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「ちょ、複製ってどういうこと?」


「ああ、俺の固有スキルで理解したものを複製できるんだ」


ほら、と全く同じ携帯を取り出す。

異世界○Phone、すごい!でも出来ればこのマークはみかんとかに変わってたらパロディでよかった。


「ええ!?これって錬金術?」


「ちょっと違うな。錬金術は素材を集めて錬成することで主に貴金属を作り上げる。俺の場合は既に錬成された素材を使って、その機能を構築することに特化している」


「か」

「か?」

「かっこいい~!」


魔王様はなぜだか真っ赤になって後ろにさがる。

「ななな、なんだ急に!」


「え?だってかっこよくない? と言うことは、魔王様とメッセ交換したり通話したり出来るの?」


「??? メッセとはなんだ?通話とは?」

あ、駄目だったわ。


とりあえず、インスタはなぜか使えるらしいのでいっか。


魔王様は私の携帯と見比べながら

「ところで、ここに書かれているのはなんだ?」

と聞いてきたので目を眇る。


「な、なんだ?聞いてはまずかったか?」

「なに言ってるんですか?これ、私の名前ですよ!」


魔王様はびっくりしている。


「え~ひど~。ペットとか言っておきながら名前も覚えていないなんて、ひど~」


「魔王様、名前を呼ぶのはペットとの信頼関係を構築するのに大切なことですよ」

ユリウスさんの共感がどこで発動するのかがちょっとわからない。


「お、お前が名乗ってないからだろう?」


「ええ~言ったよ?あれ、言ってない?あ、そうだ真名を言うと魂を操られるとか言うじゃん?だから言わなかったのかも」


「言ってないんじゃないか!それになんだ、真名で操られるって黒魔術か?」


魔王様に黒魔術って言われても。


「私達は確かに魔族ですが、誰かを操ったりしませんし、ましてや人間を奴隷にしたり勇者と戦ったりしませんよ」


「そうなの!?え、じゃあ魔族ってなに?魔王様って職業?」


魔王様は眉間に皺を寄せてため息をつく。

「人間がそう言う噂をしているという連絡は受けている。どうにも人間達は妄想癖があるらしく、数十年おきくらいにそう言う噂が流行るんだよなあ」


「前は夜にいつまでも起きていると魔王様が拐いに来るよとか、森の奥に入ると魔王様に追いかけられて食われるよとかありましたね」


それ、良い子のしつけに利用されてるんじゃないかな!?


「まあ、こちらは話が通じない生き物ではあっても、関わらず交わらない隣人として見ているから気にはならんがな」


魔王様の方が人間より圧倒的平和主義!

私を崖から落としたやつ、魔王様の元で倫理観勉強してこい!


あまりにショックで床に倒れた。


魔王様は猫の子を抱き上げるみたいに起こすとソファに座らせてくれる。


「ううう、魔王様が優しい...」


またもや顔を赤くして咳払いをすると

「それで、お前の名前は結局なんだ?」

と聞き直して来た。


「あ、改めてまして、不肖な人間の長崎こころです」


「ナガサキココロ...」


「こころ、が名前で長崎は名字だから。そう言えば、魔王様の名前は?」


「アルベルト・ハイルシュテインだ」


「私はユリウス・ミラーです」


ユリウスさんって結構かまってちゃんだよね。


「で、何でここに名前が載るんだ?」


あ、インスタね。忘れてた。

魔王様と私の知識を擦り合わせた結果、この複製は私がアップした内容を受信するだけの機能しかないらしい。


「なるほど、本来は複雑な機能があるのだな。今後作り変えれば俺もアップとやらが出来るのか」


「国民に配布したら国の知らせを伝えるのが便利になりそうですね」


宰相らしい発言だな。


「でも、国民に配布するなら初めは今の受信するだけにしておいた方がいいかも?」


「なぜだ?」


「う~ん、私の世界でもSNSは便利なんですけどそれ故に弊害もあるんですよ」


「弊害?」


「例えばこの名前ですけどね、私は本名じゃなくてアカウントだけで使うニックネームで登録しています。それって私が誰か特定できないってことなんです。つまりね、私が『今日地震が来るぞ!』とか嘘をアップしても捕まりにくいじゃないですか?だから、そう言う細々した取り決めを作ってからにした方がいいと思いますよ」


魔王様とユリウスさんは意外そうな顔をしている。


「何ですか?」


「いや、意外なくらい真っ当なことを言うなと感心した」

「そんな考えを持てる知能があるペットだとは思わず」


いやいい加減そのペット配役やめてもらっていいですか?

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