表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/161

弐拾七つ目の記録 仏が死んだ日 ②

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

 校門で夏日ちゃん一行と別れ、私は裏口の方へ行った。


 しかし……今日は雪が降るらしい。それに相応しい寒さで、冬将軍が私の首元に斬り掛かって来ている。にも関わらず夏日ちゃん達は全員スカートを短くしている。


 ……うーん、寒く無いのだろうか。


 裏口に回ると、斎が先に来ていた。狛犬は遅刻だろうか。


「……眠い……」

「寒いからね。今日の気温は-2℃!」

「……このまま恒温動物から変温動物になって冬眠してしまいそうです……」

「そこまで饒舌に喋れるならまだ大丈夫だね」


 本当に蛇みたいな体質だなぁ……。


 すると、ようやく狛犬が原付きでやって来た。申し訳無さそうに、しかし元気良く頭を下げた。


「済みませんッス! ちょっと諸事情がありまして……」

「何かあったの?」

「いやー別に……本当にちょっとした諸事情と言うか、個人的な問題と言うか、何と言うか。女性のストーカーが刃物持って暴れたッス」

「うーん大惨事。大丈夫だった?」

「警察通報で即逮捕ッスよ。大丈夫ッス」


 何だかこの人も相応の破天荒な人生を送っている様な気がする……?


 まあ、良いや。


 学校の出入りの為には、カードもしくは認証コードが必要だ。一昔前に色々な事件が起こったから防犯対策が一層強化された。


 それがこの一つ。校門の部分にセンサーが搭載され、認証コードもしくは認証カードが無ければ反応して警報機がけたたましく鳴り響く。それを持っていなくても自由に出入り出来るのは警察組織だけだ。


