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「お仕事ですか?」


「うむ、お前が言ってたものを作って見たから確認してくれ」


今朝の魔王様も真っ黒な前髪で顔を半分隠し眼帯は標準装備、真っ黒なシャツに真っ黒なズボンに真っ黒なロングブーツ。まだ中二病は進行中なのだ。


「う~ん、やっぱりもうちょい服装に変化が欲しいですよね」


「俺がか?別にいらん」


「いやだって、魔王様のファッションチェック!って企画しても、毎日真っ黒だとコメント書けないじゃないですか」


「企画しなくていい。黒を着とけば合わないことがないからいいんだ」


「理由がまさかのずぼら!」

中二病じゃなくて、もしかしたら休日のおっさんに近いのかもしれない。


とにかくお仕事なので素早く食べ終わり、ケリーにバイバイして執務室に向かう。





「おお!すごいですね!」


そこにあったのは、テレビだ。

超薄型、大画面のテレビがある。


「お前が言ってた情報通りにしたが、これでいいのか?」


「いいです、いいです、そっくりですよ!」


携帯も広めたら便利だけど、まずは情報の伝達に特化したテレビから始めることにした。昔むかし、街頭テレビっていうのがあったって聞いたことがあるので、それを真似て見た。


「ケリーが言う通りに本日のメニューとか載せれるわ」


「食堂のメニューですか。それも良いですが、まずは魔王様の写真をばばーんと載せないといけませんよ」

魔王様大好きっ子、ユリウスさんが口を挟む。


「いや、俺はいらん」


「え~でも魔王様ってばまさかのずぼらファッションですよ。これなんとかしてからじゃないと、画面が黒いだけですよ」


「確かに、少々手を入れる必要がありますね」

私とユリウスさんにじっと見られて魔王様はじりじりさがる。


「俺じゃなくて、まずはお前のインスタをアップとやらするんだろうが!」


そうでした。魔王様に見せていたインスタが意外と面白いそうなのでお城と城下の広場にテレビを設置して配信することになった。

そして国民がテレビに慣れていく間に、SNSの法整備ルール作りを進めて、近い将来に携帯の普及を目指すんだそうだ。

鉄砲の伝来みたいに急に時代が進んじゃうと混乱しそうだしね!


「では、城の中央に設置してよろしいですか?」


この魔王城は四つの低い塔とそれに囲まれた中央塔で出来ている。

各塔には魔法省や人事省、税務省なんかのお役所が入っていて、中央塔は魔王様の執務室や居室、あとは偉い人たちが来た時に使う部屋なんかがある。

その各塔をつなぐ廊下があって、その中央にテレビを設置する。


「まずは、厨房に行って今日のメニューの写真撮って来なきゃ」


「やっぱり食堂のメニューになるのか」


「そうじゃなければ、魔王様のファッションチェックしますけど」


「いや、食堂のメニュー大切だな。うむ、うまい食があってこそ働けるからな」


ということで、ファッションチェックを避けたい魔王様から執務室を追い出され厨房に向かう。






「ワグナーさん、取材に来ましたよ~」


「なんだ?まだ昼飯できとらんぞ」


今まさに野菜を切ったりお湯を沸かしたり、下準備の真っ最中。


「いいんですよ、作っている最中の写真を撮らせてもらうんで」


「お、俺を撮るのか?!」


「そりゃあメインシェフですからね」


そう言うとあちこちから人が湧いてくる。


「俺は?俺も撮って欲しい!」

「厨房一の良い男はどうだ?ワグナーより見映えが良いぞ」

「ワグナーが肉を切ってると殺人現場だと思われるぞ」

「じゃあ、かわいい私達が写ってあげるわ」


わいわい料理人もメイドも集まって来てかしましい。


「あー!うるさい!全員、持ち場に戻れ!口じゃなくて手を動かせ、手!」


ワグナーさんが大声を出すとみんな笑いながら戻っていく。


魔王城はとても平和なのだ。

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