処女鬼女
京都の山奥にある秘湯に来て、宿から三百メートルほども離れた露天風呂に一人で浸かっていた
一人で中天に浮かぶ十三夜の月を眺めていた
ひっそりとしたなかに、微かな足音がして、誰か来るのがわかる
せっかく一人でいたのに、嫌だなと思っていると、背後に人が湯に浸かる気配がして、わたしの横に座った
見ると若い女である
豊かな乳房と白い肌、整った顔立ちで、紅い髪をして・・・ 頭に二本の角があった
「今晩は」と言う
「今晩は」と震える声で返した
「ひとり?」
と聞かれて、軍隊を連れてると答えたかったが、仕方ない。
「はい。でも、もう出るところです」
「折角ですから、ゆっくりしてって下さいな」
秘湯で、見知らぬ若い女性と二人きりというのは夢のような状態なのだが、つのが気になる。全身の勇気を振り絞って、きいてみた
「触ってもいいですか」
「まあ、大胆な、でもぞうぞ」
と手を取って、胸の辺りに持っていく
乳首を挟んで、少し揉んでみる
いいのだが、いま触りたいのはそこではない
女が口づけしようとしてくる、その隙に、つのを掴んで押したり揺すったりしてみる
硬くて、頭に生えている、間違いなく角で、ならこの女は鬼女である
「そこは感じないから、こっちに触れて」
とまた胸に誘う
鬼女だが、胸は柔らかい
「鬼なんですか?」
一応聞いてみる
「そう。鬼を見るのは初めて?」
「は初めてです。普通そうだと思うけど、この辺では出会いが多いんですか?」
「滅多にないと思うわね」
「詰まらない事をきくけど、鬼の角ってなんの為にあるんです? サイとか鹿とか、武器だけど、鬼の角って武器に見えない。フライング角アタックとかしないですよね」
馬鹿な事を聞いている。頭がパニクっているのに、関西人だから、馬鹿言うのをやめられない
鬼女は立ち上がるとわたしの顔の前で一回転した
肌は白く、陰毛は濃く赤い
「角がないと鬼だか人だから分からないでしょう。人と間違えられたくないって、鬼は思ってるの。それに、小さい子を肩車する時なんかに便利。掴んでたら安定して落ちないものね」
「成程、分かる気がするけど・・・」
鬼女はわたしの耳朶を舐め乍ら
「ねえ、あなた、世界を救う英雄になりたくない?」と言った
「はい?」
「二ヶ月後の皆既月食の夜に、鬼太郎(おにたろうである。きたろうではない)ていうおっさん鬼が、若い純潔の処女鬼女を抱いて孕ませると、世に破壊と混乱をもたらす鬼の王が産まれると云われているの。若い純潔な鬼女というのはあたしなんだけど、おっさん鬼は嫌いだし、鬼の王なんて産みたくないし、あなたに助けてほしいの」
えっ、と思う。おれはシュワちゃんじゃないぞ。軟弱な都会の男に過ぎない
「無理だよ。鬼なんてやっつけられない」
そう言うと、鬼女はにっこり笑って首を振った
「そんなこと望んでない。若い純潔の処女鬼女が相手だから、あたしを処女でなくしてくれればいいだけ。簡単でしょ。あたしを抱くだけで、世界を救えるの」
「それくらいなら、なんとか出来るかなあ」
処女の鬼とやれるなんて、滅多にない経験ではある
「あなたって、鬼を見ても案外怖がらないのね」
「ラムちゃんで鬼女は見慣れてるってのもあるかも。えっと、名前は?」
「うずめっていうの」
「石女?」
「違う。うずめ、間違えないでよね。とにかくこっち来て」
と手を引かれて、木陰に連れていかれる。そこにタオルがひいてあった
鬼女が仰向けに寝る
普通にやっていいのかな
口づけして脇から腰を撫で、割目に指を入れて探る。構造は人の女と変わらないようだ。突起を撫でると濡れてくる
もういいかな、と入れてみるが入らない
ん?
何度も試みるがダメである
指で探ってみると、壁がある、これが世に言う処女膜というものか、処女なんて相手にしたことないからよく分からないが、とにかくもう一度試みるがダメである
「どうしたの?」と聞かれる
「うん、処女膜が破れない」
「硬さが足りないとか?」
と指で握る
「十分だろ」
「でもここが柔らかいわ」
「そこは柔らかく出来てるんだ」
「おっさん鬼のが太くて大きいの。あんなの挿れられたら裂けちゃう。あなたのみたいなミニサイズがいいの。何とかしてよ」
いや、ミニサイズって、まあいいけど
「うーん、スリコギ突っ込んで蹴飛ばしてみるとか」
「あんたねえ。怒るよ」
「ごめん。でもなあ・・・ 、蹴飛ばすのはともかく、スリコギいれて、トンカチで叩いてみるとか」
「初体験の相手は? とか聞かれて、スリコギなんていえない。鬼女のプライドにかかわる」
「うん、しかし、世界を救ったスリコギって、部屋に飾って置くけど」
「巫山戯ないで」
「ごめん。でも他の鬼にやって貰うのは無理なのか?」
「それは無理。あたしは畏れ多い存在だから、男の鬼は指一本触れられない。仕方ないなあ、鬼太郎のおっさんに犯されて、鬼の王を産むしかないか」
「逃げるとかは?」
「無理だわ。諦めた。でも、あなたはよくしてくれたわ。二年後くらいにまたここに来てくれる? 子供を見せてあげる。それに、もう処女じゃないから、あなたとやれるわ」
そう言って、鬼女は木々の間に消えていった
鬼女とはやれず、この世も救えなかったが、仕方なかった




