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 たしかあの時は、旅の途中で立ち寄った村で騙されたと説明したはず。そして、ミオ以外の妹がいるとも、その妹を心配する素振りも見せなかった。

 となると、一緒に騙されたがこの娘だけは先に逃がしたは、無理があるな。

 いや、合流地点を決めていたことにすればいけるか?

 もし、逃げられたら街に入る、身分証が無ければ街の東、林の前で落ち合おうと。

 で昨日はいなかったから、今日も見に行ったら居たと。

 よしこれでいこう。


 リュミスを改めて見てみる。

 艶やかな黒髪を肩まで伸ばしている、姫カットだっけ? 前髪パッツンだっけ? そんな髪型で、切れ長の黒目をしている。

 まだ幼女だが、可愛い系ではなく、美人系だな。将来はとんでもない美人になりそうである。


 そういえば、これでまた魔物使いのくせに、魔物を従えていないことになるんだな。

 ドラゴンを連れての冒険にワクワクしていたが、幼女二人連れになった。これ世間に怪しまれないっすか? 犯罪の方向で。


 悩んでもどうにもならないことってあるよな。ということで諦めた。

 でもリュミス隠蔽スキル持ってないし、鑑定対策はどうしようか?


 そういえば、俺のステータスからミオやリュミスの情報が見られるのだから、俺の隠蔽スキルで隠せないかな? とりあえず、やってみよう。



『ステータス』『隠蔽』


 名前 リュミス

 種族 {ダークドラゴン(幼)}♀ Lv3

 称号 (龍種)


 HP 300

 MP 300


 攻撃 30

 防御 30

 速さ 30

 知識 30

 精神 30

 器用 30

 運  75

 忠誠 90


 (種族スキル)

 (ブレス0 龍鱗弱 龍爪牙弱)


 (ユニークスキル)

 {小型化 人化(劣)}


 スキル

 黒魔法Ⅰ 水魔法Ⅰ 風魔法Ⅰ 威圧Ⅰ


 隠蔽して、リュミスは人族、ヒトだと思い込む。



『鑑定』


 名前 リュミス

 種族 ヒト♀ Lv3


 よし、成功だ! 隠蔽スキルも便利だな。でもミオの隠蔽Ⅶと違い、俺のはⅢと低いから過信はできない。

 外に出るときなど使っているがⅢから上がっていない。


 まあ門番対策もできたし、街に帰ろう。リュミスの服や下着も買わなければ。ギルドへの登録もしないと。なんか色々あるな。

 ミオは服を自分の身体で作っているからこういう手間はなかったけど、リュミスは無理だよな?

「リュミスってミオみたいに服って作れたりするの?」

「マスター、今は無理だよ。進化したら魔力で水の羽衣とか作れるけど」

 そうなんだ、作れるようになるんだ。てか進化? モンスターって進化するの?

 でも配合方式じゃなくてよかった。倫理的にも俺の精神的にもできそうにない。


「モンスターって進化するの?」

「うん、マスター。特定のレベルを迎えたモンスターは、進化することがあるよ。あとは、例えばオーガとして生まれたのと、進化してオーガになったのでは、進化した方が強いみたい」

 初期値が低いけど、伸びるタイプと最初からある程度強いタイプがあるわけか。

 鑑定ではわからないけど覚えておこう。


 それにしても、リュミス色々知っているのだな。

「リュミスは物知りだな。どうしてそんなことまで知ってるの?」

 頭を撫でながら聞いてみる。

「レベルが上がったら知識が増えたよ!」

 何その機能! 龍補正か? 龍って物知りで賢いイメージだし。それにしてもチート臭がするな。

「そうか、凄いなリュミス! その知識、みんなのために役立ててね」

 頭を撫でて、褒めながらお願いする。

「きゅ、マスター!」

 嬉しそうに微笑んでいる。

 ふと見るとミオが羨ましそうにしているので反対の手でミオの頭も撫でる。

「わ、ますたーなんですか?」

「撫でたくなったんだよ」

 驚きながらも喜び、照れているのを見てホッとする。撫でるときは二人とも撫でた方がいいのかな?

