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「こんにちは 本日はどのようなご用件でしょうか?」

「冒険者登録もしたいのだが、先にこれをギルドマスターに渡して欲しい。騎士からギルドマスターに宛てた手紙だ」

 受付嬢は少し驚いた顔をしたがすぐに手紙を受け取り

「承りました。少々お待ちください」

 とすぐに後ろで作業していた人に何やら説明し、渡した。


「お待たせしました。では冒険者登録をということですが以前に登録なさったことはありませんか?」

「いえ、ありませんが」

「そうですか、珍しいですね。大体の方は、成人する前には登録されるのですが。では、まず身分証の提示をお願いします。また登録には、お二人で銅貨10枚をお願いします」

「はい、こちらでよろしいですか?」

 と先ほどもらった袋から、紙2枚とアイテムボックスから取り出した銅貨10枚を出し、手渡した。

「はい、ありがとうございます。今からギルドカードをお作りしますので少々お時間が掛かります、その間にギルドの説明を致しましょうか?」

 もちろん何も知らないので

「あ、ギルドマスターが手紙を持ち込んだ方と面会を希望です。来てもらえますか?」

 はいと言おうとしたら被せられてしまった。さっき手紙を持って行った人がこちらに来ていた。

「はい、大丈夫です。しかし、説明を受けたかったのですが……」

「そちらについては大丈夫です。ギルドカードをお渡しする時にでも説明致しますので」

 そういうことならとすぐに向かうことにした。


「ではついて来てください」

 という言葉に従いついていくことに。

 階段を上がり、少し大きな部屋の扉をノックし

「マスター、先ほどの手紙の持ち主に来ていただきました」

「入れ」

 の遣り取りの後、部屋に入った。


 部屋に入るとソファーに座るよう促された。正面に執務用の机、応接用のテーブルとソファーがあった。一応、絵なども飾ってあったが最低限という感じの機能性重視の部屋だった。

 ソファーに座ると

「初めまして 冒険者ギルドオリエ支部ギルドマスターのタークスです。以後お見知り置きを」

「初めまして ユーです。こちらは妹のミオです」

 ギルドマスターらしいが物腰も柔らかく筋肉質にも見えない。顔も整っていて荒事に向いていると思えない。戦える人なんだろうか?



『鑑定』


 名前 タークス

 種族 ヒト♂ Lv46


 レベルも高い。魔法使い系なのか?


「戦えそうじゃないって思いました? 私は事務仕事専門でして、そちらから出世してギルドマスターになったのですよ」

 どうやら気がつかないうちに、疑問が顔に出ていたらしい。陽気に言われてしまった。

「すみません。冒険者ギルドのマスターは、筋肉ムキムキのおっさんがなるものと思ってました」

 正直に話した、この人にはその方が良さそうだ。


「やっぱりそうですよね。私は違いますが、そういう方の方が多いですよ」

 ただ、この人もLv46かなり強いとみていいだろう。

「やっぱりそうなんですか。それで話したいことというのは?」

「はい、もちろん手紙の件です。騎士の予想通りかと思われます。南のほうに行く依頼を受けた冒険者が帰らないことが数件ありました。もちろん、モンスターとの戦闘で亡くなった場合もあり得るのですが、南は魔力が薄く強力なモンスターが現れることが少ないのでおかしいと思っていました」

 沈痛な面持ちでそう言った。

 やはり初犯ではなかったらしい。

「こちらでも少し調べていたのですが、まさか村長が協力していたとは思いもしませんでした。それで聞きたいのはですね、村ぐるみの犯行なのか、村長だけの犯行なのかということです」

 これは難しいな、まあ正直に答えるしかないか

「正直なところわかりません。村人達は直接は犯行に加わってはいなかったので。あと参考になるかはわかりませんが村長だけ罪科を持っていました。なんの罪科かはわかりませんが」


 ギルドマスターはその言葉に驚きながら

「罪科持ちとわかって、なぜその時点で殺さなかったのですか? というかなぜわかったのですか?」

 と矢継ぎ早に質問を浴びせてきた。

 しまった! 何と無く言ってしまったが下級鑑定のこと話して大丈夫か?

