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 朝、今日も目が覚めるとミオと目が合った。

 ここで一つ疑問が

「おはようミオ、いつも俺より早起きだけど、もしかしてスライムって寝る必要なかったりするの?」

「おはようございます、ますたー。はい、すらいむは、ねる ひつようが ありません。ただわたしは このすがたですと ねる ひつようが あります。ひとよりは たんじかん ですが」

 なるほど、だからいつも俺より起きるのが早いのか。

 まあ、いいか。本当に聞きたいことは、聞けなかったが……。

 そして日が出るまでミオと作戦について語った。


 その後、村長家族に挨拶し、いつものパンと格闘して、集落に向かった。


 早めに出たが、ゴブリンの群れ二組と遭遇した。いつも通り奇襲で首を狙っていく。ミオは、レベル3でも奇襲なら一撃で倒せるようになったようでさらに楽になった。


 集落のある洞窟の前に来た。

 三体のゴブリンが見張っている、作戦通り隠蔽スキルを使い、奇襲で素早く二体を倒す。

 一体をわざと残して、足を攻撃し、あえて叫ばせる。その後、首を刎ねる。


 そして、入り口から少し離れたところに、有るだけの短剣をミオの横に置き、その後ろに俺が立つ。少しするとゴブリンが出てきた。

 ミオがゴブリンの首や心臓など、急所に短剣を投擲していく。

 レベル差があるものは、一撃で倒れていく。レベルアップ音が鳴った気がしたが気にしない。

 中には生き残って近づくものもいたが、俺がミオを守りながら牽制すると、すぐにミオの短剣が飛んできて追撃した。

 錆びた短剣も合わせて50本はあったが出てくる度に投げていたらすぐに無くなってしまった。

 無くなってからは入り口近くで隠蔽を使い、出てくる度に首に一撃入れて暗殺していく。


 しばらく待って出てこなくなってから気配察知で奥の方を意識する。まだ20体くらい居るようだ。投擲で30体は、倒したのに……。

「ミオ疲れてないか? まだ20体は居るようだけど大丈夫か?」

「わたしはだいじょうぶです、ますたー。でもごめんなさい、どうくつが けはいさっちの はんいより ひろかったみたいで、かずが まちがっていました」

 ショボーンという感じで頭が垂れている。今から群れのボスとの戦いもある、気合を入れてもらわねば

「ミオ、誰にでもミスはあるんだから気にないでいいんだよ。大事なのは、ミスがあったとき、どう動くかだ。ミオならミスを取り戻す大活躍をしてくれると信じているよ」

 人によっては重いと感じる台詞だろうが、この娘にはこのくらいでいいはずだ。案の定

「はい! ますたーのきたいにこたえられるようがんばるのです!」


 瞳からメラメラと燃え盛る炎が見える、ような気がする。やばい、火をつけるつもりが爆薬を突っ込んだようだ。

 ま、まあ大丈夫だよね、ヤンデレ回避警告も出てないし。うん、きっと大丈夫さ。


「ますたーは、わたしのうしろについてきてください」

 いつになくやる気なミオを先頭に洞窟に入っていく。

 気配察知を意識しながら進んでいく。残ったものは、少しは頭が良いようで待ち伏せしていた。


 いつもは奇襲していたので戦いづらい。

 今も気配察知でわかっているからなんとかなるが突然短剣が迫ってくるので焦ってしまう。

 ミオが短剣を捌き、接近し突きを放つ。首からゴキッという音がした。

 前に出て中段に構えて、ミオを襲う奴が現れても防ぐ心構えをする。剣は失敗だったかもしれない。洞窟では振り回したりできない。守りを主体に使うしかないだろう。


 十体も待ち伏せのゴブリンを斬り裂いたところで、少し大きな場所に出る。どうやら残りは此処に居るらしい。

 い、行きたくねぇ〜〜。でもミオさん自信満々に踏み入れて行きました。はい、ついて行きます。


「ますたー、はなれないでください!」

 忠告を受ける。

 一気に10体のゴブリンが襲ってくる。後ろから襲われないように下がり、入り口で迎撃した。ミオが襲ってくるゴブリンの短剣を捌き、隙のできたゴブリンに突きを放っていく。

