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あけましておめでとうございます。今年も書いていきますのでよろしくお願いします。

 昨日は早めに寝たので睡眠時間もバッチリで気持ち良く起きることができた。麗らか陽気を感じ、今日もいい天気になりそうだと身体を起こした。

 こんな日は外に遊びに行くのが良いのだろうがギルドでランクアップ試験がある。お昼までに終わったら遊びに行くのもいいな、なんて思った。


 みんなも起きてきて身支度を整え、ダンジョンに向かった。

 ダンジョンの一階で軽く素振りとみんながいつも戦っている中に俺も入った。やっと俺もこの中に入ることができた。俺は殴ったり絶対できないので手刀でパリー、殴ってきた腕を掴み、相手の力を利用する。ミオも力が弱いので俺の真似をするようになった。

 俺は心眼があるからできるのだけど、俺の素人技を見ただけでできるようになるミオって……。

 そんなことを軽く行い、ダンジョンから戻り朝ご飯を食べて、時間が近づくまで部屋で過ごした。


 こういう試験とかで待つ微妙な時間が本当に嫌いなんだが、俺以外はそんなことがないようでリラックスしている。

 いつも通り背中に張り付こうとしていたリオを捕まえる。膝に乗せ、後ろから抱きしめて、頭を撫でて落ち着く。

 なんというかこの娘はいつも俺にくっつこうとしてくるので、こういうことをするのに俺も全く抵抗がないので一番落ち着く相手だ。


 みんなが何か言いたそうに見てくるが、今は俺が落ち着くことが最優先なので見なかったことにする。

「はふぅ〜〜」

 と撫でられるがままになっているリオ。この娘狼だよね? 犬みたいになってるよ。

 そんな風に落ち着いていたら、時間が近づいていたのでギルドに移動することにした。


 右手をミオと左手をリュミスと繋ぎ、背中にリオ、肩にクオンを乗せて歩いている俺。

 何があったかというとやはりさっきのリオがずるいと主張されてしまい、みんなと手を繋ぐことになったのだが、俺の手は二本しかないのでミオ、リュミスがいつも通り主張、リオが背中にくっつくのを見たクオンが肩によじ登るという一幕があった。筋力が上がっているから平気なんだけど、精神的に疲れた。

 他はみんな自分の定位置があるのに、それがないクオンさんが自分の場所を見つけるまでのプレッシャーとか特に……。


 朝起きた時は今日はいい日になると思ったんだけどなぁ。まぁいいや、あ、でも仲間が増える度にこの定位置決めとかあるのかな? もう場所ないんだけど。

 先のことは未来の自分と仲間に任せよう。


 そんなことを考えているとギルドにたどり着いた。考え事をしていたのがいけなかったのか何も考えずそのままギルドに入ってしまった。

 その結果、ギルド内の至る所から不審な視線に晒されることとなった。男性冒険者の一部と数少ない女性冒険者のさらに一部からは他とは違う熱視線が……。うん、もういいや、自重とか知らね。どうせ更に眷族増やしたらしばらくは人間形態以外を連れることになるんだし。

 それらの視線を振り払い、ギルドのカウンターへ行き要件を伝える。

「はい、もう試験相手には来ていただいていますのでいつでも受けられますよ」

「では今から受けます。相手はどんなのですか?」

 時間に余裕を持たせたのだ、変な奴は連れてきていないと思うが一応な。

「では訓練所に行きますのでついてきてください。試験相手はここのギルドでも有望株で年若く、レベル20に満たずにCランクになった三人パーティーです」

 訓練所に行く途中に説明を受けながら考える。レベルが低くてということは他の人より能力値が上がりやすいか、特殊なスキル持ちなんだろうな。


 訓練所に着き、何か言いたげな受付嬢の視線も無視して中に入った。

「もしかしてこんなガキたちが?」

 そんな侮蔑を含みまくった台詞を吐いた奴を見る。俺から見るとお前もそう変わらないんだがなと思われる男の子がいた。金髪の短い髪が挑発的に逆立っている。その顔は整っているものの人を見下したような表情が全てを台無しにしている。