 兄弟はいたけど野郎だけだったしな。


 色々思い出しそうになったので考えるのをやめて、ミオたちを抱きしめた。

「ちょっとごめん、少しこのままでいさせて……」

「だいじょうぶですよ、ますたー」

「いいよ、マスター」

 二人に甘え、少しの間そのままでいた。


「ありがとう、二人とも。さあ街に行こう」

 落ち着いたので二人を降ろす。ちょっと恥ずかしいので、早歩きになってしまう。

 でもミオたちの方が速さも上なので普通について来る。歩幅の違いは? と思わないでもない。


 少し歩くと門には昨日の門番がいた。

「次の方身分証出して、ってユーじゃないか。ギルドでちゃんとお金もらえたか? というか一人増えてないか⁉︎」

 驚かれた。まあそうだよな

「はい、賞金が懸かっていたようで、結構もらえました。それでこの娘、リュミスも私の妹です。村で騙されたとき、なんとか一人だけ脱出させたのはいいんですが、身分証もお金も無くて困っていたようです。一度訪れたことのある東の林で私たちを待っていました。私も街を探してもいなかったので今日そこに探しに行き、合流したということです」

「本当か⁉︎ こんな小さい娘が一人で何日も……。よく無事だったな。とりあえず、昨日の建物に来てくれ。身分証を発行しよう、あともう兄弟は、いないな?」

「ありがとうございます。今回の旅についてきた妹は、ミオとリュミスだけです」

 何人増えるかわからないからな。

「故郷にはまだいるのか。少し待っててくれ」

 昨日の建物に入り、イスに座って待つ。

「はいこれ、今回も無料な。嬢ちゃんこの水晶を触ってくれる?」

 リュミスが水晶に触れる。

「一応規則でな。よし、もういいよ。嬢ちゃんもすまなかったな、もっと俺らが頑張っていれば……」

「ううん、大丈夫だったよ。にぃは来てくれるって思ってたし」

 おお、『にぃ』って呼ばれるの結構な威力だ。

「ありがとうな、嬢ちゃん。これが身分証だ。兄ちゃんに美味しいもの食べさせてもらえよ」

「ありがとうございました。ではまた」

 礼を述べ、街に入る。


「リュミス、話を合わせてくれてありがとうな」

 二人の頭を撫でる。

「うん、にぃのためだもんね」

 俺の為に嘘をつかせてしまったのか、そう考えるとなんかダメな男だな。


 ちょっとショックを受けつつ、服屋に入る。

 服屋の位置は防具屋の隣だからわかりやすい。

 店内にある服を見渡す。服は新品を買うものと思っていたが中古服も置いてあるな。

 その中でリュミスに似合いそうなものを探していく。

 リュミスにも選ばせる。それにしても、服は微妙なのしかない。日本人頑張れ! と言いたい。製法技術とかが問題なのか?

 あまり良いのが見つからなかったが、黒のワンピース二着、パンツ二着を買った。銅貨54枚なり。


 パンツを選ぶのは恥ずかしかったがもっと恥ずかしかったことがあった。

 パンツ選び中

「ますたー、これなんですか?」

 え? パンツを指差し首を傾げているミオ。

 え? 色々知っているのにパンツ知らないの?

 え? じゃあ今、ノーパ……⁉︎

「ミオもしかして今これ履いてないの?」

 小さな声で聞く。

「このふくだけしかきてませんが?」

 やっぱ、そうでした。

「この形を覚えて! そして今すぐ履いて!」

 妹にそれも幼女をノーパンで連れまわすとかどんな兄だ⁉︎ やばい、早くしないと!

「どうしてですか? ますたー」

 どうして? どうしてときたか、どうしてだろう? 頭が働かなくなってきた。

「お願いだミオ、俺の沽券に関わるんだ!」

「え! ごめんなさいますたー、すぐはきます」

 驚き、申し訳なさそうにしながら魔力を使った。前ならわからなかったが、魔力を使い身体を変化させているようだ。

「できました、ますたーごめんなさい」

 シュンとしている。

「いや、確認しなかった俺も悪かった。だからおあいこだな。うん」

 と言って慰める。


 そして店内の試着スペースでリュミスと一緒に着替えた。

「リュミスよく似合ってるよ。可愛い」

「きゅ、ありがとうマスター!」

 嬉しそうに笑うリュミスを見て買ってよかったと思う。

 さて、あとはギルドと防具屋かな。

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