結婚式の風景
如何せん、子供の頃の微かな記憶であるから実際に
その現場を見たのか、はたまたテレビか映画で見たのか
定かではないけれど、昭和のある時期、結婚式が終わって
新郎新婦さんが自動車に乗り込んで出発する。と、自動車の
後ろのバンパーにはいくつもの空き缶がぶら下がっている。
カンカラカンカラ、自動車が発進すれば、当然、道路に
空き缶がはねて音が出る。そんな光景を思い出す。
空き缶をつけたまま、いったいどこまで行ってしまうのか。
小さくなっていく自動車を眺めながら、そんな疑問が頭を
擡げる。まさかあのまま高速道路に乗るのかな?誰にも
尋ねることができずに、この年まできた。そうするとまた
違う疑問がわいてきて。そもそもあの習慣というのか風習は
どこからやってきたものなのかな。とても日本古来のものでは
あるまい。何の根拠もないけれど、戦後、洪水のように
押し寄せてきたアメリカ文化とともにやってきたんだろうと
推測する。
話は変わるが、かつては新婚さんというのはその衣装で
一目でわかった。新幹線に乗ると何組かの新婚カップルが
必ず乗っていたものだ。今では、みんなお洒落になったのと
結婚前と後の差が少なくなったせいか、新婚さんなんだか
結婚前のカップルなんだかさっぱりわからない。
よく言えば、垢ぬけているんだろうけれど、悪く言えば
初々しさがない。
亡くなった叔父さんがグァム新婚旅行から帰ってきたときの
ことを覚えているが、新郎は紺のスーツにネクタイ。新婦は
純白のスーツ。しかし、誰もおかしいとは思わなかったし
むしろ、海外旅行というのは一大時でもあったので正装する
のが当然という雰囲気であった。いま、あんな格好でグァムや
ハワイに行ったら、、、
でも、あんなに暑い中でもスーツ姿で浜辺を歩いている人が
いる。何だろうかと不思議に思って見ていたら現地で結婚式を
挙げる一族であった。
この光景もいずれは「平成の光景」と懐かしまれるのかも
しれない。