 事前に私と斎と狛犬のスマホにそれぞれの認証コード、より性格に言うなら認証コードが入っているアプリをインストールさせておいた。


 このスマホを失くせば大惨事だ。同時にこの認証コードは今日限り。明日にはまた別の物が届けられる。


 裏口から入ると、すぐに校長室にまで案内された。何だか高校生の視線を受ける……特に狛犬。派手な真っ赤な髪色だからだろうか。


 それにちょっとダサいブランドの服もかな? 狛犬の美的センスは若干人と連れているらしい。


 校長室のちょっとお高さそうなレザーソファーに腰掛け、校長先生を待っていた。


「……それにしても、光さん、気付いてますか?」


 斎が暖房の効いた部屋だからか少しだけはっきりとした声量でそう聞いた。


「何だか異質な気配?」

「ええ、それです。どうにもこの学校は……何か潜んでいる様に感じます。しかし絶妙に隠れていると言いますか……」

「学校って潜み易いのかな?」

「それならより幼い子供達が集まる小学校や幼稚園や地域子供保護場の方が集まり易いです」


 子供と言うのは宗教的にも大きな意味を持つ。七つまでは神の内と言う言葉もあるのだから。その純真さとその神秘さと危うさは、やはり人の心を大きく揺さぶらせる。


 それは超常的存在にとっても同じなのだろう。


 すると、ようやく校長先生がやって来た。わざわざお盆の上に三つの湯呑みを乗せて私達の向かいに座った。


 白髪が目立つ初老の男性は、レンズの小さい眼鏡を掛けていた。印象だけならバーのマスターでもやっているか、夜にウイスキーを入れたグラスを傾けている格好良さもある。


 湯呑みをそれぞれ私達の前に置くと、一息吐き出し、姿勢を正した。


「初めまして、"畠山宣之(はたけやまのぶゆき)"と申します。ああ、自己紹介は結構。立花光さんから聞いておるので」


 宣之さんはそう言いながら眼鏡を外し、胸ポケットに入れていた布巾でレンズを拭き始めた。


 何だろうこの人、キャラが濃い気配がぷんぷんする。


「さて、三人は、霊能力者……と、言うことで良いのかな?」

「私と斎はそうです。狛犬は違います。それに幽霊とかが見えるのはこの中だと斎だけです」


 私は物理的干渉を受けない存在を見ることは出来ない。見れるのは、狐の目を使った黒恵と、ミューレンと、斎だ。


「ふむ、成程。取り敢えず君達は、そう言う事件のエキスパートであると」

「……まあ、ある程度解決した来たと言えば、そうですね」

「ならば丁度良い。まず私の意見ではあるが、君達の仕事を否定して悪いが非科学的な幽霊を信じない質なのだ」


 おっと……そう言う感じか。大体分かった。この人が快く私達を招き入れた理由を。私は湯呑みに入っているあたたかーい緑茶を飲みながらそんなことを思っていた。


「あれは悪戯だった。何せ多感な時期だからな。この学校の品くらいを下げる行為ではあったが、親や担任にこっ酷く叱られた後だ。これ以上は彼に何も言わないさ。問題は子供達が彼の言葉を信じて騒ぎ立てていることだ。やれ『餓鬼がやって来る』だの、やれ『これは本当は血で書かれている』だの、荒唐無稽な噂で騒ぎ立っている。教師の一部もそう感じているらしくてな」


 お茶の所為で舌を若干火傷してしまった。まあ、理由が当たって良かった。要は、「何も心配いらない」と言えと要求しているのだ。1980年にWHOが天然痘の根絶宣言をした様に。


 まあ、実際に何も問題が無いのならそう言ってあげよう。だが、残念ながらこの学校には何かが潜んでいる。


「そこでだ。君達に頼みたい。『もう心配はいらない』とね」

「本当に心配が無いなら、勿論。ですが、どうやらこの学校には何かがいそうですよ」

「ああ、辞めてくれ。霊感商法は懲り懲りだ」


 これが普通の反応だ。実際信じる人の方が少ない。私も、昔まではそう言う存在は全て物理現象で解明出来ると思っていた。だがその思いは見事に打ち崩された。私にとっても衝撃だった。許せない事実だった。


 だから今も調査を続けている。私は、憤りを感じているのだ。今まで私の目から逃れた神秘と未知を、私の前に引き摺り出してやる。


「代金はもう貰っているのだろう? なら早急に調査を始めて欲しい。ああ、出来る限り目立ち、そして解決したと言ってくれよ? 学校内は自由にしてくれて構わない。先生方には私から伝えておこう」

「ええ、分かりました」


 愛想の良い笑顔を振り撒き、私達は校長室を後にした。


「……さて、狛犬、小声で言ってよ」

「はいッス! 何すかあのジジイよりにもよって俺達の前で言いやがって嫌味ッスか嫌味ッスね餓鬼に襲われて死ぬが良いッスゥ!!」

「はいお疲れ様。ちょっと大きかったけどまあ聞こえてないでしょ」


 生徒達が怪訝な目で見ているが、まあ何も問題は無い。私達は変人としてこの学校の話題になった方が宣之さんにとっても好都合だろう。


「まずは生徒会室? 明香さんがいるかは分からないけど」

「それとも件の女子トイレでしょうか?」

「それなら結局明香さんを探した方が早そうだね」


 夏日ちゃんと同い年なら二年生かな?


 狛犬はもう聞き取り調査を始めた。あのコミュニケーション能力は見習いたい。


 大学生と言うのは良くも悪くも知識オタク。本来不要な学習をわざわざやっていると言うのだから変人奇人か多く知的探究心が桁違いだ。にも関わらずのあのコミュニケーション能力。


 天は二物を与えずと言うが、残念ながら今の時代では正しくない。


 今の多様化した社会ではその才能さえも多様化し、中世や近世では芽生えることの無かった二物目が顕現することは良くある。むしろ三物、四物と、最初こそ二物しか無かった才能は複雑に絡み合い、新たな才覚さえも目覚めさせることもある。


 狛犬の場合は、知的探究心、コミュニケーション能力、そして射撃だろうか。これだけで三物だ。知的探究心は新たな学術的才能を目覚めさせ、コミュニケーション能力は新たな人望を作り出し、射撃技術は新たな器用さと要領の良さも顕現させる可能性さえある。


 おっと、話が連れてしまった。今は調査に来ているのだ。


 どうやら明香さんは二年三組にいるらしい。まさか夏日ちゃんと同じ組だとは。


 すると狛犬は元気良く、しかし不躾に扉を開け、困惑している生徒達をかんっぺきに無視して大きく手を振った。


「明香ちゃーん! 来ましたッスよー!!」


 ……これはこれで非ぬ誤解を招きそうだが、大丈夫だろうか。


 狛犬は美形な顔立ちをしている。その耳と舌のピアスさえ無ければ清楚な雰囲気さえも醸し出す造形での満面の笑みで女子の名前を叫ぶことが、思春期真っ只中の学生達の中でどう解釈されるのか。正解は――。


