幸せな転生生活を
その日俺は...死んだ
横断歩道を渡っている途中に、信号無視で突っ込んできた車に撥ねられて。
重症をおったはずなのに数秒間足掻き続けた...死にたくない。
なぜなら...今日はあの「転生したらゴブリンだった件」の最新刊が出たんだぞ?!今買ったばっかりでこれから帰って読もうって時に!
いきなり車に轢かれるだ?おいおいふざけるのもいい加減にしてくれ!
嫌だ!死にたくない!せめて最新刊だけでも読ませてくれ!
そんなことを思いながら俺の視界は暗闇に消えた。
走馬灯が一気に駆け巡る。
お父さんとの記憶、お母さんとの記憶、妹との記憶、友達との記憶、水色の髪の...え?俺この子知らないぞ?誰だっけ
そんな事を思っていると、また目の前が暗くなった。
あれ?なんか眩しいな...ん?
気がつくと俺は若い男と女に抱かれていた。
その時悟った、あっれ?もしかして?!
「転生したあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
「あなた、この子喋ったわ」
「あ、あぁ確かに俺も聞いた、でもまさかなさすがに空耳だろ、
だってこんな産まれたばかりの子がなぁ」
おっと、危ないこういう時は異世界人だということは隠すのがお決まりだ、ならば!
「ばぶぅ」
「あなた!やっぱりおかしいわ!赤ちゃんはそんなばぶぅなんて言わないわ!」
「もっとあぅーとかあぅあぅーとか言うのよ!」
「アリス...お前妙に赤ちゃんの真似上手いな、」
ほうほう...このお母さんらしき人はアリスというのか、ともあれここは、
「あぅーあぅー」
「あれ?普通の赤ちゃんだわ」
「そ、そうだよな?やっぱり赤ちゃんだ!これからこの子を健やかに育ててやろう」
「ええ、あなた♡」
「アリス♡」
おいおい、こいつら子供の前でキスしやがったぞ、このままおっぱじめんなよ?
てか俺をベビーベッドに置いてイチャつくやつがあるか!
とはいえ疑問は多い、例えばなぜ言葉が日本語なのかだがここが日本ということはないだろう。
なぜならこの男も、先程アリスと呼ばれていた女も髪が金髪だからだ。
それにこの家の感じはどうあっても日本ではないだろう。
もっとこう、ヨーロッパ的ないかにも剣と魔法の世界のような雰囲気だ。
興奮してきたなぁ、夢に見た異世界転生!これから強くなってハーレムして!闇に潜んで裏世界の強者!なんていいじゃないか、ムフフ
「あなた、この子が変な笑いしてるわ!まるで致してるときのあなたみたいよ」
「おいおい子供の前でそれを言うなよー」
おっとそんなに顔に出てたか、というかこいつら幸せそうだな。
まぁいい俺も前世ではあまりいい生活は送れていなかったし!この世界で素晴らしい人生を送ってやろうではないか!
とはいえ分からないことは多い、幸い俺は前世の知識もある事だし、色々調べて成長しよう。
あわよくば強くなってハーレム無双を...おっとまたニヤけてるしまった。
見てろよ神様!この世界を本気で幸せにいきていこう。
そう思った時俺の顔を1人の女の子が覗き込んだ。
どうやら俺の姉らしいがちょっと疑問がある。
そう、黒髪なのだ、お父さんもお母さんも金髪なのに黒なのだ。
年齢は4歳といったところだろうか、まだ体付きが未熟だ。
もっとも目が赤く、凄く深くて美しい目をしていた。
その子は俺を見て頬をぷにぷにして、非常に可愛らしい笑顔を向けてくれた。
なんか満足だ!
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5歳になった。
俺はもう体付きもしっかりしてきて、言葉もある程度喋っても疑われなくなった。
分かったことがいくつかある。
1つ目は家族構成だが、父、母、姉、俺で構成されていて、父の名はカーメルド・トリスティアというらしく、なんでも父は結構いい所の出らしいが母との結婚を反対され、家との縁を切ったらしい。
母の名はアリス・トリスティアといい専業主婦だ。
姉はレライエ・トリスティアという。
現在姉は9歳だがそれでも分かるほど姉は美しい。
産まれてすぐの時はなぜ黒髪だろうと思っていたが、なんでもこの世界では髪の色は遺伝しないならしい。なんともおかしい話だ
しかしその証拠に俺の髪も黒い。というか顔も何故か日本人ぽい。
このままだと俺は前と同じ顔になるのでは?
それはさておき、気になる気になる俺の名前は!
レイア・トリスティア、うんうん!実にかっこいい名だ!
と、家族の紹介はこれまでにして
他にも分かったことがある。
この異世界の言語だが、この言葉は日本語というのではなく人語というらしい。
予想していた通りこの世界は、剣と魔法が存在しその階級も存在するらしいが、それがあるということは種族もやはり多く存在し、種族や場所で言葉も違うらしい。
その事は家の書斎にあった本を読んでわかった。
書斎には色々な本があり、英雄ミリスやこの世でもっとも恐ろしい存在と言われているバエルという存在のことが書いてある本もあった。
中でも心を踊らせた本「カリスト英雄譚」にはこの世で最強である8人、八神のことについてのことが書いてあったが、八神の中には死んだ者も多いと言う。
なんとも胸の踊る話ではないか
俺は書斎にあった魔法の本、いわゆる魔導書を読み、日々強くなるための努力を積んでいた。
剣術は母が得意とするため毎日稽古をつけてもらい、それなりにはできるようになった。
しかしもっと強く圧倒的な力を手に入れたいと思うのは、前世のアニメなどで見た異世界転生のイメージが抜けないからだろうか。
それに俺は努力しているものの父にも母にも未だ勝てたことは無い。
俺は父や母に勝つことを第1段階の目標にしていた。
「ハッヤッハッ」
「剣先がブレてるわ、もっと集中しなさい」
俺は今日も朝から母に稽古をつけてもらっていた。
「よし、今日はここまで、昼ごはんにしましょう」
「ありがとうございました」
ふぅーやっぱり素振りだけで疲れるようではいかんな
「レイは頑張ってるわね」
家の中に入ると姉が声をかけてきた
「姉さんも勉強頑張ってるじゃん」
「まぁね学校に行きたいから学力はつけたいのよ」
「ふぅん」
そう、この世界は学力がなければ学校には行けない、小中高とある訳ではなく、魔法学校が3つ剣術学校が3つある。
しかしあまり行く必要性は感じない気もするが余裕があれば俺も行ってみたいところだ。
そんな会話をしながら手を洗い食卓につきご飯を食べる。
「昼からはでかけるの?」
「うん、適当に散歩しようかと思ってる」
実の所俺は友達というものがいない。
まぁ5歳だからそんなに同年代の子が外に出てこないというのが主な原因だが。
友達は欲しいものだ。
お父さんは仕事に出かけている。
なんとも異世界らしい冒険者らしく遠出することもしばしば、しかし大抵は夕飯の時間には帰って来る。
いつも疲れているが今日はどの程度疲れているのだろうか。
帰ってきたら労ってやろう。
ご飯も食べたし俺は外に出かけるか、まぁ毎日同じ道をランニングしているだけだが。
「行ってきます」
「「行ってらっしゃい」」
姉と母の言葉を聞いて元気よく飛び出した。
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