 その後ろには二人の獣人の女性。目が死んでいることと黒い禍々しい首輪を除けば美少女だ。犬と猫と思われる獣人、犬獣人は髪が長く垂れ目でおっとり系、猫獣人は髪が短くややつり目。女の趣味は悪くないようだが、どう見ても女性の扱いは最低ランクの男のようだ。

 先ほどの台詞は無視して受付嬢に話しかける。

「冒険者が奴隷をパーティーに入れることは多いのか?」

「はい。報酬や他にも多々問題がありますのでそれを避けるために奴隷をパーティーに入れるのは一般的です。また獣人の方もどうせ奴隷にされるなら、力が優先される迷宮都市で、という方が多く他より安く購入できるため特にここでは多いです」

 なるほど、そういう体制ができているのか。


「結果はわかっているんだからとっとと試験を始めるぞ!」

 無視されて機嫌の悪くなった男が言った。



『鑑定』


 名前 アラン

 種族 ヒト♂ Lv15


 名前 テレン

 種族 獣人♀ Lv13


 名前 メルン

 種族 獣人♀ Lv12


 名前 ボルト

 種族 ヒト♂ Lv86


 ついでに壁際で隠れながら訓練している振りをしていたおっさんにも鑑定をかけた。このおっさんに気がついたのはミオだ。俺では気づけなかった。この態度の悪い試験相手とこのおっさんがいるということは……。なんとなく目的がわかるのがうざいがその通りに進まざるをえない、それが更にうざい。


「とっととしろよ‼︎」

 痺れを切らしたらしく怒鳴ってきた。余裕のないことで。

「こっちの準備はいいぞ」

「わかりました、では」

「おいおい、試験相手はこいつらなのはわかったが試験官は?」

「それは俺たちが兼任している」

 嫌な感じにニヤニヤ笑いかけてくる。あぁ、自分の立場が上だと勘違いして強気なわけか。

「わかった、始めよう」

「おら、行ってこい! こっちはシーフのこいつからだ」

 そう言って犬獣人の女性を前に出した。鑑定で名前がわかっているがテレンだな。テレンは木製の短剣を左手に持った。

「じゃあうちも同じ役割のミオ、頼んだ」

「はい、兄様!」

 そう言って短剣を両手に持った。


 二人は中央の闘技場のような場所に移動した。

「ではこちらが『やめ』と声をかけたら必ずやめてください。それでも止まらない場合はペナルティーを与え、襲われている方のパーティーのメンバーが助けることを認めます」

 と最後の説明。

 二人が構える。テレンは素手の右腕を前に出し、左腕はやや後方に短剣を逆手で持っている。ミオはいつものように両手に短剣だ。

 この構えから相手は素手の器用さで掴む、いなす、口を塞ぐなどをして、いざとなれば爪での攻撃と利便性が高いと思われる。で左の短剣で殺傷力の高い攻撃というややカウンター寄りかな?

「始め!」

 そんなことを考えていたら模擬戦が始まった。


 先に動いたのはミオ、素早い動きで距離を詰め、左右の短剣がテレンを襲った。思ったより速かったのだろう、驚きながらも右手の甲、平を上手く使い、捌いていく。これが本物の短剣でもテレンは斬られることがなかっただろう。上手くそういう箇所に当てている。

 あ、ミオが掴まれそうになり大きく下がった。

 ここがチャンスと見てテレンの方が今度は詰めてきた。思ったより速い。クローからの掌底での顎狙い、貫手での首狙い、左の短剣、とえげつないコンボだが、ミオは丁寧に両手の短剣で捌いていく。ミオは攻めるより守る方が得意なのを相手は読み間違えたな。

「何やってんだ! ちゃんとやれ‼︎」

 いや何言ってんだよ、読み間違えはあったものの相当の技術だぞ。

 大まかな能力値は俺とリオに勝るとも劣らない感じかな、速さは俺たちのぼろ負けだけど。

 心の中でミオにいいよと念じた。

 次の瞬間、ミオの左の短剣がテレンの右手を押さえ、右の短剣が首に突きつけられていた。


「やめ!」

 受付嬢が声をかける前から二人とも決着がついたことを理解して動かなくなっていたが模擬戦が終わった。

誤字脱字など教えていただけると喜びます。

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