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弐拾五つ目の記録 磐座の下、その上 ①

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

「……あー、憑いてますね」

「つ、憑いてる!? 誰がですか!?」


 つい先程やって来た依頼人が不安で白米が食べられないと言う必死な表情で私に迫った。


 どうやらこの人はここ最近不幸が続き、悪夢に魘される毎日を送っていたらしい。


 私は机の上にある飛寧の頭に目配せをした。体は私の横に座っている。抜け首と言うのは傍から見れば便利そうだ。


「幽霊だよ。この人に恨みを持ってるって言ってるんだよ」


 飛寧は机に置いてある赤色のぐらすに入っているおれんじじゅーすをすとろーで吸いながらそう言っていた。


 私は狐の目を使い依頼人を覗いていた。人間の姿の超常的存在と言うことは幽霊存在で間違い無いだろう。この人に取り憑いてしまっている。


「ど、どうすれば……!!」

「まあ、簡単ですよ。えーと……在庫は何処にあったかな……」


 引き出しの中を覗くと、昴と斎特製の赤い布地の御守があった。これの効力は抜群だ。何せ人類最強と式神使いの神社育ちの二人が作り上げた御守だ。そんじゃそこらの神仏妖魔存在も寄り付かない毒物みたいな物だ。


「これを四六時中離さずに持っていて下さい。ああ、ですが二日以上持つと危ないので、明日には返して下さいよ?」


 そう言って私は青い布地の御守を渡した。これは何かって? 私が一人で作った何の効力も無い御守よ。


「わ、分かりました……」

「ついでに儀式でもしましょうか」

「お願いします」


 とは言っても、私は儀式のやり方なんてさっぱり。つまりこれは私の好奇心のまま行っている実証実験だ。貴方には実験体になって貰うわ!


 幽霊存在に限らず、超常的存在は信仰によって力を増す。信仰とは悪い言い方をすれば只の思い込みだ。つまり、この幽霊存在はこの人の「悪い霊が憑いているかも知れない」と言う思い込みから力を増し、更に苦しめ、更に思い込みが激しくなると言う循環に陥っている可能性もあるのだ。


 この実証実験はそれを証明する。つまり、これから行うのは、「霊能力者が払ってくれたんだからもう大丈夫だ」と言う思い込みをさせると言うことだ。明日来る頃に症状が緩和していれば、仮説の証明が出来る。


 水道水から入れて来た水をたらたらと依頼人の頭に垂らし、何の意味も無い呪文を適当に念仏の様に唱え、特に意味の無い暴力を依頼人の背中に叩き付ける。


「さあ終わりました。代金は明日にしましょう」


 依頼人は笑顔で帰って行った。人体実験されているとも知らずに……あーっはっはっは!!


 すると、魔魅大隠神と一緒に事務作業していた光が話し掛けた。


「効果が無かったら、詐欺だってネットで叩かれるよ?」

「汎ゆるオカルトが詐欺になったこの時代に?」

「それでもそう信じるしか無い人は多いの。むしろその方が良く来るでしょ? 今回は珍しく本当に憑いてる人みたいだけど」


 光はそう言いながら紅茶を淹れ始めた。


「そう言えば、結局あの川は高龗神が宿ったんだっけ?」


 私は光にそう聞いた。どうやら昴は用事があって少し遅れるらしい。


「そうだね。あのままだとあの川に色々な魔の者が寄って来て人が寄り付けない川になるんだって。それと、あの川の神様があの延原愛衣を作り出す材料になってたらしいよ」

「それも気になるけど……帝国特別宗教学研究結社との接触がまだ出来てないのよねぇ……」


 八重さん達は結社の総督と接触したらしいけど……あー羨ましい!! 何で私の前に現れないのよ!!


