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部屋に着いた、まずは買ってきた服などをクローゼットにかける。
で、少し挑戦。
『アイテムボックス』と念じる。
普段のラフな格好を思い出し、今着ている戦闘用の装備品を全て収納するイメージをする。
よし、いくぞ! 収納!
……成功だ。ラフな格好になっている。アイテム欄を見てみる。
銅の短剣 10
銅の剣 2
薬草 18
ツキの実 99
魔力石(S)
鉄貨 80
銅貨 99
99
99
99
7
銀貨 36
金貨 31
ギルドカード
装備一式
残り枠数15
1枠使うことで装備登録が出来たようだ。
試してみる。
装備一式を呼び出すと革鎧装備と銅の剣が身体を覆った。よし成功。これで毎朝の準備が楽になる。
リュミスが羨ましがっていたが、こればかりはどうしょうもないので頑張ってもらおう。
リュミスもラフな格好になり、くつろぐ。
時間を確認すると五時半、先に風呂に入ろうか。
「よし、ミオ、リュミス風呂に行くぞ!」
ということでみんなで風呂に入った。風呂は大きく三人で入ることができた。
それにしても、ベッドも一つでキングサイズだし、風呂も大きい。もしかしてこの部屋カップ……そこまで考えて思考を放棄する。
うん、真実なんて知らなくていいんだよ、知れば悲しみしかないのさ。
なんて現実逃避を始める。あ、現実逃避が懐かしい、来た時はよくしていた。
なんて取り止めの無いことを考えつつ、風呂から出た。
三人で食事を取りに行く。今日はクリームシチューとパンだった。
うん、美味しい。食べている途中リュミスが
「もっと硬いパンが食べたい……」
と呟いていたが俺もミオも聞かなかったことにした。最初に与えたパンが基準になっている。可哀想に……。まあイタズラ心で与えたのは俺なんだが。
晩ご飯も終わり、明日のウルフ討伐について考える。素早い暗殺者系のミオと均等な能力値のリュミス、一番能力値の低い俺。
なんかテンション下がってきた。
どういうフォーメーションで戦うか、だな。俺以外は、遠距離への攻撃手段を持っている。となると、リュミスはMPが多いから魔法主体の後衛、バックアタック時にも近接戦闘が可能なので優秀な後衛だな。
で、俺とミオが前衛、ミオが前、俺が少し後ろで構え、ミオのサポートかな。
というか魔物使いってこういうものなの? 後ろで指示を出すだけのイメージだったのに……とっても肉体派です。
まあミオたちだけ戦わせるのも、ね。あと外聞が悪すぎるよな、幼女二人を、戦わせて見てるだけの兄とか。うん、そういうことだよ。
まあフォーメーションも考えたし、明日試してみよう。
「ミオ、リュミス聞いて。明日は、ミオ、俺、リュミスの順番で歩くから。ミオは索敵、戦闘はいつも通り。リュミスは後ろを警戒して戦闘時は魔法を使って前をサポートね。バックアタック時は風爪で迎撃お願い」
風爪は俺が命名した。
「はい、ますたー、がんばります!」
「きゅ、がんばるよ!」
説明もしたことで安心して、ベッドへ。
ミオを右にリュミスを左に、川の字で寝る。
抱き枕をどちらにするか悩んだので二人に腕枕して寝た。両側の気配に安心して寝ることにした。
朝起きたら、宿屋の庭で素振りを行う。ミオやリュミスもついて来て、遊びながら戦っている。遊びだとわかるが明らかに俺より速い。なんだかな〜。
この朝練を日課とすることにした。
疲れる前にやめ、風呂場で軽く汗を流して朝食を取りに行く。
もうリュミスが人化したので食堂で食べてもいいのだが、落ち着く部屋内で食べることにする。
朝食を摂ったあと、着替えた。俺は一瞬で終わるので楽だった、ミオはそもそも着替えない、リュミスだけだ。なので軽く手伝い装備を整えた。
本日はウルフ狩りとフォーメーションの確認だ。
街を出て北の草原に向かった。北の草原は背の高い草が生えていた。俺の腰までなのでミオやリュミスは完全に隠れてしまう。
これ、ウルフも隠れますよね。だからランクDのクエストなのかな?
