綺麗な文字が書かれた紙 秘めた恋心
注意※本編とは全く関係のないものです。そして、とても短く纏められています。もうホラーでもありません。……私の作品がホラーじゃないと言われればそれまでですが。
夕真の過去です。
終夜三十年。
あるカトリック教会の出来事。
日本において、キリスト教徒は数少ない。むしろ、日本人は宗教に無関心なのだろう。無関心だからこそ、生活の流れとして寺で神様に祈り、教会で結婚式を挙げる。正月には除夜の鐘をつき、イエス・キリストの誕生日を祝う。
日本とは、そんな国だ。決して宗教に寛容なのでは無い。無関心なのだ。
日曜日。夕真はシスターの格好でミサを終わらせた。
未だに朗読した聖書の内容が頭の中で回っている。ふと、教会内をぐるりと見渡すと、見慣れない美少女がいた。
見た目からして中学生だろうか。夕真は、そんな美少女に目を奪われた。
一目惚れした訳では無く、その美しさに神々しさを感じたからだ。
夕真は、不思議な目を持っていた。その目には他人には見えない力が見えた。夕真はそれを、神から貰っている祝福だと思っていた。宗教は違っても、祈ればある程度の祝福が人に降り掛かる。それは共通しているはずだった。
だが、この美少女は違った。一切の祝福を遠ざけていた。いや、それはこの美少女の意思では無いのだろう。
キリスト教なら父からの祝福が、神道なら八百万の神々からの御利益が、一切無かった。汎ゆる神々がこの美少女を遠ざけていた。
むしろ、一度だけ見たことがある人を傷付ける悪い悪魔の様な力を、その美少女から感じていた。
だが、それでも夕真はその美少女に話し掛けた。
「どうしました?」
その問い掛けに、美少女は顔を上げた。
とても、生者の顔だとは思えなかった。何かに絶望した様に、ただ暗い暗い目をしていた。
汎ゆる物に絶望しているその表情に、夕真は泣き出しそうになった。
「……あの、そんなバカみたいに『自分は不幸です』って顔をしてどうしました?」
その美少女は、夕真の両耳に付いている魚のイヤリングを一切変わらない表情で見詰めていた。
「……僕は……。……神様は、僕を救ってくれる……?」
「ええ。それは勿論」
「……じゃあ……何で僕は……貴方の顔が見えないの……?」
悲痛な叫びにも至らない小さな小さな声だった。
「神は、全てを救って下さります。例え貴方の様な辛気臭くてバカみたいな人でも」
夕真はその美少女を励ます様に手を伸ばすと、背筋に悪寒が走った。
その美少女に手を伸ばせば伸ばす程、その美少女の瞳に宿る殺意を感じ取ってしまった。
困惑し、今にも泣き出してしまいそうな程に、その殺意を感じ取った。美少女は何も言わずに、教会を立ち去った。
そして、次の日曜日、ミサを終わらせると、また教会内にはあの美少女がいた。
「……また、来ていたのですか」
「……救われたいから」
「名前は?」
「……五常昴」
「すばる? 男?」
「……一応」
そして次の日曜日。当たり前の様に、昴はいた。
また次の日曜日。また次の日曜日。また次の日曜日。
毎週日曜日来ていた。何度も話している内に、夕真はその昴に心を寄せた。
そして、昴に向けられた好意に自分が気付いた日曜日、何時も通り昴は来るはずだった。
ミサを終わらせて、教会内をぐるりと見渡しても、昴の姿は見えなかった。どれだけ探しても、いなかった。
どれだけ待っても、どれだけ探しても、いなかった。
そして次の日曜日。やはり、いなかった。
どれだけ待ち侘びても、どれだけ恋い焦がれても、教会には訪れなかった。
そして、数年後。
夕真は高校生になっていた。それでも修道者は辞めずに、シスターの格好でミサを終わらせた。
教会内をぐるりと見渡した。昴が来なくなっても、何時か来ると信じて数年ずっと続けて来た習慣だった。
もう、諦めていた。
もう、意味も無いと分かっていた。
それは、少し違った。
確かに見覚えがある姿があった。夕真は、それを見詰めていた。その視線に気付いたのか、その人は夕真と視線を合わせた。
その人は少しだけ驚いた顔をすると、口角を僅かに上げた。
「久し振りだな。夕真」
「……ええ。本当に」
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。
一応、この作品はラブコメでは無いので、簡単に関係性だけを。もっと深い話はきっと本編でやるはずです。
……どうにも私はラブコメは苦手ですから……出来るかどうかはまた別の問題です……。
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