 ミオが凄い勢いで捌ききっている。両腕の短剣で近づくもの全てを弾き、逸らし、斬りつけていく。ミオを邪魔しないようにその隙に突きを放ち数を減らしていく。


 突然、頭上に赤い光が灯った。何かわからないが素早く頭上に剣を掲げ、防御の体勢になる。そこにすごい力で剣が振り抜かれた。

 あまりの力に膝を突いてしまう。手も痺れて剣を落としてしまう。


「ますたー!」

 ミオが守っていたのになぜ? と思って見てみると、他のゴブリンより巨大なゴブリンらしきものが居た。

 それは剣を装備して、ミオの上から攻撃してきたらしい。

 ミオの弱点を突かれた! 

 そちらに一瞬気を取られたとき、また頭上に赤い光が灯った。

 瞬間手を掲げ、剣をアイテムボックスから取り出し、盾とするが痺れた腕ではあまり意味がないかもしれない。

「ますたー‼︎」

 悲痛な叫びを響かせ、両手を挙げ短剣をクロスして受け止めようとする。

 また腕に凄い圧力が掛った、だが手が痺れていたこともあり、打ち据えられてしまう。

 頭を砕かれそうになるが、ミオのクロスさせた短剣がギリギリで防いでくれた。


 しかしその代償は、大きかった。両手が塞がれたミオにゴブリン達の短剣が迫り、貫かれる。

「う、くぅーー!」

 辛そうに歪む顔で必死に耐えている。

「ミオーー‼︎」

 叫び助けようとするが手に力が入らない。


 ゴブリン達は、コレで勝ったとばかりに笑っている。

 油断したところにミオが両手の短剣で近づいていた二体のゴブリンの首を斬りつけた。

 まさか反撃があると思っていなかったのだろう、驚きの表情のまま崩れ落ちる。


 刺さった二本の短剣を引き抜き、残りのゴブリンに投擲した。目と喉に刺さり、倒れ伏した。

 残ったのはボスの巨大なゴブリンだけとなった。


 ミオは素早く駆けていき、両手の短剣で足から攻め立てる。ボスは小さい相手に戦いづらそうに剣を振り回している。

 まだ手に力が入らない。少しでも情報を



『鑑定』


 種族 ゴブリンリーダー♂ レベル13


 レベル13だと⁉︎ それは強いはすだ。

「ミオ、このままスピードで翻弄して削っていけ! そいつの攻撃を受けるのはまずい、攻撃より回避を重視だ!」

 これくらいしかできない自分が歯痒い。

「はい、ますたー!」

 俺の話を聞いてさらにスピードを上げ、回避重視の手数で相手を圧倒していく。


 ミオが押し始めた頃、ボスがミオに攻撃されるのも構わず、こちらに走り出した。

「ますたー!」

 手の痺れも取れこちらも迎撃態勢を整えていく。中段に構え、どの動きでも対応できるようにする。

 左肩に光が灯った、袈裟斬りか! 左肩の方に剣を構え横に振る。よし、袈裟斬りだ! ボスの袈裟斬りを受け流しつつ、その力の反発力を利用して一気に首に一撃叩き込む。

「ギー⁉︎ ギギギー‼︎」

 断ち斬れなかったが大きなダメージを与えたようで今までになかった悲痛な叫びを轟かせた。


 俺はこれに全力を使ったので前に倒れこむ。そんな俺を怒った血走った目でボスが睨んでくる。まあ弱者だと思って先に片付けようとしたのに、手痛い反撃を受けたから当然か。だが、俺を見ていていいのかな? ほら、俺ばかり見ていたから


「ますたーあとはおまかせください」

 ミオに殺される事になるのさ。後ろから音も無く近づいたミオは、傷付いた首にさらに短剣をクロスさせ左右に斬り裂いた。


 ポトリと落ちる首を見届け、安心して意識を手放した……。

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