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処女鬼女

作者: 小野遠里
掲載日:2022/10/23

京都の山奥にある秘湯に来て、宿から三百メートルほども離れた露天風呂に一人で浸かっていた

 一人で中天に浮かぶ十三夜の月を眺めていた

 ひっそりとしたなかに、微かな足音がして、誰か来るのがわかる

 せっかく一人でいたのに、嫌だなと思っていると、背後に人が湯に浸かる気配がして、わたしの横に座った

 見ると若い女である

 豊かな乳房と白い肌、整った顔立ちで、紅い髪をして・・・ 頭に二本の角があった

「今晩は」と言う

「今晩は」と震える声で返した

「ひとり?」

 と聞かれて、軍隊を連れてると答えたかったが、仕方ない。

「はい。でも、もう出るところです」

「折角ですから、ゆっくりしてって下さいな」

 秘湯で、見知らぬ若い女性と二人きりというのは夢のような状態なのだが、つのが気になる。全身の勇気を振り絞って、きいてみた

「触ってもいいですか」

「まあ、大胆な、でもぞうぞ」

 と手を取って、胸の辺りに持っていく

 乳首を挟んで、少し揉んでみる

 いいのだが、いま触りたいのはそこではない

 女が口づけしようとしてくる、その隙に、つのを掴んで押したり揺すったりしてみる

 硬くて、頭に生えている、間違いなく角で、ならこの女は鬼女である

「そこは感じないから、こっちに触れて」

 とまた胸に誘う

 鬼女だが、胸は柔らかい

「鬼なんですか?」

 一応聞いてみる

「そう。鬼を見るのは初めて?」

「は初めてです。普通そうだと思うけど、この辺では出会いが多いんですか?」

「滅多にないと思うわね」

「詰まらない事をきくけど、鬼の角ってなんの為にあるんです? サイとか鹿とか、武器だけど、鬼の角って武器に見えない。フライング角アタックとかしないですよね」

 馬鹿な事を聞いている。頭がパニクっているのに、関西人だから、馬鹿言うのをやめられない 

 鬼女は立ち上がるとわたしの顔の前で一回転した

 肌は白く、陰毛は濃く赤い

「角がないと鬼だか人だから分からないでしょう。人と間違えられたくないって、鬼は思ってるの。それに、小さい子を肩車する時なんかに便利。掴んでたら安定して落ちないものね」

「成程、分かる気がするけど・・・」

 鬼女はわたしの耳朶を舐め乍ら

「ねえ、あなた、世界を救う英雄になりたくない?」と言った

「はい?」

「二ヶ月後の皆既月食の夜に、鬼太郎(おにたろうである。きたろうではない)ていうおっさん鬼が、若い純潔の処女鬼女を抱いて孕ませると、世に破壊と混乱をもたらす鬼の王が産まれると云われているの。若い純潔な鬼女というのはあたしなんだけど、おっさん鬼は嫌いだし、鬼の王なんて産みたくないし、あなたに助けてほしいの」

 えっ、と思う。おれはシュワちゃんじゃないぞ。軟弱な都会の男に過ぎない

「無理だよ。鬼なんてやっつけられない」

 そう言うと、鬼女はにっこり笑って首を振った

「そんなこと望んでない。若い純潔の処女鬼女が相手だから、あたしを処女でなくしてくれればいいだけ。簡単でしょ。あたしを抱くだけで、世界を救えるの」

「それくらいなら、なんとか出来るかなあ」

 処女の鬼とやれるなんて、滅多にない経験ではある

「あなたって、鬼を見ても案外怖がらないのね」

「ラムちゃんで鬼女は見慣れてるってのもあるかも。えっと、名前は?」

「うずめっていうの」

「石女?」

「違う。うずめ、間違えないでよね。とにかくこっち来て」

 と手を引かれて、木陰に連れていかれる。そこにタオルがひいてあった

 鬼女が仰向けに寝る

 普通にやっていいのかな

 口づけして脇から腰を撫で、割目に指を入れて探る。構造は人の女と変わらないようだ。突起を撫でると濡れてくる

 もういいかな、と入れてみるが入らない

 ん?

 何度も試みるがダメである

 指で探ってみると、壁がある、これが世に言う処女膜というものか、処女なんて相手にしたことないからよく分からないが、とにかくもう一度試みるがダメである

「どうしたの?」と聞かれる

「うん、処女膜が破れない」

「硬さが足りないとか?」

 と指で握る

「十分だろ」

「でもここが柔らかいわ」

「そこは柔らかく出来てるんだ」

「おっさん鬼のが太くて大きいの。あんなの挿れられたら裂けちゃう。あなたのみたいなミニサイズがいいの。何とかしてよ」

 いや、ミニサイズって、まあいいけど

「うーん、スリコギ突っ込んで蹴飛ばしてみるとか」

「あんたねえ。怒るよ」

「ごめん。でもなあ・・・ 、蹴飛ばすのはともかく、スリコギいれて、トンカチで叩いてみるとか」

「初体験の相手は? とか聞かれて、スリコギなんていえない。鬼女のプライドにかかわる」

「うん、しかし、世界を救ったスリコギって、部屋に飾って置くけど」

「巫山戯ないで」

「ごめん。でも他の鬼にやって貰うのは無理なのか?」

「それは無理。あたしは畏れ多い存在だから、男の鬼は指一本触れられない。仕方ないなあ、鬼太郎のおっさんに犯されて、鬼の王を産むしかないか」

「逃げるとかは?」

「無理だわ。諦めた。でも、あなたはよくしてくれたわ。二年後くらいにまたここに来てくれる? 子供を見せてあげる。それに、もう処女じゃないから、あなたとやれるわ」

 そう言って、鬼女は木々の間に消えていった

 鬼女とはやれず、この世も救えなかったが、仕方なかった


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