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 村に帰り、戦果などを報告して晩ご飯を食べた。またあのパンだった……。

 昨日は疲れていて寝てしまったが風呂に入りたかった。聞いてみると桶と布を渡された。明日から川で水浴びすることに決めて、今日は身体を拭いた。


 ミオはスライムなので拭く必要がないらしい。汚れなどがあっても溶解して栄養になるようだ。

 身体を拭くときにミオが近づいてきて

「ますたー、おふきします」

 と言われたが良し頼んだ! とはならないよね、恥ずかしいし。

 でもなんで? って顔してるミオに説明できず、背中を拭いて貰うことにした。


 そして、それが終わると気になるのが着たままの服である。洗濯しても替えが無いので困ってしまう。

 寝巻きとして利用していた、ゆったりスウェット生地のスボンとTシャツだけの服装だ。


 困ってミオに相談すると貸してくださいと言われた。何をするかわからなかったが、言われるままにTシャツを渡す。

 するとミオはTシャツを丸めて抱きしめた。

 え、何してるのと思っていたが、服がどんどん身体の中に入っていった。


「えっと、ミオ何してるの?」

 と気になったので聞いてみる。

「わたしは、すらいむなので からだのなかに とりこんだものを にんいで とかすことができます。なのでいまは ふくのせんい いがいを とかしています」

 なるほど、服の汚れなどを落としてくれているみたいだ。何それ⁉︎ スライムスゲ〜!

「できたのでかくにんしてください」

 ミオの身体から出てきたTシャツを確認する。見事に真っ白、無地のTシャツが出てきた。


「なるほど、繊維以外を溶かしたから、色や模様が全部抜けちゃったんだな」

 そう、黄色生地で英字の書いてあったシャツが真っ白なのだった。

「ごめんなさい、ますたー。だいじなふくが……」

 青ざめながら謝ってくるが気にしない。安かったし、寝巻きにしていたくらいでお気に入りでもなんでもない。

「大丈夫だから、そんなに心配しないでくれ。洗ってくれてありがとう、他も頼めるかな?」

 頭を撫でながら聞いてみる

「はい、おまかせください!」

 嬉しそうな顔で元気よく返事をしてくれた。

 スボンを脱いで差し出す。ちょっとしてやはり白くなったスボンが返ってくる。


 そこで問題が発生した。一番洗いたい服は、何か……、そうパンツだ。でもパンツは、渡していいものか。羞恥心的にも、倫理的にも……。

 でもやっぱり洗いたかった。綺麗好きな日本人なんだ、俺も……。

「ミ、ミオ、パンツも洗って貰えるのかな?」

 若干声が震えた。

 ミオは不思議そうに

「ほかのふくとなにかちがうのですか?」

 逆に聞き返された。なので頼むことにした。

 その後、汚れなどを取るのが嫌じゃないかと聞いたら、そもそもスライムは、死体や汚物などを溶かして食べる分解者とのことで特に何も感じないらしい。

 もっとも知識などを与えられたミオは、そういったものを食べたいとは思わないらしいが。


 と言うことで身体も綺麗になったので、寝ることにした。もちろん、気配察知スキルを手に入れたのでミオを抱き枕にして寝た。


 なにか言ってた気がするが、聞こえないし、気にしない。

「おやすみ」

「おやすみなさい、ますたー」



 朝起きて、食事をし、準備を整えてゴブリン退治に出発した。


 昨日と同じように村を中心に回っていく。そうしたら、今回は2体のゴブリンを発見した。どうやら1体ずつでは倒されることを理解したらしい。流石に二日連続で倒されたら気がつくか。


