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 少し歩くと着いた。アルキオが一人で村長の家に入り、説明してくれている。

 ミオをなでなでしながら待つ。俺にそう言う趣味はないはずなのだが……。なんだか凄く安心する。嫌がられてないようなので、存分に癒される。


 ちょっとしてアルキオが呼んできた。村長の家に入ろうとすると満足そうな顔をしていたミオに止められた。

「たてもののなかに はいるのは わたしからで おねがいします。けはいさっちすきるが ありますが、わななどは さっちできませんから」

 うん、小さい娘を盾にしているようで、いや実際にしてるんだけど。微妙な気分になるが任せるしかないので了承した。


 ミオを先頭に入ってみると質素な室内だった。あまりジロジロ見ると失礼なのでやめた。そういうのは、怪しまれないミオの仕事だ。なので俺の仕事をしよう。



『鑑定』


 名前 フロック

 種族 ヒト♂ Lv7

 罪科 ???


 罪科という欄が初めて出てきた。この人物は要注意だ。しかし、この人もレベルが低い、七十歳くらいに見えるのだが。

 まあレベルが低い人が多いなら俺は安心できるのでそうであって欲しい。


 とりあえず村長、アルキオの対面に行くとボロ布のような物を渡された。これを敷いて座るらしい。言われるまま腰を降ろした。ミオは俺の膝の上だ。え? え? って顔をしていたがそこに誘導した。


「初めまして この辺境の村長をしております、フロックです。モンスターに襲われたようですが何か証拠のような物はありますか? 疑っているようですが、この土地は魔力が極々少なく作物などが育ちにくい反面、モンスターも出現しにくいという土地柄なので……」

 なるほど、モンスターが出にくい土地だからレベルが低いのかもしれない。


「初めまして そちらの方に聞いているかもしれませんが、ユーとミオです。とりあえず、コレなんてどうでしょうか?」

 さっきアイテムボックスに入れた緑皮と腰ミノをあたかも服から取り出したように、アイテムボックスから出し、村長に渡した。


「なるほど、確かにゴブリンの皮と腰ミノですな。酷い臭いですがこれが証拠と言えます、こんな臭いのはゴブリンくらいでしょう」

 深刻な表情になった。すぐにアイテムボックスに入れたから良かったが確かに臭い。この臭いでは、売れないかもしれない。


「場所はどこでしょうか? 村の近くでしたか?」

「はい、村から歩いて二十分くらいの草原で遭遇しました」

 そんなに近くに⁉︎ と驚いている。


「困りましたな、村長。そんなに近くに出るということはゴブリンの集落ができたのかもしれません。街に救援を求めようにも歩いて三日はかかります。それでは襲撃を受けた後となってしまうでしょう」

 今まで黙っていたアルキオが村長に話しかけた。


「そうだな。働き手の男も少ないこの地で集落となったゴブリンを迎え討てはしないだろう。だが、このままでは男は殺され、女は連れ去られるだろう」

 女は連れ去られるらしい。やはり小説通り女の敵なのだろう。しかしこれはチャンスかもしれない。


「お話中のところ申し訳ない。もし、泊まる所と食事を提供していただけるのなら、斥候として来ているゴブリンを倒して村の発見をできるだけ遅らせましょう」

 こんな提案をしてみる。


 村長たちは驚いた顔をして

「いつゴブリンが襲ってくるかわからない村に滞在したいと言うのですかな? それとゴブリンに襲われて逃げてきたのでは?」

 どうやら実力を疑われているようだ。まあモンスターに襲われて手荷物を失ったと説明したしな。


「ゴブリン程度なら倒せます。手荷物を失った原因のモンスターは、もっと強いここから離れた場所のものです。それらから夢中で逃げているうちにここにたどり着きました。三日三晩逃げ続けていたのでそれらがここに来ることはないでしょう。ああ、もしかしたらあのゴブリン達もあのモンスターから逃げてきたのかもしれませんね」


 ちょっと疲れたように言う。三日三晩は、言い過ぎた……。その言葉になぜか納得したように

「なるほど、それならこの不毛の辺境にゴブリンが来たことも納得できます。集落もうちの女共が連れ去られない限り、作れないでしょう。でしたら、寝る場所と食事は私の家で提供しますのでどうか逃れて来たゴブリンの始末をお願いします」


 嘘を重ねているとどうやらゴブリンの集落ではなく、逃げてきたゴブリンだと思われてしまった。その話は嘘なので多分集落があるのだろう。

 まあ斥候を倒してレベルを上げたら、潰しに行けばいいのでこのままにしておこう。あともうちょっと引き出してみるか。


「すみません、妹の方は短剣、私は長剣を得物としているのですが、余っていませんか? 素手でも戦えますが時間が掛かってしまい、最悪逃げられてしまうかもしれません」

 少し脅しを入れつつ相談してみる。


「それなら普段使わないので倉庫の方にしまってあります。あまり良いものではありませんがご利用ください。アルキオに案内させましょう。その間にこちらで食事と寝所の準備をしておきます」

 上手くいった、武器を手に入れたら俺も戦闘に参加してみよう。


「いろいろとありがとうございます。ただ、一つ気になったのですが、もうすぐ夕方、夜はゴブリンの警戒はしなくてもよいのですか?」


「はい、夜は確かにモンスターの時間、奴らが活発になる時間帯です。しかし、モンスターとして最下級のゴブリンなどは餌でしかありません。その時間帯にのこのこ出て行き餌になりに行くバカは流石にゴブリンでも居ないのです」

 なるほど、確かにそうだな。


 その後、アルキオに倉庫に案内してもらい、俺用に銅の剣三本、二本はアイテムボックスに。ミオ用に銅の短剣三本、一本とゴブリンから奪った錆びた短剣をアイテムボックスに、もちろんアイテムボックスに入れるのは見られないように注意した。

 銅の剣は、ベルトで左腰に固定した。

 ミオは両腰に固定していた。どうやったの? ベルトもないみたいなんだけど? そういえば服もミオの身体みたいだし、粘着させてるのかも。


 そんなこんなで装備も手に入れたのでゴブリン退治、俺も初戦闘してみよう。

 そんな決意をしながら村長の家に戻り、硬いパンと変な草の入ったスープを食べた。パンはスープにつけても硬かった。


 今度からパンはパンでも食べれないパンは何? ってクイズ出されたらこのパンと答えよう。アホなことを考えつつなんとか削り食べて、寝所に向かった。

 一応客間はあったようで、小さい部屋だったが二人だけなので、気にならなかった。


 床にペラペラな布を敷いただけだったがなんとか寝ることにする。一緒の布だったが扉側でミオが寝ると譲らなかった。警護の為らしい。ミオを抱き枕にして眠りたかったがそれもダメらしい。わかった、わかったからそんな悲しそうな顔で言わないで。嫌われてないのはわかっているから。

 謎の攻防を繰り広げ、俺はミオにこんな顔をさせない為に気配察知スキルを上げて抱き枕にしてやる、と決意するのだった。

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