59クリスマスだと⁉︎
1/9 58話を加筆しました。それと時系列を合わせる為の並び替えを行いました。この前話が最新の投稿となります。
申し訳ありませんでした。
「「おはようございます、マスター(ご主人様)」」
「おはよう、ミオ、クオン」
朝、目覚めるといつものように二人は先に起きていて俺に挨拶をしてくれた。挨拶を返しつつ、ギルドカードを取り出し時間を確認した。
「うわぁぁぁ〜〜‼︎」
突然のことに焦り、ギルドカードをぶん投げた!
「マスター! どうしました⁉︎」
「大丈夫ですか、ご主人様⁉︎」
二人が驚きながらも心配して近づいてくるが、心臓がバクバクと音を奏で俺には反応することができない……。
ミオは俺を落ち着かせようと俺に抱きついてきて、俺は少し落ち着くことができた。
「メリー、クリスマス?」
俺が投げたギルドカードを拾い、見たクオンがそう呟いた。
そう、ギルドカードには『メリークリスマス!』と表示されていたのだ。
なぜだ⁉︎ なぜ異世界に来てまでそんな行事を思い出さなければならないのだ‼︎
あの、弟が夜遅くまで帰らず、家族と食べるケーキの味、敗北者の味……。両親からの同情の眼差し、下の弟の兄貴がいるから俺も安心みたいな表情……。
ウオォォォ〜〜⁉︎ また思い出してしまったではないか! うわぁぁぁぁん……。
ギルドカードに時計機能をつけてくれたことに感謝していたが、何代か前の勇者め! こいつ絶対性格悪い!
ふぅ、俺の乱れに乱れた感情によって起こされたのか、リュミスやリオも俺の周りに集まって心配そうに抱きついていた。
こんなことにも気がつかなかったなんて……。
「もう大丈夫だから……」
少し力なく笑いかけ、みんなを抱きしめてから頭を撫でる。
「いったいどうしたのですか?」
不安そうに聞かれてどう答えたものか悩んでしまう。
「クリスマス、この日はね、恐ろしい日なんだ……。カップルと呼ばれる男女の組みを作れなければ街を歩くことさえ許されず、独り身と呼ばれる者たちはいないかのように扱われる……。俺はもうバイトを当たり前のように入れられたり、仕事を押し付けられたりするのは嫌なんだ‼︎」
あ、いかん、他のトラウマが顔を出して叫びやがった! またみんなに抱きしめられてる、さっきより力が強いです。そんなにヤバそうに見えたのか……。
「よくわかりませんが、カップルとは男女の組みなら私たちはカップルではないのですか?」
え、カップルとは違うけど、それ伝えたら誰か一人とお出かけとかになりそうじゃないか? というか仲間はずれとか出ることがないようにしてきたし、これは……。
「考えたら今年は俺も街に出られるんだな!」
と肯定も否定もしていない返答をする。
とりあえず、街に出てみた。
が、特に変化は見当たらない。
それとなくミカちゃんに聞いてみたところ、クリスマスは知らないらしい。じゃあなんで『メリークリスマス!』なんてギルドカードが表示したんだよ⁉︎
よくわからないのでいつものようにダンジョンに向かった。
さて朝食前の朝練ですよ!
大部屋までの鴉をみんなで倒していく。大部屋にいる多くの鴉を協力して倒した時違和感を感じた。
なんというかアイテムボックスに混入物があったような? 気になってアイテムボックスを確認してみると食料が増えていた。
なんだこれ? 確認してみると
クリスマスケーキ
異世界人期間限定ドロップアイテム
一人分のミニホールケーキ
……ゲームのイベントかよ⁉︎ でもこれ、一人分かぁ……。人数分必要ですよね、やっぱり……。
よし、これはみんなにナイショにしておこう。
「今日の朝練は鴉狩りにしようと思うんだけどいいかな?」
みんなに聞いてみたら不思議そうにしながらも許可してくれたのでダンジョンを朝ご飯の時間まで回り続け、鴉を倒したがケーキは手に入らなかった。
このドロップ率の低さにより、今日一日中クリスマスケーキ集めと決まってしまった……。
朝ご飯を食べてさらにダンジョンへと。
地下二階に行ってもいいのだが、ドロップ率が低かったので、二階の敵からもドロップするのか確認にも時間が取られるし、出ない場合は無意味に狩ることになってしまうので一階の鴉を狩ることにした。
みんなには鴉を狩って動きの確認をしたいと誤魔化した。
おら、時間までに人数分集めなきゃいけないんだからとっととドロップしろや! と二刀流で鴉を次々刺し、叩き、斬り、切っていく。
お昼までになんとか4つのケーキを手に入れた。
これは余裕が出てきたと昼ご飯をダンジョンから出て食べた。
さて最後の追い込みだ!