「なぜわかったのか自分でもわかりません。ただ村長を見たとき、罪科という単語が頭に浮かんだんです。あと私の村では罪科持ちの人間などいなかったのでどんなものかわからなかったんです」

 そんな適当な台詞にうーんと悩みながら

「直感もしくは珍しいスキルの影響かもしれませんね。それにしても罪科を知らないとはユーさんたちの故郷は随分平和な場所なのですね。とりあえず説明しましょう。

 罪科とは罪を犯したときステータスに刻まれるもののことをいいます。理由はわかっていませんが殺人、殺人幇助、強盗などの行為を行うと刻まれることがわかっています。また罪科持ちを殺しても、殺した相手に罪科が刻まれることはありません。なので神が設定した罰であるという説が有力です。

 そして罪科持ちから出てくるステータスカードは黒色で、騎士団に持っていくと罪科に応じた褒賞を受け取ることができます」

 よくわからない言葉があったが当然のように語られた為、聞き返せない。やはり一般常識などを知ってる奴隷の購入が必要か?


「なるほど、ありがとうございます。なら他の人には罪科があると感じなかったので村ぐるみではないのかもしれません」

「その調査は騎士団に任せましょう。情報ありがとうございました。情報料として、金貨三十枚お渡ししましょう」

 その言葉に案内役の男が驚いていた。どうやら相当高額らしい。

「凄く高額だと思われるのですが、いいんですか? あと騎士団に任せるのでしたらなぜ私は、質問されたのでしょう?」

 思わず聞いてしまう。

「確かに高額ですが、実は行方不明の冒険者と思われる方の中に貴族の三男がいまして、その貴族が情報に賞金を懸けていました。またこの情報が無ければ更なる被害が予想されます。その二つを合わせた情報料なので気にせずお受け取りください。それとその貴族に報告する為に、必要な情報だったので。騎士団の調査にも時間が掛かりますから」

 と金貨の入った布の袋を渡された。


 まあ何をするにもお金は必要なのでありがたく受け取ることにした。

「ギルドカードももう出来る頃でしょう、下でお受け取りください。最後に重要ですが、あなた方が逃げ出したことに気がついた連中が連れ戻しに来たり、情報を売った報復に来るかもしれません。うちで経営している防犯に優れた宿を紹介しますので数週間はそちらで泊まるといいでしょう」

「何から何までありがとうございました」

 宿屋も紹介してもらい、お礼を言いながら受付に戻る。手に入れたお金はポケットに仕舞う振りをして、アイテムボックスに収納した。落としたりするのも怖いし。


「お帰りなさい、ギルドカードは出来ていますよ」

 受付に戻るとさっきの受付嬢に言われた。

「ただいまです。はあ緊張した、続きの手続きをお願いします」

 軽く愚痴をこぼしながらミオを撫でた。

 緊張したので癒しを求める。

「では、こちらがユーさんの、こちらがミオちゃんのカードとなります」

 そう言って手渡されるスマホくらいの大きさのカード。

「まずこちらに魔力を流してください、それで所有者登録が成されます。そうすると他の人には操作できなくなります。ギルドで情報を読み取ることもありますが、それはクエスト状況や討伐数などになります。ステータスなどは絶対に見えないので安心してください」

「え、ギルドカードでステータスって見えるの?」

「はい、見ることが可能です。また任意の相手に見せることも可能です」

 ギルドカードって小説でも一番のチートアイテムだもんな。


 言われた通りギルドカードに魔力を流してみる。うん? なんか文字が現れた。

 ミオの方を見るとそちらでも文字が現れていた。

「所有者登録が完了しました。貸してください」

 二人してカードを渡す。

 受け取った受付嬢は、何かの機械のようなものにカードを入れた。

「ギルドカードには、討伐したモンスターと受けたクエストの状況が記載されます。モンスターによって討伐金が異なります。またクエストで討伐指定されたモンスターをクエスト前に討伐していた場合でもクエスト完了とはなりません。事前にクエストを受けてから討伐してください」

 理由はわからないがそういうものらしい。モンスターの討伐をしたいとき、クエストを見ておくといいと。

「では、何かクエストは受けられますか?」

 少し考え

「それは明日にするよ。ところでモンスターを倒した時に出る物って売れるの?」

「? ああ、ドロップアイテムのことですね。はい、買取を行っています、左側通路の奥に買取窓口がありますのでそちらでお願いします。最後になりますがギルドカードを失くされた場合、再発行に銀貨5枚必要になりますのでご注意ください」

 なんだよ、ドロップアイテムでいいのかよ……。そう呼んで違ったら……って思って曖昧に言ったのに。

カードを返してもらい、ミオに渡そうとしたが失くさないように預かって欲しいと言われ、アイテムボックスに一緒に収納した。


 そして、案内に従って買取窓口に進んだ。

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