14
気がつくと頭に柔らかい感触がした。目を開けるとミオと目が合う、泣きそうな表情をしていたが一転笑顔に変わった。
「ますたー! だいじょうぶですか? おからだにいじょうはありませんか?」
「うん、大丈夫だよ」
と言って立ち上がろうとするが
「まだだめですますたー、おきたばかりなのでちゃんとやすむのです」
と頭を抑えられた。
そこで気がついたがどうやら膝枕されているらしい。
「俺の頭は重くないか? 疲れてたら言うんだぞ」
と言うが
「だいじょうぶですますたー、すらいむなので」
なんか最近なんでもスライムなので、で説明されてる気がする。
「というか、ミオこそ大丈夫なのか? 短剣で刺されていただろう⁉︎」
思い出し少し慌てて聞く。
「はいです、ひとならあぶなかったですがすらいむなので、すこしたいりょくがへったくらいです」
確かに人なら危ない場所を刺されていた。だが大丈夫そうでよかった。
「今回は悪かったな、ミオ。完全に足手まといになってしまった」
項垂れながら告げる。
「こちらこそもうしわけありませんでした、ますたー。つよくなってじぶんのちからをかしんしていました。そのけっかますたーをきけんなめにあわせるなど……。あってはならないことです」
ミオも項垂れながら謝ってきた。なので
「お互い反省点があったってことでいいかな? これでゴブリン退治も終わったことだし、次の街に行こうか!」
次の街、村長の話では、北に徒歩で三日、馬車で一日のところにあるらしい。
宿屋商店などもある立派な街らしいので、ミオにお礼の品を買ってあげなければ。
ミオの柔らかい膝の感触を惜しみつつ、立ち上がり、ドロップアイテムを集めていく。肉も意外と落ちていた。
ゴブリンリーダーの剣が気になり
『鑑定』
鋼の剣−
説明 手入れのされていない切れ味の鈍った剣
街に行ったら鍛冶屋に持っていこう。銅の剣より明らかに上物だし。
そんなこんなで、ドロップアイテムの収納が終わり洞窟の中を探索することにする。
そういえば、戦闘中に何度もレベルアップ音を聞いた気がする。探索前に確かめてみる、そろそろお願いします。
『ステータス』
名前 ユー(長谷川佑衣斗)
種族 ヒト♂ Lv2
称号 (異世界人)
HP 163
MP 110
攻撃 12
防御 14
速さ 16
知識 12
精神 12
器用 14
運 12
スキル省略
{眷族(1/2)}
(ミオ)
遂に俺のレベルが上がった! 能力値も増えてるが嫌な予感がビシビシきてる……。うん、ミオのステータス次第だよね。
名前 ミオ(水緒)
種族 隠密スライム(下忍)♀ Lv11
称号 忠臣 癒し系 抱き枕
HP 630
MP 105
攻撃 21
防御 42
速さ 63
知識 21
精神 21
器用 42
運 20
忠誠 100
スキル省略
はい、俺の能力値増えてません! なんでだよ⁉︎ レベルアップ遅すぎるくらい遅くて能力値が増えない⁉︎ どんなバグだよ……。
てか強い、ミオが凄く強い。まだ他の人の能力値見たことないけど多分HPは飛び抜けてると思う。
短剣で刺されても大丈夫だったし。
諦めきれず、ミオのステータスから自分のステータスに目を向ける。じっくり見る。
何か、何か変わってないか! お願いだから変わってて!
下に目を向ける。
{眷族(1/2)} ……、2になってる⁉︎
これは、これは、仲間が増やせる?