 どう対処しようか悩む。まずは鑑定か。



『鑑定』


 種族 ゴブリン♂ Lv3

 種族 ゴブリン♂ Lv4


 マズい、ミオよりレベルが高い。

 奇襲の方法を考えていく。よし、少し危険だが考えついたのでミオに説明する。

 案の定、役割を逆にするように言われたが、そんな技量俺にはないので無理です。丁寧に説明してなんとか了承してもらった。

 さて、やりますか。


 隠蔽スキルを使い、近づいていく。アイテムボックスから出した短剣二つをミオに手渡す。ミオはそれを受け取り、レベル4のゴブリンに投擲した。

「クギャー! ギギ! ゴブー!」

「ゴブー! ゴブ、ゴブ」


 レベル4ゴブリンの目を狙った投擲は、片目を潰し、額を傷つける結果となった。

 怒り、こちらに向かってくるゴブリンと少し後ろからついてくるゴブリン。


 ミオが素早く後ろのゴブリンに向けて駆け出す。怒るゴブリンがミオに向かいそうになるのを剣を向けて阻止する。

「お前の相手は俺だ!」叫び斬りかかる。


 素早く身を翻し、避けられた。昨日のゴブリンとは動きが違う! そう悟り、中段の構えに戻し、手元を狙う小刻みな動きを繰り出す。

 鬱陶しそうに叫んで、短剣を振り回してくるがリーチの差で当たらない。が、こちらの攻撃も避けられてしまう。


 すでに何回も斬り合ったところで、上段に構え、隙を窺う、そして全力で振り下ろす。

 避けられた! この隙にゴブリンが俺を刺し殺そうと近づいてくる。

 そして、勝ったと確信し、隙だらけとなったゴブリンの首にミオが短剣を突き刺した。



『ポーン♪』


 レベルアップ音が響いた。

 作戦は簡単なものだった。ゴブリンレベル4を俺が抑え、時間稼ぎし、ミオがその間に残りを倒す。ミオが近づいてきたら俺がわざと隙を作り、その隙を突こうとしたゴブリンをミオが倒す。

 まあ問題は、俺が抑えられるのか。そこだけだったが、怒ったゴブリンは動きが単調でどうにかなった。


 さて、ステータスを確認しますか。



『ステータス』


 名前 ユー(長谷川佑衣斗)

 種族 ヒト♂ Lv1

 称号 (異世界人)


 HP 142

 MP 107


 攻撃 11

 防御 12

 速さ 14

 知識 11

 精神 11

 器用 12

 運  11


 スキル省略


 {眷族(1/1)}

 (ミオ)


 はい、やっぱりミオでした。ミオのステータス出てこいや。



 名前 ミオ(水緒)

 種族 {隠密スライム(下忍)}♀ Lv4

 称号 忠臣 癒し系 抱き枕


 HP 420

 MP 70


 攻撃 14

 防御 28

 速さ 42

 知識 14

 精神 14

 器用 28

 運  13

 忠誠 100


 スキル省略


 なんかHPと速さの伸び、凄くない? 俺が三人居ても負けるんだろうな……。

 なんて黄昏ながらドロップアイテムを収納した。

 あれ、ミオは? と思ったら投げた短剣を拾いに行っていた。


「ミオレベルアップだ。ミオはどんどん強くなるな、頼もしいよ」

 頭を撫でる、サラサラで気持ちいい。

「ありがとうございます、ますたー。そういってもらえてうれしいです! もう れべるにの ごぶりんなら さいしょのきしゅうで たおせるかもしれません」


 お、ならレベル2を含むグループのときは、作戦を変えよう。

 ミオが奇襲して、レベル2ゴブリンを攻撃し、そのまま駆け抜けて残りに一撃入れる。それに動揺したところを俺が仕留める。

 ミオに説明し次の戦闘で試してみることにする。


 その後、二組のゴブリンを見つけたが、さっきの組が一番レベルが高かった。特に苦労もなく、倒すことができた。

 どんどんゴブリンを殺すことへの嫌悪感が無くなっていく。


 お昼頃になったのでまた川に行って、お昼ご飯を食べて、水浴びをした。ミオに服を取り込んでもらった後、水の掛け合いをして遊んだ。

 流石に靴下は頼めなかったので、水洗いした。

 石の上に置いて乾かそうとしたら、ミオが身体に取り込んで、水だけ出してくれた。

 そんなこともできたんだ……。次からパンツも洗ってから頼もうと決めた。


 探索を再開し、ゴブリンをさらに一組倒し、南の方に人工物っぽい建物を発見した。

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