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 後ろの馬車が追いつき、落日の刃のメンバーが近づいてきた。

「よぉ、お疲れさん。あいつらオークは足が遅いからちゃんと撒いてきたぜ。こっちは少し怪我人が出たが無事だ。そっちは?」

 あの毛むくじゃら筋肉は、オークだったらしい。この世界では豚ではなくて猪の化け物なのか。

「こちらは疲労だけですね。この娘とか疲れて眠っちゃってますよ。あ、怪我人は何処ですか? 回復魔法が使えるので治療しますよ」

 その言葉に周りがざわつく。やはり神官様、なんて声も聞こえてくる。

「そうなのか! ありがたい、こっちだ。仲間を頼む」


 案内されてついていくと御者台で、脇腹に包帯を巻き、血が滲んでいるおっさんが。

「神官様が回復魔法を使えるってよ、さ、頼んだぜ」

「何! 回復魔法まで使えるのか、流石だな」

 とドルトンが言う、何が流石なのか?

 怪我人に近づき、怪我をした部位に手を添える。痛そうに顔を歪めたが、我慢してくれ。

 キュアを使うと次第に傷が治っていく、だんだんとおっさんの顔色も良くなっていく。

「一応怪我は治しました。ただ、失った血などは治らないのでしばらくの間、安静にしてレバーなんかを食べさせてあげてください」

「わかった、治療ありがとうな」

 そう言って肩を叩かれる。


 と、なぜか肩を怒らせた依頼人が俺たちの方に向かってきた。

「おい、お前たちいったいどういうつもりだ! なぜ俺たちを置いて先に逃げた?」

 はぁ? こいつは何を言っているのだろうか? 落日の刃のメンバーも不思議そうな顔をしている。

「なんのことですか?」

 一応聞いておく。

「なんのことだと? なぜまだ俺たちが逃げきれていない中で走って逃げたのかと聞いているんだ!」

 なんとなく言いたいことはわかった。

「おい、こいつらを下がらせたのは俺たちだ。俺たちは初顔あわせで連携も組めないだろうし、何より突破口を開いたこいつらは疲労していた。だから下がらせた。というより、お礼より先に文句たぁ、どういうことだ‼︎」

 ドルトンが弁明してくれて、途中で切れた。

「なんだと、お前らの判断か! その所為で俺に危機が迫ったんだぞ! 満足に護衛できなかったんだ、お前らの報酬は半額な!」

 落日の刃のメンバーからふざけるなと怒号が飛び交う。

「むきゅ、なんですか?」

 クオンが起きてしまったようだ、目をこすりながら、聞いてくる。

「もう少し寝てていいからね」

 と背中をトントンと叩いて眠りに誘う。


「皆さん少し静かにお願いします。ヴァルムさん少しいいですか?」

 俺の声に静かになる落日の刃のメンバー、何をするのか興味を持っている様子だ。

「なんだ?」

 イライラした様子で答えてくる。

「あなたは商人なので値下げ交渉をする事もあるでしょう。ただ、今回値下げしようとしているものをちゃんとわかっていますか?」

 静かに問い質す。

「護衛料だろう!」

「いいえ、違います。あなたの命の価値です。その値下げによって私たちはあなたを守らなくなります。あなたは自分の命の価値を下げているのです」

「な、なんだ、脅しか?」

「いえ、そうではありません。ただ、護衛の質をわざわざ落とし、命の価値を下げている商人ときっちりとした護衛料を支払い、命を大切にしている商人、人々はどちらの商人の商品を買いたいでしょうか? 自らの命の価値すら下げる商人は、他人の命などゴミ同然と考えていると思われても仕方がありません。いくら安い商品でも、安全を確認していないのではないか? 危険なものなんじゃないか? と不安を持たれてしまうのではないですか?」

「それは……」

「それにあなたはこちらに怒った様子で現れましたが、少し喜んでいましたね。難癖を付ける材料が見つかったと。あなたは常習犯だと思われます。このことはギルドに報告し、調査してもらいます。これまで他の冒険者で泣き寝入りした人がいれば、もう護衛任務を受けてもらえなくなるかもしれませんね」

「それは勘弁してくれ!」

「やはり他にも今回のような難癖をつけていましたか。残念です」

 しまったという顔をしたヴァルム。


「ちょっと詳しい話を聞こうか?」

 落日の刃のメンバーに囲まれ、顔を青くしているヴァルムを尻目に前の馬車に戻る。

 その俺にドルトンが近づいてきた。

「見事だったな。だがあまり商人を追い詰めても金で反撃されることがある。注意したほうがいい」

「いえ、今回の相手は大丈夫ですよ。ああいう手合いは、自分より弱い立場の相手にしか強気になれません。それに護衛料を値下げしようとするなんて少し考えれば危ないことだとわかります。あの商人は良くて三流、そんな相手、ギルドを敵に回して反撃できるとも思えません」

 そう、ああいう手合いはよくいるのだ、そして職業柄よく見ている。

「なんだ、余計な忠告だったみたいだな」

 頭を掻きながら恥ずかしそうに言う。

「いえいえ、私たちを心配しての忠告ありがとうございます」

 そう言うと更に恥ずかしそうにして去っていった。うむ、おっさんのそんな姿見てもな……。


 さっきの話は安ければ安いほど良い人などもいるだろうし、一方的な見方だけで語ったが、勢いで追い詰められて良かった。怒りや欲で思考が濁ってなければ気づけただろうに……。その辺りも含め三流か?