「せ、生徒会長の彼氏がやって来たぞぉー!!」


 こうなるのである。


 女子からは歓声とも悲鳴とも捉えられるキャーキャーと言う裏返った声、男子からは女子とは若干違う別の悲鳴の声が一部から聞こえた。


「ん? ああ、違うッスよ。別に付き合ったりはしてないッス」


 そう弁明しようにももう遅い。何せ思春期の彼等彼女等は、そう言う色恋沙汰に興味津々なお年頃。ほら、もう教室から飛び出して隣のクラスに話を広めに行った男子が二名。


 すると、夏日ちゃんも気付いたのか、大きく手を振り返した。


「おぉー! えーとえーと……そう、狛犬(こまいぬ)さん!」

「惜しい! 漢字はあってるッスけど狛犬(こまい)ッス!」

「多分分かるよね! やっちゃ!」

「ハイパー!」

「「宮本武蔵ダブルソード!!」」


 あれに続きがあったんだ。最後まで聞いても意味が分からない……。もう異国の文化な気が……。


 ……流行って追わないとすぐに置いて行かれるんだなぁ……。


「さーさーここに来たと言うことはそう言うことだね。あの事件の調査と言うこと」


 夏日ちゃんは明香さんの眼鏡を取り、それを自分に掛けた。きらりと光らせて賢い雰囲気を醸し出そうとしたのだろうが、どうやら視界が歪み過ぎてそれどころでは無い様だ。


「うぉっ案外度が強い……返すねかいちょー」

「色々誤解が広まってるよぉ夏日ちゃん……」

「大丈夫大丈夫。噂なんてどうせ七十五日で消えるんだから」

「二ヶ月半は充分長いよ夏日ちゃん……」


 すっかり注目の的になってしまった。99%狛犬の所為だけど。


 授業が始まるまでまだ時間はある。その間に、生徒会室で詳しい概要を聞いた。


「まず文字が書かれた場所は旧館の三階女子トイレです。旧館の場所は……分かりますよね? 渡り廊下で繋がっているのでそこから行って下さい。一応昇降口はありますけど、鍵が掛かってるので」


 学校の構造はもう頭に入っている。迷わずに行けるだろう。


「……何か質問があれば、授業中で無いなら答えられますので、何時でも来て下さい。但し狛犬さん以外でお願いします」

「何でッスか!?」


 まあ、当然だろう。あんなことが起こったのだ。あれ以上の騒動は起こしたく無いのが本音だろう。


 すると、懐かしい学校のチャイムが鳴り響いた。もう二年以上聞くことが無かった懐かしの音。あの時はわざわざ昴君と一緒の高校に入学したからなぁ……まあ昴君はあの牢獄の方がまだマシの部屋の中に引き籠もって、治療の為に夏休み後に入学って言う形になっちゃったけど。


 さて、調査が始まった。黒恵とミューレンなら「「調査を始めましょう」」とでも言うのだが、生憎二人は旅行……じゃ無かった。調査出張中だ。


 私が先行して旧館に行き、その三階の女子トイレに斎と一緒に入った。狛犬はその前で待機中だ。


 その窓には特に異変は無い。だが妙に綺麗に掃除されている痕跡がある。やはり書かれていたのは真実の様だ。問題はその意図、そして人がやったにしてはおかしい違和感。


 狛犬から借りた虫眼鏡で覗いてみると、白い靄が僅かに見える。さあ、怪異存在か、神仏妖魔存在か。どれだろうか。それともまだ調査が進んでいない幽霊存在?


