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 先ずは近かった鍛冶屋から行くことにした。少し歩くと見つかったが建物がデカイ。儲かっているんだろうなと思いながら中に入った。

「いらっしゃいませ!」

 若い兄ちゃんに店に入って即挨拶される。しっかりと教育されているんだなと感心した。

「こんにちは、とりあえずこれとこの娘の短剣を研いで欲しい」

「こんにちは、はい、わかりました」

 鋼の剣とダマスカスの短剣を手渡した。いつもミオが手入れをしてくれているとはいえ、研いでもらえるときは研いでもらう方がいいだろう。


 他の店員に渡し、すぐに戻ってくる。

「他に何かご用件はございますでしょうか?」

「投擲武器と懐に忍ばせる武器って何かありますか?」

「はい、ございますよ。投擲武器はこちらのナイフ、手裏剣、飛苦無(とびくない)などがございます。懐に忍ばせる武器としてはそのまま懐刀がありますよ」

「あ、懐刀があるんですね。とりあえず全部見せてもらえますか?」

「わかりました、少しお待ちください」


 少し待つ間に展示されている武器や盾を見ていく。うーん、やはり良い素材を使った武器って高いな……。

「ミオ、何か気に入ったものあった?」

「兄様、このクナイなどいかがでしょうか?」

「ああ、忍にはクナイだよね。でも素材が微妙かな?」

「そうですね、他に良い素材の物があればいいんですけど」

「そうだね、後で聞いてみようか。みんなは欲しい武器ある?」

「う〜ん、大剣だっけ? あれ一度振ってみたいな!」

「籠手があるので大丈夫です、ご主人様」

「りおにはひつようないよ〜」

「じゃあ、大剣は後で聞いてみようか」

「にぃありがとう!」


「お客様、準備が整いましたよ」

「はい、ありがとうございます」

 呼ばれてカウンターに戻る。

「こちらがナイフ、手裏剣、飛苦無になります。懐刀はミスリル、銀、聖銀、となっております」

「銀と聖銀はどう違うんですか?」

「銀はもともと悪魔、アンデッドに効果の高い金属です。それを教会でさらに清めた物が聖銀です。さらに高い破魔の力を発揮します」

「あ、あの聖銀のクナイはありますか?」

 お、珍しくミオが興奮気味に話しかけている。

「一本は見本の為に作ってあったのでありますよ」

「もう一本欲しいのですが」

「その場合は五日ほどでお作りしますよ」

「なら一本は今購入で、五日後にもう一本お願いします」

「兄様⁉︎ あ、よろしいんですか?」

「欲しいんでしょ?」

「はい……」

「うん、戦力増強になるから大丈夫だよ」

「はい、これで幽霊が現れても兄様を守れます!」

 ああ、野営の時幽霊対策を考えていたからか。俺の為に、本当にありがたい。


「懐刀は、どれがオススメですか?」

「そうですね、ダンジョンに潜る方ならアンデッドなどが出ることもあるのでいざというときの為に聖銀の懐刀を持たれるようです。それ以外の方でしたらミスリルをお選びになるのが一般的です」

「そうですか。では聖銀の懐刀を四振りお願いします。柄と鞘に模様とかつけられますか?」

 四振りというのを聞いたクオンが赤くなっている。ん、どうしたというのか、恥ずかしがっているのも伝わってくる。

 というか店員も隠してはいるが困惑しているのがわかる。なんなんだ?

「はい、つけられますよ。どのような模様ですか?」

 ということなのでみんなの名前をつけてもらうことにした。

「それにしても懐刀を四振りとは凄いですね……」

 店員はそう言いながらミオ達を見渡して、冷や汗をかいている。よくわからないので無視だな。


「ミオ、投擲武器は何がいい?」

「手裏剣を100個程お願いします」

「手裏剣100個お願いします。あ、大剣を一度振ってみたいのですがよろしいですか?」

「大丈夫ですよ、置いてある大剣で試してください」

 その話を聞いてリュミスが大剣を握った。

「お客様⁉︎ そちらのお嬢さんが試されるんですか?」

「はい、そうです。あ、力は強いんで大丈夫ですよ」

「そうなんですか?」

 信じられないという表情をしていたが実際にリュミスが振りだしたのを見て驚いている。

「リュミスどう?」

 素振りを終えたリュミスに聞いてみた。特に見た感じでは普通に振れていたと思ったが。

「うーん、隙が多すぎるかな」

 どうやらお気に召さなかったようだ。

「ありがとうございました。これらでいくらくらいですか?」

「あ、はい。研ぎ代金が三振りで銅貨4枚、聖銀のクナイが一本金貨3枚、懐刀が一振り金貨2枚、手裏剣が100個で銀貨1枚で合わせて金貨11枚銀貨1枚銅貨4枚となります」

 まだ余裕があるな。


「あと両手でも片手でも使える剣ってありますか?」

「ウチではそういった物はバスタードソードくらいですかね」

 そう言って鉄でできたバスタードソードを持ってきてくれる。

「これです。試してみてください」

 そう言われ素振りを行う。なんというかさっきまでの剣との違いに戸惑うが慣れれば大丈夫な気がする。片手でも振ってみる。うん、これを使ってみよう。

「これは鉄のしかないんですか?」

「いえ、鉄、鋼、ミスリル、銀、聖銀とありますよ」

「ではミスリルのを試してみてもかまいませんか?」

「大丈夫です、少しお待ちください」

 持ってきてもらったミスリルのバスタードソードを振ってみる。

 うん、鉄より軽くて扱いやすい。

「これ良いですね、いくらになりますか?」

「金貨20枚です」

 あ、やはり高い……。が、気に入ってしまったんだよな。うん、しょうがない。

「ではこれもください」

「ありがとうございます、たくさん買っていただいたので金貨より下はおまけします。合わせて金貨31枚になります」

「予約のクナイの分も払っておきます、金貨34枚です」

「ありがとうございます、確かに。では五日後以降にこの紙をお持ちください。引換券となっております」

 そう聞いてポケットに入れる振りをしてアイテムボックスに収納した。


「もうすぐ研ぎと懐刀の模様つけが終わりますので少しお待ちください」

 ということでクナイと手裏剣をミオに渡し、俺はバスタードソードを装備した。

「ありがとうございます、兄様!」

 ミオはどうやっているのかわからないがクナイをいつも左の短剣がある位置の下あたりに、手裏剣は両手に50ずつ装備した。


 しばらく待つと店員が懐刀と研ぎ終わった武器を持ってきた。

「お待たせしました、こちらになります」

 丁寧に一つずつ見せてくれる。

「ありがとう」

 鋼の剣をバスタードソードの反対、右側に装備し、ミオに短剣を渡す。

 そして受け取った懐刀をみんなに渡していく。

「これはミオに、これはリュミスに、これはリオに、これはクオンにプレゼントだ」

 いざというときの為に女の子はこういった物を持っておかないとね。

「ありがとうございます、兄様」

「ありがとう、にぃ」

「ありがとう、にぃに」

「ありがとうございます。一生大切にします、ご主人様」

 その言葉を聞いて店員が拍手をしてくる。

「結婚おめでとうございます。他のお三方には保留されてしまいましたが、こちらのお嬢さんには通じましたね」

 なんて言ってニヤニヤしている。

「え?」

 どうやら俺は知らぬ間にプロポーズして、了承されたらしい……。

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