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ファーストモーメント2

今回の登場人物

 美郷みごう はるか 中学2年生。ヒロインかも。身長と胸がコンプレ

         ックス。 154㎝

 さかい 皆人みなと 中学2年生。イケメン。非ヒロイン。 171㎝

 夜に雪が降ったらしい。 道端にはところどころ透明な白い雪が溶けかかっている。 道理で寒いわけだ。

 僕はさっきも言ったけど寒がりなので、セーターの上に同色のベスト、そして手袋マフラーと完全装備。 あったかーい心地いい~。


 ほかほかと夢見気分で歩いていた僕は突然の襲撃を防ぐことが出来なかった。


「えいっ!」


 急にマフラーを剥ぎ取られて無様にも『ビクゥッ!』となってしまう僕。

 マフラーを奪った犯人を睨む。 そこにいたのは、


「えっへへ~! ハルカちゃんだよ~!」


 僕の同級生、というか隣の家の美郷みごう はるかだった。


「おい、遥、返せっ」


「たっくんったら、寒がりなんだから~っ! 子どもは風の子だよ!」


 たっくんこと僕は反論する。


「もう中二なんだから子どもは風の子なんて時期はとうに過ぎてんだよ!」


「あははっ。 たっくんが大声あげるの、久しぶり~。 じゃ、もう満足したから返すね!」


「早く返せってんだよ。 ったく…」


 首にマフラーを巻きなおす。 とっても冷たくなってしまっている。

 身体をブルブルさせながら歩くと隣に遥が来た。


「にしても、寒いね~」


 口笛を吹きながら歩く遥。 全然寒そうに見えんぞ。 全然。


「あ、寒そうじゃないって思った? ふふふ! なぜなら、カイロを装着しているからポッカポカなのだ~!」


「うわ、うらやましい。 一つくれ」


「言うと思った。 だから一つ多めに持ってきたよ。 はい」


 遥は持っていたカイロを僕に差し出す。 有難く頂戴する。


「うお~。 あったかーい」


「でしょ。 カイロ今度は自分で買ってきなさいよ」


「わかってるよ」


「昨日も同じこと言ったからね」


「え? そうだっけ?」


「はぁ……。 もういい。 明日も持ってくるから」


「サンキュ。 助かる」


 ナマイキだけど、根はいいやつなのだ、遥は。


「でもさ」


 いきなり遥は僕に話しかける。


「ん?」


「たっくんってさ、あたしの前では結構しゃべるよね~」


「ん~。 話しやすいしな。 気さくな友達って感じかな」


 僕がそういうと遥は、にへら~と笑った。


「な、なにニヤついてんの?」


「だってさ~、あたしのこと、ベストフレンドだって思ってくれるんでしょ?」


「言ってねぇよ。 お前ハッピーなアタマしてんな」


 本心を言うと、遥は急にふくれっ面になる。


「ちぇっ。 少しぐらいノッてくれたっていいじゃん」


「お前のボケに乗ったら言葉の大洪水起こすの目に見えてるから乗りたくない」


「えーい! たっくんのはくじょー者!」


 すねを蹴られた。 ローファーシューズで蹴られたせいか地味に痛い。


「たっくん、反省した?」


 軽く乱れたやや茶色いセミショートな髪を直しながら遥は言う。


「……なんか、ごめん」


 しぶしぶ謝った僕であった。




 遥にさんざん振り回されて精根せいこんともに疲れ果てた僕は学校の席に着くなりばったりと倒れた。

 そんな僕を見た前の席の友人、さかい 皆人みなとが僕に話しかける。


「まーた美郷ちゃんにやられたのか?」


「まぁな…… ってかアイツタフ過ぎ…」


「はは。 タクミは引っ込み思案なとこあるからあれくらいやられないとさ」


「僕はそんなに引っ込み思案じゃないぞ」


「自分で思ってるだけ。 お前ギャルゲヘタクソだろ」


「あ、ゲームで思い出した。 てめー、今度こそはお前にカーレースゲームで勝つ!」


「うわ、話そらした。 ……ま、いいか。 ほう?この完璧チューンの俺様の32GT-Rに勝てると思ってんのか?」


「は? 僕のフルチューンNSX-Rに勝てると思ってんの?」


「ヤッてやろうじゃねぇか」 「おう望むところだ!」


 火花を散らしあう僕たち。 己堺! 絶対負けんからな!



 ……あとで聞いた話だが、その時の僕たちは歯をむき出しにして狼のように唸っていたそうだ。

 ……恥ずかしい。


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