 ……はぁ……。……まあ、光も狛犬もきちんと治って良かったが……。


「……それで、昴は何ですぐに来れないのよ」

「色々あってね。詳しく言えば教会関連」

「ああ……IOSPも関わって来るから言えないのね?」

「私からは何も言わないよ」


 やっぱりIOSPの超常的存在対策機動部隊の最高権力者になっておけば良かったかしら。まあ、もう今更ね。


 すると、私のスマホに着信音が響いた。どうやらミューレンからの連絡の様だ。


「もーしもーし」

『黒恵!!』


 怒声に近い声が聞こえた。


『貴方、今日大学に行くって言ってたわよね!! ずっと待ってるんだけど!!』

「……あー……忘れてたわ」

『貴方何時もそうね!! 早く来なさい!!』

「分かったわよ。……と、言う訳で光、行って来るわ」


 まあ、ゆっくりと、急がなくてもミューレンに怒られるだけだ。そのミューレンの怒りがとても怖いけれど。


 そこら辺の自動販売機から缶コーヒーを買って、呑気に飲みながらミューレンとの集合場所を目指した。


 すると、私の黒い帽子に、一つの見慣れない白く小さな小さな、虫と同じくらいの大きさの球体が落ちて来た。


 触ってみると氷の様に冷たい。


「雪? 十月の? 東京に? 雪? 今年は本当に寒くなりそうね……あーさぶさぶ」


 雪は、嫌いだ。故郷を思い出してしまう。そう言う意味では、好きかも知れない。好きでもあるし、嫌いでもある。


 雪は、大好きだ。


 のんびりと、ミューレンとの集合場所に行くと、笑顔のミューレンがいた。但しその笑顔は可愛らしい物では無く、身の毛も弥立つ恐ろしい物だった。


「……黒恵」

「ハイッ!!」

「缶コーヒーを買える余裕はあったのね」

「ハハハ……ハハ……怒ってる?」

「怒ってないわ」

「……嘘が苦手な様ねミューレン」

「良いわよ? 怒っても」

「……辞めて下さい許して下さい私の責任ですはい……」

「……まあ、良いわ。ほら早く行くわよ」


 身を震わせながら、私達は大学へ向かった。


 数学教授に言われた通りのレポートを提出すれば、また数学教授が私の勧誘の言葉を発して来た。


「考えてくれたか。相当な給料も保証されるが。年収三千万以上は保証出来るが」


 そんな機会音声が話し掛けた。


「大学生ですよ?」

「学生でそれだから勧誘しているんだ」


 この大学の数学教授は、一目で覚えられる程に個性的な見た目だ。何せ両足が無く、車椅子で廊下を爆速で走り、口も動かせない所為で首に付いている機械発せられる機械音声でこみゅにけーしょんを交わしている。


 一時期この大学の「夜中に廊下を走る車椅子の男性」として都市伝説になった容姿の所為で記憶に強烈に残るのだ。


「此方としても優秀な人材を見逃す訳にはいかない。大学卒業の後でも良い。どうだ?」

「い、や、で、す」

「一人で大統一理論を証明したその演算能力を評価しての勧誘だ。実験の為の設備も整えると約束しよう。その非科学的な活動も容認しよう。だから――」

「い! や! で! す!」


 教授に背を向け、全速力でミューレンの場所へ向かった。


 だが、先程も言った様に、数学教授は都市伝説にもなった実績のある車椅子の使い手。最高速度は原動機付自転車程度の車椅子の性能を存分に使い、モーター音をけたたませながら、私の全力の脚力と並行を始めた。


