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違うんだ

作者: らいらい

有名人になりたいわけじゃない


お金を稼ぎたいわけでもない


自己承認欲求ってわけでもないと無いと思う


基本的にはコミュ障だ


人と話すのはあんまり好きじゃない


一人閉じこもってボーとしている時間の方が多い


PCを前に24時間以上座りっぱなしなんてのもざらだ


そんな私が配信に興味を持ってしまった


動画サイトが時折スマホに流れてくるが


ふと音楽に合わせて踊ってるのを見て可愛いと思ってしまった


そして私だって出来るんじゃないかと


ただ数少ない知人に私だって出来るんだって


「フフン」って鼻で笑いたかったのだ


ただそれだけだ


それから踊りの練習をしながら


気付く


もしかしたら私って思ってたより、にぶい?


それでもなんとかかんとか練習を繰り返す事半年


一応見られるようになった


動画サイトのほうは既に新しい音楽に踊りが以降しているようだが


そんなのはどうでもいい事だ


どうでもいい事だ


ここは大事な事なので何度だって言おう


世間の流行は私には関係ないのだ


そうして洋服を集めることにした


ちょっと短めのスカートにフリフリいっぱいのシャツ


厚底になってる光ってるシューズ


ワンポイントついたオシャレそうな帽子


初めてオシャレというものを意識して買ってみた


家族には内緒だ


出来上がったら見せてあげようと企む


準備もこっそり順調に進んだ


あとは、撮影あるのみ


丁度家族でお買い物に出かけるという日に合わせて


みんなが出かけたのを見計らって着替える


めったに来ないリビングで練習の成果を一人発表


何気に踊れているいる自分に感動を覚えた


それならばと、もう少しキレッキレにと何度か踊っていると


足の指をテーブルの脚にぶつけ悶絶した


少し休憩するかとソファーに寝ころんだ


これがいけなかった


気が付いた時には玄関の扉が開く音がした


「ただいまー」とくれば条件反射で「おかえりー」と言ってしまう


「お土産買ってきたよー」と飛び込んできたのは


目に入れても痛くない娘だった


私を見るなり


その目が


凄く


蔑んだような・・・


「こ、これは違うんだよ」


何を言っても無駄だった


後から入ってきた奥さんも「っはぁー!」とため息をついていやがる


私はもう何を言っても遅いと思い


フリフリシャツにミニスカートでリビングを後にした


夕飯時に気まずい思いでご飯を食べていると


娘が「パパ一度病院行ってみる?」と尋ねてきた


「どうして?」と聞くと


「そういう病気?」ってあるんだって・・・と


いや、パパはそうゆう病気じゃなくてただ面白いかなと思っただけで


でも気遣ったくれた気持ちが嬉しくて涙をこらえていると


娘は優しく「パパはパパだから」と頭に手をのせてくれた


「違うんだー!」と叫びたい気持ちを堪えて


娘に「ありがとう」と言っておく


もう配信なんて私はしないぞ




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