「どう?」

「……人間です」


 おっと、私が予想していなかった返答がやって来た。


「あれを書いたのは人間です。件の男子高校生が書いたのかは分かりませんが……怪異や、妖の方では無さそうです」

「じゃあ一体何の為に?」

「……分かりません。そう言う思念までは流石に……。ひぃお婆様なら微かな思念を読み取ることも出来ますが……私はまだそこまで出来ません……」

「けど人間が原因って言うのが分かっただけで前進だよ。問題はどうやって書いたのか、何故書いたのか、だけどね」


 そうだ。悪戯にしては手が込んでおり、悪戯で無ければ動機が不明だ。


 人間の仕業なら色々考えられるが……あれ? 一つ違和感に気付いた。明香さんのスマホで見た写真では、白い靄では無く赤い靄が見えていた。


 靄の色が変わった……今まで観測されたことの無い現象だ。赤い靄が敵意や害意を持つ危険な力、白い靄は基本的にその他だ。そこに力があるだけ。


 ……つまり、どう言うことだろうか。


「……光さん」


 赤い靄を発していたのがあの文字だとすれば、この白い力は別の何かが関与しているとした方が納得出来る。だとするとそれをした意味は?


「光さん!」

「……あぁ、ああ、どうしたの?」


 斎の次の言葉を遮る様に、個室のトイレから水が溢れる音が聞こえた。


 入口から考えて三番目の個室からだ。ぴちゃぴちゃと音が聞こえる。水が滴る音、排水管が破れることは無いはずだ。何故なら日本の排水管は――。


 おっと、有機化学の話を考えている暇は無い。兎に角排水管が破れて水が漏れると言うのは本来あり得ないと思っている。勿論100%では無い。整備不良等の理由で破れる可能性も無いとは言い切れない。


 だが、整備に不正でもしていない限り、あり得ないと断言出来る程低い確率。


 個室の扉を開き、中を確認してみると、やはりではあるが洋式便器の中から水が溢れている。斎に目配せすると、彼女は一度だけ頷いた。


 私は大きな恐怖と僅かな好奇心のまま、その洋式便器の中を覗いた。渦巻く水の流れと、その奥に揺らめく異様な気配と不思議な景色。そして匂い。


 腐敗臭、と言うか腐卵臭に近い臭いが鼻腔いっぱいに入り込んで来る。同時に何と言うか、言葉に出来ない異質さがある。


 分からない。ずっと眺めていたい。いや、離れないと、死ぬ。そんな予感が頬を伝う。


 唐突に斎が私の体を引き寄せた。同時に斎の思業式神の一体である細く長い蛇が私の体に巻き付いた。


 その直後だった。その渦巻いている便器の中の水から、痩せこけた腕が突き出された。その腕は栄養失調で亡くなった人に酷似しており、私を探しているのかぐりんぐりんと回している。


 その腕から、腐卵臭が撒き散らされていた。原因はあれだ。


 物理的干渉を受ける、なら神仏妖魔存在か、怪異存在か。カメラでも持ってくれば良かった。


 いや、あの痩せこけた腕、もしかして餓鬼では無いだろうか。餓鬼とは飢えと乾きに苦しむのだとするなら、あの姿にも納得だ。


 なら、神仏妖魔存在で間違い無いだろうか。


 その腕は諦め切った様にだらんと垂れると、また唐突に消えてしまった。


 同時に水の噴出が止まり、打って変わって静寂が訪れた。


「……ねえ、斎」

「もう安心です」

「蛇が首にまで絡まって苦しい……!」

「ああ……! 済みません済みません……! 最近作ったばかりでまだ上手く機能していなくて……!」


 式神には意思が宿る。式神の正体は低位の神仏妖魔存在だ。だが、術者の分身とも言える思業式神でもそうなるのだろうか。


 体中に絡まっていた蛇が、腕を伸ばした斎に巻き付いた。


「済みません……まだ完全に言うことを聞かない子でして……」


 やはり意思があるらしい。何とも不思議な生態? だと思った。


「それで、あれは?」

「餓鬼です。ああ、子供ではありませんよ? その中でも多くいる少財餓鬼でしょう」


 ()()()()、阿毘達磨順正理論にて記述がある餓鬼の種類の一つである。


 無財餓鬼は食べることの出来ない永遠の飢餓に苦しむ者で、少財餓鬼は極々僅かな物だけを食べられる者。食べられる物も膿や血、人間の糞尿や嘔吐物、屍等、不浄な物しか飲食出来ないと言われている。


 少財餓鬼がトイレに、しかも女子トイレに潜んでいると言うなら納得出来る点は何個かある。日本の宗教観だと穢れを忌避し、距離を取っていたことは御存知の通り。……日本の宗教観と言うか、古代インドの思想とそれに影響された仏教が源流だとは思うけど……。まあ、仏教伝来の話は右に投げ飛ばしておいて。


 その穢れには女性の生理等も含まれている。


 穢れの場に餓鬼が寄ると考えれば納得は出来るだろうか……? 同時に経血でも啜っているのだろうか?


