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 朝、眼が覚めるとリュミス以外のみんなが起きていた。

「おはよう、みんな」

「「おはようございます」」

「おっはよ〜!」

 挨拶を交わし、リュミスを起こして鍛錬をする。


 最近では剣を身体の一部と思うように心がけ素振りを行う。剣術スキルが上がったからか、毎日の素振りのおかげかわからないが今では昔より無駄が減ったように感じる。重心移動もスムーズになり、キレが増したような……。

 気持ちの問題かもしれない、だがきっと上達している。


 疑問に思ってしまうのは、隣の四人の所為だ。

 速さではミオが、総合的な強さではリュミスが、力ではクオンが、魔法ではリオが、それぞれの長所を活かしながら戦っている。

 クオンも戦うことに慣れたようで腰も引けていない。

 というか、リオがこのメンツに入って戦えるのが凄いと思う。たとえ押され気味だとしても。

 まあ人は人、俺は俺で、剣を振ることにする。


 今日は買い物と水遊びの予定だ。なのでいつもよりは長めに鍛錬をした。

 汗も流し、食事をみんなで摂って道具屋に向かった。


「今日はテントとか夜営に必要な物を買ったら川で遊ぼうか」

「はい、護衛任務で必要でしょうし、もしかしたらダンジョンでも使うかもしれません」

「きゅ! きゅ、きゅ、きゅ〜〜!」

 なぜか川が好きなリュミス、水魔法も持っているし、何か関係があるのかな?

「あるじさま、りおはねぇ〜、おさかながたべたいの〜」

 俺の背中に飛び乗り、ガッチリとくっつきながら魚を要求するリオ。魚か釣りでもしようか。

「食べ物なども買っておいた方がよろしいかと思われます。基本的には依頼を出した方が食事を提供しますが、中には粗悪品を出す者もいるそうです」

 アイテムボックスに少しは入っているが増やしておこう。もうこの世界の住人の善意はあまり信じないことにしている。


 道具屋には、夜営セットなるものが置いてあり、中を見ても間違いなさそうだったのでそれを購入した。銀貨3枚と少し高いが魔道具のランプなども入っていてお得だそうだ。

 それから大きめのリュックを買った。この中にアイテムボックスの中身を入れているように見せるためだ。


 そして目に付いた屋台を回り、どんどんアイテムボックスに収納していく。食料で一枠作ったので種類が違っても大丈夫。イメージ次第で結構融通が利くのが嬉しい。


 ある程度収納し終えたら、買い食いする。

「この肉美味いな、なんの肉だろ?」

「これはオークの肉だと思いますよ」

 ……いや、まあゴブリンがいるならオークもいるわな。でも知らぬ間にモンスター肉食べていたんだ。流石ファンタジー、油断ならない。

 答えてくれたクオンも美味しそうに食べていることからモンスター肉を食べるのは当たり前な事なのだろう。まだオークは見たことが無いので想像もできず、そのまま美味しくいただきました。


 川に着き、濡れても大丈夫なミオ、リュミス組が川で遊んでいる。

 俺は釣りでもしようと腰を下ろして、糸に重りと仕掛けを施し、疑似餌をつけて投げた。

 竿は使わず、糸で釣るのがここら辺の釣り方らしいので俺もそうした。革のグローブも装備しているし、引っ張られても大丈夫だろう。


「さっかな! さっかな!」

 と楽しそうに俺の背中に抱きついているリオ。クオンはさっそく買った夜営セットの中にあったシートを広げ、休憩場所の設営をしている。


 こちらが何をしているのか気になったのか、ミオとリュミスが近づいてきた。

「マスター、何をなさっているのですか?」

「何って、釣りだよ。魚が餌に食いつくのを待って釣り上げるんだよ」

「きゅ? 魚が欲しいの? なら水魔法で捕まえるけど?」

「いや、魚も欲しいけど釣る過程を楽しむものなんだよ。そして自分で釣った魚は美味しく感じるものなんだよ」

「よくわからないけど、わかったよ。マスターは遊んでるんだね」

 まあそうとも言える。ただ、後ろのリオの期待が遊びと割り切らせてくれない……。


 そんな話をしていると手に振動がきた。少し待ち、引っ張られた感覚を得て、ぐっと引く。

 かかった! 糸を手繰り寄せていく。

「よっしゃー‼︎」

 年甲斐もなくはしゃいでしまう。釣れたのは少し小さなマスの様な魚だ。

「おさかなだ〜!」

 一緒にはしゃぐリオ。

「結構簡単に釣れるものなんですね。ご主人様、カッコイイです!」

 見てる分には簡単そうに見えるだろうが、あわせるのが難しいのだ。


 釣れた魚はクオンに渡し、料理を作ってもらう。そんなことを考えていたわけではないが、これ夜営の練習にもなるな。

 火魔法を使い、火を起こし丁寧に下処理をして枝に突き刺し、焼いていく。川魚はたしか寄生虫が心配だから火を通さないといけないらしい。

 今度は火の周りではしゃぎだしたリオを捕まえて、膝の上に座らせた。


 数匹釣り上げて同じように処理し焼いていく。火から離して焼くと美味しく焼けるらしいのでそうする。

 ある程度離し、焦げないのを確認してミオやリュミスに奇襲をかける。隠蔽を使い、クオンと協撃して水をかける。が、ミオはやはり気がついていて簡単に避けられる。リュミスは気持ちよさそうに水を浴びた。なんだかなぁ。

 だが、ミオはまだ甘い! 影からリオが飛び出し水を巻き散らす。これぞ自爆技、名前何にしよう? まあいい、これにより俺とリオ、クオンはびしょ濡れだ。

 ッチ、ミオは素早く退避していた。これもダメか……。ならば

「チェンジ!」

 この掛け声に反応して、リオが元の姿に戻る。毛が水をたっぷり吸った状態でブルブルと身体を震わせ、水を飛ばす。

「わっ! わわ!」

 ミオにやっと一撃加えられ、みんなに水がかかったことになる。

 あ、ヤバ、ミオとリュミスが水をかけようとしている。

「総員退避‼︎」

 みんなで別の方向に逃げるもあえなく水をかけられてしまった。


 そんなこんなで遊んで、寒くなる前に上がり、服の水気をミオにとってもらう。本体は焚き火の所に行き、温まりながら魚を食べた。

「この魚、小さいけどなかなか美味しいな」

「マスターの獲ったお魚ですね」

「きゅ、私も釣りやってみたい!」

「あ、りおもやりたいな〜」

「私もよろしいでしょうか?」

 ということでその後は釣り大会になった。


「無心になるのです、さすれば魚は自ずから食らいつくのです」

「水の気持ちになるんだよ」

 とよくわからないことを言っているミオとリュミスは結構釣れて、後の二人はあまり釣れていなかった。

「さっかな! さっかな!」

「つ、釣れません……、無心と水の気持ちどっちなんでしょうか?」

 リオは堪え性がなく、釣れないのも仕方がなかったが、クオンはなぜか釣れない。寂しそうな背中を見てしまった……。

 釣った魚は下処理を施した状態でアイテムボックスに収納した。これも夜営で必要になるかもしれない。


 日が暮れる前までみんなで釣りをして、宿に帰った。明日は何をしようかな。川ときたら山か海と言いたいがどちらも無いしな。まあ林でいいかな。


 遊ぶのって結構体力使うよな。俺の身体も昔と違い、結構動けるようになったし、体力なんかは比べ物にならないけどみんなと遊ぶと大変だ。今日は早めに寝るとしよう……。

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