 御者台に戻り、休むことにする。

「ミオ、リュミス、リオ大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

「きゅ、なんかさっきまでより楽になったよ」

「りおも! りおもらくになった〜!」


 うん? ずっと歩き続けているのに楽になった? あ、もしかして



『ステータス』


 名前 ユー(長谷川佑衣斗)

 種族 ヒト♂ Lv4

 称号 (異世界人)


 HP 498

 MP 375


 攻撃 40

 防御 43

 速さ 51

 知識 42

 精神 37

 器用 43

 運  24


 (エクストラスキル)

 (眷族化 ダンジョン作製 不老)


 (ユニークスキル)

 {異世界言語 異世界文字 異世界武術(剣道)} 心眼(擬)


 スキル

 下級鑑定 (アイテムボックス小) (隠蔽Ⅲ) 気配察知Ⅲ 危機察知Ⅱ 空間把握Ⅱ 剣術Ⅲ 全状態異常耐性Ⅰ 忍び足Ⅰ 威圧Ⅰ 水魔法Ⅰ 黒魔法Ⅰ 風魔法Ⅰ 闇魔法Ⅰ 防具顕現Ⅰ 

 {眷族(3/4)}

 (ミオ リュミス リオ)


 奴隷 クオン


 やはり、レベルが上がっている。俺のレベルも上がっている! それにしても能力値上がり過ぎじゃない? まだモンスターカードを手に入れていないので眷族は増やせないが喜ばしいことだ。


 名前 ミオ(水緒)

 種族 ヒト{隠密スライム(中忍)}♀ Lv8

 称号 忠臣 (癒し系 抱き枕)


 HP 1620

 MP 270


 攻撃 54

 防御 108

 速さ 162

 知識 54

 精神 54

 器用 108

 運  37

 忠誠 100


 (種族スキル)

 (スライムボディ中)


 (ユニークスキル)

 {人化(特) 忍術}


 スキル

 (隠蔽Ⅷ) 気配察知Ⅵ 投擲Ⅳ 短剣Ⅳ 全状態異常耐性Ⅳ


 ミオもレベルが3も上がっている、やはり強敵だったのだろう、あのオークたち。


 名前 リュミス

 種族 ヒト{ダークドラゴン(小)}♀ Lv2

 称号 (龍種)


 HP 2000

 MP 2000


 攻撃 200

 防御 200

 速さ 200

 知識 200

 精神 200

 器用 200

 運  80

 忠誠 100


 (種族スキル)

 (ブレス弱 龍鱗中 龍爪牙中)


 (ユニークスキル)

 (小型化 人化)


 スキル

 黒魔法Ⅱ 水魔法Ⅱ 風魔法Ⅱ 威圧Ⅱ 拳闘Ⅱ 防具顕現Ⅰ


 リュミスもレベルが上がっている。予想通り二倍になっていた。なんていうか、凄く強いです。これなら楽になったというのもわかる、だって二倍だもの。ドラゴンって凄いわ。


 名前 リオ(莉緒)

 種族 獣人 (ブラックウルフ)♀ Lv20

 称号 (亜種)


 HP 450

 MP 600


 攻撃 60

 防御 30

 速さ 60

 知識 90

 精神 30

 器用 30

 運  29

 忠誠 80


 (種族スキル)

 (黒狼爪牙 黒体)


 (ユニークスキル)

 {シャドールーク 人化(劣)}


 スキル

 闇魔法Ⅰ 忍び足Ⅰ 拳闘Ⅰ


 リオは20レベルに到達していた。でもミオのように進化しなかった。まあリュミスは10レベルで進化だったし、モンスター毎に違うのだろう。それに人前で進化しなくてよかった。流石に誤魔化しきれないよな。


 名前 クオン(紅音)

 種族 ヒト{魔族(未覚醒魔王)}♀ Lv16

 称号 {憤怒の化身(未解放)} 奴隷


 HP 1540

 MP 660


 攻撃 154

 防御 66

 速さ 154

 知識 66

 精神 66

 器用 154

 運  15

 忠誠 90


 種族スキル

  魔力吸収(弱) 魔力操作(弱) 魔力解放(弱)


(エキストラスキル)

(未解放)


(ユニークスキル)

(未解放)


 スキル

 火魔法Ⅱ 木魔法Ⅰ 武器顕現Ⅱ 拳闘Ⅰ 家事Ⅴ


 クオンの忠誠がいつの間にか90に、特別な事なんて何もしていないのにな。能力値も急激に高まっている。一番狙われる危険があるのは未覚醒魔王であるクオンだと思っている。順調に強くなっているようで少し安心した。

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