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ファーストモーメント4

長い間お休みしていてごめんなさい! はっくん氏です。


 今回から本編へ入ろうと思ったのですが次回が本編突入になると思います! よろしくお願いします!


 新規登場人物:いません

 僕らは学校の近くの駅の改札を通り、いつもとは逆のホームにいた。


「ところで、なんでまたでかい図書館なんかに?」


 僕は遥にそう訪ねてみた。

少し本が借りたい位なら学校の図書室使えばいいし、よっぽど珍しい本でない限り、わざわざ反対方面の電車を使うこともないだろう。

 僕の素朴な疑問に、「あ~言ってなかったね」と言って遥は説明してくれる。


「最近図書館で話題になってる本があるって噂で最近わたし持ちきりでさ、あたしの知り合い達の間でも話題になってるんだよ」


「ほう、で、どんな本なんだよ?」


「それがさー、いろんな噂が出回っててさ、よくわからんのだわ」


 遥は噂好きだから、やはり確かめたい欲があるんだろう。実際にこいつに何遍廃墟に連れて行かされたことか……。


「今回も確かめる、ってことか……」


 僕がため息をつく。……ホントいやなんですが……


「たっくん、あたしが一番有力だと思ってる噂がね、『異界移動』なんだよ!」


「はあっ!?」


 いきなりありえない話が出てきたぞ!? こいつこんな訳わからんことが最有力候補だと思ってんの!?


「ほら、電車来たよ! はやく乗ろ!」


僕は遥に半ば押されるようにして電車に乗り込んだ。

 1両編成の電車は夕方という時間にもかかわらずそこそこには空いていた。

 僕らはベンチシートに腰掛ける。

 遥に僕は小さな声で尋ねる。


「噂ってそれ以外に何があんのさ?」


「そうだね~、例えば悪霊がとりついて図書館を壊しちゃうとか」


「それは確かにすっ飛んでんな」


「他には開けると周りの人たちが全員おじいさんだけになってしまうとか」


「逆玉手箱かよ」


 確かに、全体的におかしい噂だ。まあそもそも噂なんて根も葉もないことが多いんだけど。

 異世界召喚なんて、男の子が夢を見る展開だけど……もうそこそこの年齢だし流石にそんな憧れはもう失せている……はずだが


(どっかで少しワクワクしてる自分がいるんだが……ッ!)


それがなんか悔しいような懐かしいような嬉しいような。

 そんな複雑な気持ちが僕の心のなかをぐるぐる巡る。そのことを遥は知ってか知らずか、


「たっくん、楽しみだね!」


といい、あろうことか僕に抱きついてきた。

 暖房が効いてるとはいえ、まだ寒い車内で抱きついた遥はまあ、その、暖かかった。

 ってそんなんじゃなくて!


「お、おいお前離れろよ!!!!」


「あはは、たっくん照れてる~!」


 そう言ったかと思うと遥はさらにギューッ! と抱きついてくる。そこまで抱きつかれるといくらちんちくりんな彼女の体でも……!


「ちょ、苦しい、痛い!」


「やだもーん! もっと抱きついてやる! いっつもちんちくりんだの何だの言うのを後悔してやる!」


「わ、わーった! 小さいのは撤回してやる! お前はちんちくりんじゃない! 容姿が幼いだけだ!」


「それはもっとひどい! 胸少しくらいはあるしっ! 身長も伸びてるし!」


「あーもー! 分かった、お前はナイスバディーできれいなお姉さんだ! 今まで僕が勘違いしてた!」


「そう? 分かってくれるならそれでいいんだよ!」


 そう言って遥はやっと僕から離れてくれた。――正直、やばかった。意外にも柔らかかった肌の感触が身体に残っている。


「たっくん、暖かかったでしょ?」


「……あぁ、まあ確かに、な」


 嘘をつくことが苦手な僕はつい、本当のことを口走ってしまう。

 やばい、なんか言われるかも、と思ったら、遥はそうでしょー、と言わんばかりに胸を張る。


「あたし、カイロ貼りまくってるから!」


 彼女はそういうや否や、上着の裏側を軽く見せる。

 前にあるカイロは1、2、3、4……5!? こいつ5枚も貼ってんのか! 道理で暖かいはずだわ!


「どぎまぎした僕が馬鹿だった!」


「え、たっくんドキドキしてたの!?」


……あ。

僕は口をすべらせたことに気づく。


「あー、その」


 何とか取り繕うとすると。遥の顔は熟したりんごよりも真っ赤になっていた。

 僕はこの瞬間、妙案を思いついた。


(そうだ、どうせならこのままイジろう!)


「遥、そうか、お前僕に少し言われるだけでそんなになるなんてウブだなあ」


「~~~~~~っ!」


 遥は声にならない声を上げる。

 いつも弄られているのでこういう遥を見ているとついやり返したくなってしまう。……もう少しいじってやる。


「遥っていつも強気なくせになんかあるとすぐに赤くなるよな! しゅぼっとさ、瞬間でりんごみたいになっててさ! 見てるとちょー面白いわ!」


「――たっくん? ねえ、どうしよう、この気持ち」


 顔は赤いままなのに目は全く笑っていない。やばい。告白とも取れそうな言葉が今回ばかりは恐怖の言葉の刃となって僕に襲い掛かってくる。

 すると、


『まもなく、図書館前―、図書館前―』

 

 調度良くなるアナウンス。ここしかチャンスはない!


「ほら! もう着くぞ! 僕は降りるからな!」


 僕は遥から逃げるように急いでかばんを持ち、開いた扉から半ば飛び降りるように降り、猛ダッシュをする。

 その後ろから、


「こらー! たっくん待てぇ~!!!!」


 某警部の如く鬼の形相で追っかけてくる遥さん。これはもう逃げるしか方法がない!!!!

 とりあえず、図書館絵行くのは後回しだ!

 逃げながら謝る方法を考える僕、世里 拓海14歳であった……


続きも鋭意執筆中です! さらに新作も書いています! お楽しみに!

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