかれた後、連れていかれてしまうのだ。
なので頑張って正面に立った。
ほとんどと言ったように、一部は舌を巻きつけず、ぶつけるだけの蛙もいた。
こいつが一番厄介だった。
リュミスに身体を固定してもらおうにも舌でいろんな箇所を攻撃する。結構、縦横無尽に操れるものらしい。
リュミスにとってダメージはほとんどなかったが、邪魔されて蛙が暴れるなど妨害は酷かった。
最終的にはリュミス、ミオ、俺、ライカの順に正面に並んで、リュミスが動きを止める、ミオが舌を捉える、そのミオに俺が抱きつく、ライカが舌の根元の方から断つ、という力業を敢行した。
なかなかに厳しい戦いだった。
蛙と戦い続け、そろそろお昼を気にする時間となってきた。
ここでクオンの作ってくれた昼食を食べても良いが、食事中というのは大きな隙となる。
そして、食後、育ち盛りのこの娘たちには食休みをちゃんとして欲しいというのもある。
いつかはこのダンジョン内で見張りを立てて食事、テントを張っての泊まりなどをしないと攻略が難しくなるかもしれない。
だが、帰ることができるうちは帰る方が間違いなく安全だろう。
攻略はレベルアップが目的なのだ。無理をすることもないだろう。
ということでみんなに話し、家に帰ることにした。
帰りにギルドに寄って換金、これからはこまめにしよう。
どうやら六階から十階まではDランク相当らしく、討伐金が上がった。
リンカとライカなら銅貨20枚か、稼ごう。
ドロップアイテムなど合わせて、金貨2枚銀貨7枚銅貨30枚。
一気にもらえるお金が変わってきたな。
結構使った後だからありがたい。
家に帰る途中、パン屋で焼きたてパンを買って帰り、クオンの手料理を味わった。
クオンに感謝し、朝の調理中に背が足りずちょこちょこしていた可愛らしい姿を思い出しながら味わって食べた。
そして食休みをちゃんとしてダンジョンに戻った。