「勿論私の手伝いをしろと言っている訳では無い。給料も存分に、この環境なら君の研究も捗るはずだ」

「そんなんだから都市伝説になるんですよばーかばーか!!」

「君と比べれば大体の人類は相対的に馬鹿になるだろう」

「誰かー!! 変人がー!! 変人がストーカーして来まーす!!」


 何とかミューレンがほぼ毎回と通っている研究区域に向かい、自動どあを潜り抜け、えれべーたーを駆使してようやく撒けた。


「……はぁぁ……今は超大統一理論の研究をしてる暇が無いのよ。息抜きではやるけど……」


 ……何だか視線が気になる。


 ……まあ、さっきまで元都市伝説の数学教授と並走していたのだ。目立ちもする。それに私が来ること事態珍しいのだろう。


 どうにかミューレンを探すと、宗教学の教授と、何やら真剣な顔で会話をしていた。


「――と、言う訳で、どうですぅ? バイト代は払いますよぉ。白神黒恵さんを連れて二人で、勿論少し遠いですがぁ……」

「新幹線で二十五分……確かに相当遠いですね」

「……ああ! 黒恵さん! 丁度良い所に!」


 げ、気付かれた。


 物優しい笑顔の宗教学の教授は私に向けて手を振っていた。


 無視しても良かったが、何だか私の好奇心が僅かに惹かれた。この話に乗ればまた好奇心が沸き立つ経験が出来ると、私の勘が言っている。


 ミューレンの隣に座ると、教授はゆったりとした口調で話を始めた。


「今ですねぇ、ミューレンさんにある頼み事をしてましてねぇ」


 相変わらずこの人はゆっくりとした話し方だ。


「少し遠い地域の民間信仰の調査を頼んでたんですよぉ」

「それにバイト代を?」

「ああ、聞いてたんですねぇ。ええ、ええ、そうですよぉ。何せ日本の民間信仰にしては少し珍しくてですねぇ。興味深く思うんですよぉ。場所は和歌山県の西ですよぉ」

「遠い……」

「ええ、ええ、そんなに遠いし、調査も長くしたいので、大体二泊か三泊くらいはしても良いですよぉ」

「お金は?」

「交通費も宿泊費も、領収書を後で提出してくれればこっちから費用として落としますのでぇ。そこからのバイト代は私のポケットマネーですよぉ。私は別の仕事が入ってしまってぇ、この時期にある祭りが見れないんですよぉ。だからお二人に頼もうとしたんですが……どうでしょうかぁ?」


 断る理由が無い。やはり私は運が良いわね!


「その地域では、大岩を信仰しているんですぅ。山の麓に湖があるんですが、その中心に大きな岩の頂点だけが顔を出してるんですよぉ。その頂点に祠が立ってて、この時期になると湖に船を浮かべて祭りを開催するんですよぉ」

「そんなに珍しいですか?」

「古神道と言う観点から見れば有り触れた磐座ですねぇ。ただ、どうやら神様はその下にいるらしいんですよぉ。岩が神様の依代なのでは無く、岩の下に眠っているらしいんですよぉ」

「へー。封印みたいですね」

「どうなんでしょうかぁ? 信仰対象なので何かしらの御利益はあるはずですけどぉ」


 岩の下に眠る神仏妖魔存在……。私の好奇心がどんどんと沸き立ち、胸から溢れて腿を伝って足先に溜まり始めた。今すぐここから走り出して、件の信仰場所へ向かいたい。そんな気持ちを察したのか、ミューレンが私の太腿を強く抓った。


「それで……どうですぅ? 行ってくれませんかぁ? 丁度良く、お二人のオカルト研究にも近しい物だと思いますのでぇ……」

「勿論!」


 二つ返事で了承した。こんな良い話をこの人がしてくれるとは思いもしなかった。


「ありがとうございますぅ」


 何だか気の抜けた感謝の言葉だ。こっちまでふにゃふにゃになってしまう。


 さて、予想しなかった予定が出来た。今すぐ準備しなくては。


「ミューレン、明日には行くわよ!」

「……まあ、すぐに準備すれば間に合うとは思うけど……宿はどうするの?」

「……予約お願い」

「ハイハイ」


 流石私の親友。


 そして次の日。


「かくにーん!! すまほ!」

「持ってるわ」

「お金!」

「持ってるわ」

「替えの服!」

「念の為六着程」

「替えの下着!」

「余り大声で言うべきことじゃ無いわね」

「夜に遊ぶ為のてーぶるげーむもしくはぼーどげーむ!!」

「それは貴方が持って来てるんでしょ?」

「その通り。流石私の親友」


 私達はすーつけーすを引きながら、新幹線の駅前で会話をしていた。


「駅弁でも買っておく?」

「サンドイッチでも買うわ」

「あれ美味しいわよね。はむとちーずだっけ? なら私はちきん弁当を」

「それのケチャップライスも絶品ね」

「あれとまと風味らいすらしいわよ」

「ケチャップじゃ無いの?」

「とまと風味だからけちゃっぷじゃ無いのよ。多分きっと恐らく」

「ずっとケチャップライスだと思って食べてたわ」


 そんな雑談を交わしながら、私達は新幹線に乗り込んだ。事務所の作業は光と昴と斎と狛犬に任せている。あの四人がいれば……まあ、余程のことが無い限り大丈夫だろう。最近夕真さんと出会わないが、祓魔師としての仕事が忙しいのだろうか。