「よっしゃーーー‼︎」
突然の咆哮にミオが驚いているが気にならない。とりあえずミオを抱き上げくるくると踊り始める。
「ミオ喜べ! 弟か妹ができるぞ! レベルアップしたら眷族が増やせるようになったぞ‼︎」
最初は、驚きに目を瞬かせていたが、状況を理解し、一緒になって喜び始めた。
「わたし、おねえさんになれるんですね! ありがとうございます、ますたー!」
二人でくるくると回り、喜びを表現した後、アイテムボックスからまず、魔力石を取り出し、それをポケットに入れる。次にモンスターカードを取り出し、念じていく。
『眷族化』すると、モンスターカードが消え去り、体長15cm、体高5cmくらいの小さな黒色のドラゴンが手のひらに現れた。ちっちぇーー! マジか、ドラゴンって大きくないの? ホンットにこの世界は、俺の予想を裏切っていく……。
ってか、手のひらに乗れるって、手乗りドラゴンか! 手のひらに頭を擦り付けてくる。
かっ可愛い!
「ますたー、わたしにも! わたしにもさわらせてほしいのです!」
ミオもドラゴンの可愛らしさにやられていた。
「ますたー、このこは、おとうとですか? いもうとですか?」
ぱっと見わからない。こんなときは、とりあえずステータスだ。
『ステータス』
名前 ユー(長谷川佑衣斗)
種族 ヒト♂ Lv2
称号 (異世界人)
HP 171
MP 118
攻撃 12
防御 15
速さ 17
知識 12
精神 12
器用 15
運 18
スキル省略
{眷族(2/2)}
(ミオ)
ダークドラゴン
ダークドラゴンなのか、詳しく
名前 なし
種族 ダークドラゴン(幼)♀ Lv1
称号 龍種
HP 100
MP 100
攻撃 10
防御 10
速さ 10
知識 10
精神 10
器用 10
運 75
忠誠 80
種族スキル
ブレス0 龍鱗弱 龍爪牙弱
ユニークスキル
小型化
スキル
黒魔法Ⅰ 水魔法Ⅰ 風魔法Ⅰ 威圧Ⅰ
また忠誠高いー⁉︎ なんで最初から高いの?
それと能力値が意外と普通。運は高いけど。
とりあえず
「ミオ、その子は妹だ。名前はドラみだ」
「ますたー、それは……」
「きゅ、きゅ……」
二人から悲しい気持ちが流れ込んでくる……。ドラみもダメなのか。どうなっているんだ、この世界は……。
少し考え、ドラゴンの頭を撫でながら
「わかった、お前の名前はリュミスだ。それでどうだ?」
「りゅみす、りゅーちゃんよろしくね」
「きゅ、きゅーー!」
今度は二人から嬉しい気持ちが流れ込んできた。よかったーー! もう俺のネーミングセンスなど信じない。
「俺はユー、こっちはミオ、これからよろしくな、リュミス」
「きゅー!」
戯れている二人を横目にステータスを見ていく。どうやら俺の能力値は、眷族を増やしていくことで伸びるようだ。レベルアップで眷族数が増える、忠誠度10毎に眷族の能力値の1%を加算かな? たぶん正解だろう。
ならどんどん仲間を増やしていけばチートと呼ばれるまでに強くなるだろう。
ただ、確かにこのスキルは、序盤が鬼門過ぎる。ミオがいなければすぐに殺されていただろう。ゴブリン70匹以上倒してもモンスターカードが出ないのだから。しかもレベルアップが遠く、上がっても能力値は、変わらない。
心が折れるわ。
とりあえず、ミオに感謝して手を合わせておく。ミオはなに? って顔してるので、頭を撫でる。
さて、リュミスのスキルを見ると、ブレスが種族スキルになっている。ブレス放ってみたかったな……。でも0になってるし、今は放てないようだ。
ユニークスキルは、小型化ってさらに小さくなるの? 今でも翼があるトカゲだよ⁉︎ きっとこれは大きくなってから使うんや、きっとそうや。
エセ関西弁になってしまったが、スキルに注目! 魔法です、遂に魔法の登場です!
これはリュミスに教えてもらわねば。
今はとりあえず、洞窟の探索をすることにした。
ゴブリンが隠していたと思われる財宝? ゴミかもしれない、とお金を少し見つけた。
ここには囚われた女性などは居なかったようで安心した。ミオたちの教育にも悪いし、俺も正気を保てる自信がないからだ。
探索が終わり、アイテムボックスに戦利品を収納して村に帰ることにした。
誤字脱字ありましたら報告していただけると嬉しいです。