と意気込んで行ったら、なんか出た‼︎
それは馴鹿に乗った白い髭のおじいさんだった……。大きな袋を背負っている。
『鑑定』
種族 騎馴鹿サンタクロース ♂ Lv24
……レアドロップしそうだよな、うんぶっ倒してやんよ! ドロップアイテム回収で少し壊れていたテンションのままに俺は突っ込んだ。すると背負っていた袋を振り回し、叩きつけてきた! なんとか回避し馴鹿を斬りつけた。首を狩るつもりが避けられ、赤い鼻を斬るだけにとどまった。
だが、赤い鼻を斬られた馴鹿は急激に力を失ったように倒れた。
これはもしや、と思いサンタの髭を狙い斬りつけた。狙い通り髭を狩るとサンタも力を失ったように倒れた。
思った通りだ! 馴鹿といえば赤い鼻、サンタといえば髭、といった自分を特徴づけるものを失うと力がなくなるようだ。最後に倒れた敵の止めを刺した。
レベルアップ音が何度か鳴り響いた、これはうるさいな。天の声さん、これからは俺のレベルアップのときだけでお願いします。
よし、何かドロップしたみたいだ。
クリスマスプレゼント×2
異世界人期間限定クリスマスプレゼント
あ、これも人数分必要じゃないか! 二個ドロップだからもう一回だな! よし、やってやる!
その後も回り続け、倒し続け、ケーキ9個、プレゼント4個、鳥の丸焼きを無事手に入れた。
疲れたがこの後が楽しみだ!
宿に戻り、今日の料理は部屋に運んでもらった。
「今日はクリスマスだから特別な料理があるんだ!」
そう言って鳥の丸焼きとケーキを取り出し、みんなで食べた。
「甘くて美味しいです、ありがとうございます、マスター!」
「ケーキ美味しいね、ありがとマスター!」
「こんな美味しい物、初めて食べました! ありがとうございます、ご主人様‼︎」
「あるじさまありがとう〜! おいしいよ〜、あるじさまもたべて、あ〜ん」
リオにあ〜ん、されたので食べて、リオにもしてあげたら、なぜかみんなともすることになった、なぜだ⁉︎
俺以外はケーキを2個食べた。やはり女の子は甘いものが好きなんだな。
その後、みんなが寝静まるまで待ち、枕元にプレゼントを置いてから寝た。
朝目覚めるとみんなが着ぐるみを着ていた。
ミオが猫、リュミスが犬、リオが狐、クオンが狸だった。なにこれ、可愛すぎるだろ⁉︎
「あ、おはようございます、マスター。これプレゼントでいいんですよね? 勝手に着ちゃいましたけど……ありがとうございました!」
「おはようございます、ご主人様。ありがとうございます、でも昨日の料理やこのプレゼント、いつ準備されたんですか?」
「おはよ〜、ありがとうねマスター。どうどう、可愛い?」
「おっはよ〜! あるじさまありがと!」
「おはよう! 喜んでくれて嬉しいよ、それはクリスマスプレゼント、いい子なみんなに俺からのプレゼントだ! そしてみんなめちゃめちゃ可愛いぞ!」
そう言ってみんなを抱きしめた。満足して、ギルドカードを見たら『メリークリスマス!』と表示されていた。
またギルドカードをぶん投げてしまった。
「あれ、また『メリークリスマス!』って書いてありますね。もしかして二日間クリスマスなんですか?」
「きょうもおいしいけ〜きたべられるの〜?
」
「今日もプレゼントもらえたりするの?」
「今日もなんてクリスマスは凄いです!」
昨日頑張ったので疲れていたが、みんなのキラキラした瞳に見つめられ、何にも言えなかった……。
今日のサンタのレベルは25だった。