「百年前の旧型新幹線って、和歌山に行くまでに四時間近く掛かったんだって」

「長いわね……」

「さっき歴史区画で見て来たわ」

「四時間近くって、京都に行くのに一時間よ? しかもそれだけの時間が掛かる理由も単なる観光目的だし。不便だったのねぇ」

「まあその何十年後には和歌山に行くのに五分になったけど」

「その新幹線残ってないのかしら」

「全部あの事件の所為で解体されて材料にされたわよ」

「武器の技術は残って、生活を豊かにする技術が失われるって、何だか皮肉ね」

「人類の歴史は数多の戦争と屍と血の積み重ね。それが多く積み上がった物が歴史に大きく名を残すことが多い。今のドイツの大統領よりアドルフ・ヒトラーの方が有名なのはそう言う理由よ。同じくアーサー王伝説が有名なのも、神話が大体神と悪魔の二元論的な戦いの話が多いのも、同じ理由よ」

「J・ロバート・オッペンハイマーが原子力の父として知られて、一般人にはボルンオッペンハイマー近似を知らないのと一緒?」

「ミューレンからボルンオッペンハイマー近似なんて言う量子力学の話が出て来るとは思わなかったわ。それに加えてオッペンハイマーは陽電子も予知して、トンネル効果も発見したわ。科学者としては尊敬出来るけど、日本人としては良い顔が向けられないわね」


 彼女の知識量は広域に渡る。どんな人生を歩めばボルンオッペンハイマー近似と言う言葉を知るのだろうか。そんな疑問を抱きながら、私は凝り固まった肩を叩いた。


 二十五分後、和歌山県に到着。


「さてミューレン」

「何ですか科学者さん」

「和歌山ラーメンでも食べに行く? 良いお店知ってるわよ」


 二人で腹拵えをした後に、目的地に向かった。


 もう、夕方になった頃。ようやく件の地域に着いた。


「遠い……遠いかったわここまで……」


 湧き上がっていた好奇心も鎮火してしまう程に、ここまでの道程が長かった。まさかばすが数時間に一本しか通っていないとは……。


 こ、こんなに長い旅路になるとは……。


「……宿はここから外れの山の中腹ね」

「……遠い!」

「この村にはそこしか宿は無いわよ。それ以外なら……野宿?」

「それも無理!」

「なら歩くしか無いわ」


 ミューレンの未だに生き生きとした声に、私は小さく唸ることしか出来なかった。


 この村は都会の気配は一切感じない。あるのは紅葉乱れる山の肌と、少し大きな木造住宅がぽつぽつと。冷たい風が吹き荒れたかと思えば、羽虫が一斉に飛び立った。


「うわー! 螽斯蟋蟀稲子精霊蝗虫鈴虫轡虫!!」

「良く全部分かるわね!?」

「それに秋赤音もいる!!」

「もういないわよ」

「ミューレンの胸に!」


 直後に、ミューレンの甲高い悲鳴が聞こえた。


「取って! 取ってぇ!!」

「背中に蛾!! 頭に精霊蝗虫!! 右肩には螽斯がいて左肩には大蟷螂!!」

「何で私だけこんなに虫に好かれるのよ!!」


 それはもう、生物に愛される体質なのだろう。だってミューレンだし。


 そろりそろりと近付いて、背中の蛾の羽根を指で摘み投げ飛ばし、金髪の上にいる精霊蝗虫を右手で包み込んで投げ飛ばし、螽斯を手で払い除け、大蟷螂との格闘を制して弾き飛ばした。


 東京だとまず虫が人の近くに寄って来ることが少ないのよねぇ……。ここまで多いと懐かしい気持ちにもなる。


「……宿に着く前から散々だったわ……」


 ミューレンは先程の元気を失い、げっそりとした表情でそう言った。


「宿にも大量にいたりして」

「嫌よ。絶対に、嫌」

「ミューレンは生物に好かれる神々しい存在なのよ。かーみーさーまー」

「貴方だって良く好かれるじゃ無い」

「東京だといないけどね」


 ようやく辿り着いた宿は、この村の中だとまあまあな大きさだが、何処か質素で田舎臭い。雰囲気に合っていると言えば、聞こえは良いかも知れないが。


 まあ、営業が出来ていると言うことは、多かれ少なかれ何かしらの方法で生計を立てることが出来ているのだろう。そんなこと私が気にすることでは無いが。


 若干建付けの悪い扉を開けると、良い楓の香りが漂った。


 まず視界に入って来たのは、体格の良い男性が両手に鎌を持っている姿だった。


「……んお。珍しい。こんな辺鄙な村にまた客人か。あー、予約していたミューレンさんと、黒恵さん。外国の人っぽいからすぐに分かりましたよ」


 どすの利いた重低の声が男性の喉から聞こえた。そのまままるで巨人が歩いている足音を出しながらその男性は外に出て行った。


「……従業員よね?」

「……多分?」

「……身長禍鬼と同じくらいだったわね」

「……2m超え?」

「……まあ、そうね」

「……それに、多分あの人もう少しで()()わ」

「……へー」


 ……ん?