 仮説はぐるぐると私の頭を回る。それに、仏滅の日に来ると言う私の予想は外れてしまった。なら一体あの文字は何だったのか。


 謎が謎を呼ぶ。謎が謎を呼んで謎が産まれて謎に育ってしまう。


「……まあ、出来る限り旧館のトイレは使わない方が良いって警告でもしておいた方が良さそうだね」

「……あれが起こることの方がおかしいのですが……まあ、そうですね」


 その件に関しては宣之さんに伝えて生徒に伝達しよう。


 女子トイレの外にいる狛犬にそれは頼んで、私達は調査を続けていた。


 先程水が溢れた便座を何度か叩いてみても、うんともすんとも言わない。


「おーい? 餓鬼さーん?」

「呼ぶのは辞めて下さい……! いえそれで出て来るとは思いませんけど……! 何かあったら昴さんに叱られるんですから……!!」

「多分大丈夫じゃ無い?」


 実際何か起こりそうになればまた斎が助けてくれるだろう。


 ……うーん、何も分からない。むしろ先程出て来た方が異常事態なのだろうか?


「駄目、何も見付からないや」

「やはり、黒恵さんの仮定である境を超える時間にもう一度調査しましょうか?」

「それはまた面倒臭いけど……まあ仕方無いね。私が眠そうになったらほっぺ引っ叩いて良いからね!」

「それをやったら私本気で昴さんに容赦無く殴らせそう何ですが!?」

「大丈夫大丈夫。昴君にバレなければセーフ!」


 バレたら……うん。斎は昴君にぼっこぼこに……。


 流石に理由を説明すれば昴君も手を出さないだろう。少しの間(えいきゅうに)昴君からの好感度が100000下がるけど。


 私達が女子トイレから出ようとしたその時、ふと手洗い場にある鏡に目線を向けた。


 変わらず映るのは、私の顔と綺麗な斎の顔。その鏡の縁に書かれている赤黒い文字。


 一画ずつ、丁寧に、小さく書かれるその文字を、私達はじっと見詰めていた。


 書かれた文字は、たった一言。


 仏が死ぬ


 小さく、それに小学生が書いた様に字体がぐちゃぐちゃだ。赤黒い文字は、水溶性の絵の具の様に溶けて下に伝った。


「……キャー……」

「気が抜ける悲鳴ですね」

「一応言わないと。何か勝手に書かれたし」

「これを見て『何か勝手に書かれた』と言う貴方の胆力どうなってるんですか……」


 こう言う時こそ虫眼鏡。あの魔法使いから貰った虫眼鏡で覗いてみると、赤い靄が濃く見える。


 じーっと鏡の文字を見ても、まあ何か分かるはずが無いのだ。見るだけでは何も理解出来ない。


 触れても赤い塗料が私の人差し指と中指の先に付着する。匂いを嗅いでみると、鼻の神経は何も感じ取らない。無臭……化学合成の水溶性の塗料だろうか。


 有害性は多分無い。指の皮膚に触れてもぴりぴりしないし、危なそうな匂いも無い。


 突然、首に違和感が張り付いた。最初こそ昴君がいない所為でのストレスによる閉塞感や免疫力の低下による風邪か、まあそんな所だろうと思っていた。


 だが、その違和感は数秒も経たない内に否定される。張り付いた違和感は私の首を徐々に強く締め付け、そして気管の圧迫を始めた。


 呼吸が出来ない。隣にいる斎に助けを求めようとも、声が出ない。


 私の視線はまた、いや、引き寄せられる様に鏡へと移った。変わらず写っている私と斎の姿。私の首元に目立つ、赤い痣。


 まるで誰かが私の首を締め付けている様な、赤い内出血。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


最悪だ! 仏が死んでしまった! このまま嘔吐シーンも書いてしまおう! 光の嘔吐シーンはあんまり書いた記憶が無いから!


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