とりあえずミオの気配察知を頼りに歩き回る。だがなかなか見つからない。おかしいな、この草原はウルフが優占種らしいのだが。
しばらく探してみたが全然見つからず、どうしようかと頭を抱えた頃
「きゅ、マスター血の匂いがするよ」
まだ俺もミオも異常を捉えていないのだが、リュミスにはわかるらしい。
リュミスの指し示す方角に向かうと
「さっちしました。はちひきのうるふだとおもいます」
八匹か、警戒しながら近づくがおかしい。
こちらが視界に捉えられる距離に来ているのに奴らに反応が無いのだ。
普段ならとっくに匂いでバレている。
よくわからないが距離も距離なので、リュミスにヘイトボールを連発してもらう。ミオの投げ短剣は草が邪魔だし。
リュミスを肩車し、見えているウルフ達に撃ち込んでもらう。へえー、人化中は口からじゃなくて手から魔法出るんだな。
三倍になったMPでこれでもかと撃ち込まれた。だが、やはり反応が無い。
仕方が無いので、隠蔽効果を最大にしながらミオと近づく。触れるほど近づいてわかった、もうウルフ達は虫の息なのだ。
夥しい出血、倒れ伏している身体、ヘイトボールを喰らったのに、嫌がる素振りすらない。
もう助からないのは間違いないだろう。苦しみから解放する為に止めを刺していく。このウルフ達はレベルが高かったのか『ポーン♪』音が複数聞こえる。一番大きなウルフも倒し、ドロップアイテムを集め、収納した。
どうやら何か不味いことが起こっていそうだ。すぐにリュミスと合流し、帰ることにする。が、遅かったようだ。
「ますたー、にたいのもんすたーがちがづいてきます、きのうよりもはやいです」
「迎撃態勢! 変更点はリュミスは俺の肩に乗れ! ミオは構えて防御を中心に!」
「きゅ!」
「はい、ますたー」
二人が素早く態勢を整えた。
ある程度敵が近づいたところで、上からリュミスのヘイトボールが放たれた。2体に当たるかと思われたとき、相手から黒い球が放たれ相殺されてしまう。
これにはリュミスも焦ったようで
「きゅ、きゅきゅ!」
と人の言葉でなく、鳴いている。
今度は相手から放たれるので
「リュミス迎撃!」
と叱咤する。リュミスは、すぐに気を取り直し迎撃した。
リュミスが迎撃している間に
「ミオは気配を消して敵を強襲! 魔法はリュミスが対応するから大丈夫!」
ミオに指示を出し、戦況を見守った。
ちょっとして魔法が一方向からしか飛来しなくなり、それも無くなった。『ポーン♪』音もしたし、気配察知に反応が無いのでミオが倒したのだろう。
ミオがドロップアイテム片手に帰って来た。
「二人ともよかったよ、ありがとう。でもすぐにここから離れよう」
たぶん今のは偵察、まだ群れがいることだろう。ドロップアイテムを収納し、急いで逃げた。
街に近づき、大丈夫だと思われるところまで来て
『ステータス』
名前 ユー(長谷川佑衣斗)
種族 ヒト♂ Lv2
称号 (異世界人)
HP 233
MP 168
攻撃 18
防御 20
速さ 23
知識 18
精神 18
器用 20
運 19
スキル省略
{眷族(2/2)}
(ミオ リュミス)
名前 ミオ(水緒)
種族 ヒト{隠密スライム(下忍)}♀ Lv16
称号 忠臣 (癒し系 抱き枕)
HP 780
MP 130
攻撃 26
防御 52
速さ 78
知識 26
精神 26
器用 52
運 25
忠誠 100
スキル省略
名前 リュミス
種族 ヒト{ダークドラゴン(幼)}♀ Lv6
称号 (龍種)
HP 600
MP 600
攻撃 60
防御 60
速さ 60
知識 60
精神 60
器用 60
運 75
忠誠 93
スキル省略
やはり相当強いウルフ達だったようだ。最後の敵についてミオに聞くとウルフより一回り大きく、黒いウルフみたいだったと。
とりあえずこれらの情報をギルドに伝えた方がいいだろう。