「何で分かるのよ」

「……何でかしら」

「遂にミューレンが壊れた……!」

「遂にって何よ遂にって」


 受付には化粧が濃い女将さんがいた。


「あっら今日は繁盛だねぇ」


 女将さんはミューレンを一瞥すると、にこっと笑った。


「予約のミューレンさんだね。と、なると隣は黒恵さん? 代金はもう頂いてますので、どーぞどーぞ、えーと、桃と椿と金木犀の部屋はもう泊まっている人がいるので、それ以外の部屋なら何処でもご自由に」

「なら紅葉の部屋で」

「あっらミューレンさん口コミ見たねぇ? 良い部屋ですよぉあれ」


 何だか気前の良い大阪のおばちゃんみたいな人だ。これで関西弁だったらもう……飴玉渡されそう。


 ミューレンは鍵を受け取り、私の手を引いて部屋へ進んだ。


「鍵に付いてる大きなきーほるだーって、見ると気分上がらない?」

「唐突ね。気持ちは分かるわ。だってこれ旅館以外で余り見ないもの。見る場所がわくわくする所だけって言う刷り込みの所為ね」

「利便性を求めればかーどでも大丈夫なのに」

「あら、レトロはお嫌い?」

「嫌いでは無いわ。私は功利主義でいたいだけ」

「功利主義の人が自分勝手な好奇心のままで私を巻き込むのは、利己主義だと思わない?」

「なら私は利己主義って名乗るわ。だかられとろは嫌い」


 最近の科学は近代発掘の考古学になってしまっている。汎ゆる高名な学者は過去の技術に魅了され、そして復古主義に成り下がってしまった。その反動の所為か、私は誰も真面目に取り組まずに、幻覚、幻視、幻聴と吐き捨てた物を研究しているのだ。


 だって、イエス・キリストが只の妄想癖で虚言癖持ちの統合失調症だったって結論は、誰も彼も嫌でしょう? 聖母マリアが只の浮気で産まれたヨセフでは無い男性との子を唯一神の子だと誤魔化したなんて結論、誰も報われないわ。


 部屋は質素ではあったが、綺麗に整えられ、旅館に必ずある座椅子が机を挟んで二つあった。


 けーすを置いて、座椅子に座り込んでどう言う訳か常備されている饅頭を手に取りながら、向かいに座ったミューレンの姿を何と無く見詰めた。


「……ミューレン、髪、また白くなってない?」

「え? 白髪かしら」

「それにしては多いわ」


 ミューレンの晴れた金髪の後ろの一束が白く、薄っすらと輝いていた。またあの現象だ。


 瞬きの後に、その白色は何時も通りの金髪に戻ってしまった。


「最近だと、偶に起こるわね。何か心当たりは?」

「あるとすれば……極楽下温泉街に行った時、現世と常世の狭間の世界の後ね」

「ああ、そう言えば片方の目も銀色になってたわね」

「……貴方も、金色に輝いた時があったわよ」

「そう? あれじゃ無い? 神仏妖魔存在の力に浸されると目の色とか体毛が変わるんじゃ無い? 神仏妖魔存在の髪色や瞳色がアジア人から大きく掛け離れてる場合もあるし」

「それなら私は何なのよ。別に昴みたいに神仏妖魔存在と一つになってる訳じゃ無いわ。それに光も偶になるみたいよ?」

「ふーん」


 ……偶然なのか、經津櫻境尊も白い髪色だ。狐の面の下の素顔を知らないから、瞳の色までは分からないけれど……どうしても、無関係だとは思えない。


 ……ま、今は考えるだけ無駄だろう。經津櫻境尊が言っていた上位者と言う存在についても一切の詳細が不明なのだ。


「さて、一休みも終えた所で、件の大岩に行きましょうか」

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


最近動画更新サイトのコメント欄を見るのが趣味なんですが、有名どころになるとちょっと頭がイってる人の返信がちらほらと。某グループチャンネルの某漁師のコメント欄とか、某〇〇キンのコメント欄とか。


……全然本編と関係無い後書きですね。済みません。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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