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8話 新入生の魔力測定 1

 一人王子に対して敵対心を燃やしていたが、それで一日のスケジュールが変わる訳もなく次のイベントに移っていった。


 新入生はスピーチを聞いた講堂から、作りが堅牢な体育館のような建物、魔法修練場にいどうした。

 修練場には8年前に見たものより巨大な、それこそ人の背丈ほどある魔力測定器がふくすう鎮座していた。


「これより新入生諸君の魔力測定を行う、この測定はクラス分けの参考にするために行うものであり、君達の素質を見極めるものである。

では呼ばれたら順に測定するように」


 修練場まで先導してきた教員が説明した後、新入生の名前を地位の高い順に読み上げる。

 この測定は教員が言ったようにクラス分けの材料になるのだが、それとは別に高位貴族の魔力値の高さを見せびらかすパフォーマンスとしての側面もある。

 わざわざ新入生を集めて見せびらかす真似をしたのはそのためだ。


「ディルトルト・フロスティア殿下、お越し下さい」


 まずは新入生唯一の王族、ディルトルト殿下からだ。

 王子は測定器に手を押し当て、測定器は触れた者の魔力値を導き出す。


「殿下の魔力値は、火が5、その他が1、素晴らしい、殿下は将来素晴らしい魔法使いになるでしょう」


 教員が王子にお世辞を述べる。とは言っても教員の世辞もあながち間違っているわけでもない、本来属性値5以上なんて高位貴族でもそうそうでるものでもないのだ。


 王子は満更でもない様子で下がっていく、新入生達は将来の王に期待と敬意をもって、拍手と歓声をおくる。


 まあ私は仏頂面で突っ立ているだけだが。


 闇属性を馬鹿にしたような(被害妄想かもしれないが)物言いをする王子なんて、反旗‥‥‥を翻すつもりはないがあまり忠誠を向けたいと思わない。


 そんな私の心境とは関係なく測定は続く。


「つぎ、ティム・オーランド」


 次はオーランド侯爵家の長男のティム・オーランドだ、彼も王子と同じ勇者パーティーの一員だ。

 見た目は茶髪を短く刈り込んだガッシリとした体格、将来は最前線で味方を守るゴリラに成長する。

 なおイケメンにはなることはない。


「測定結果は地が5、その他が1、うむきみはよい騎士になるだろう」


 ゲーム通りの属性値、ゲームでの彼は王子の側近の一人であり、パーティーの優秀な壁役でもあった。

 他のゲームだと不遇なことが多い地属性だが、このゲームだとむしろ逆、物理方面では高い能力を誇る。

 魔法攻撃はからっきしだけど勇者を上回るHPと攻撃力ついでに自動回復にはゲームでは大変お世話になった。


「次はマルス・エリンス」


 次に呼ばれたのは青髪に眼鏡の少年、彼も王子の側近で勇者の仲間、エリンス侯爵家の次男マルス・エリンスだ。


「測定結果水が5、風が3、火と地が2、素晴らしい流石はエリンス侯爵家の出身だ」


 エリンス侯爵家は代々宮廷魔術師を輩出する魔法の名門だ、冒険でもその多彩な魔法で勇者たちをたすけてくれる、魔法キャラの宿命かHPはパーティー内で最弱だが。


「つぎはサウス・マルド」


 次に呼ばれたのは長い癖っ毛の金髪の少女、孤児でありながら聖女まで上り詰めた女傑、勿論勇者パーティーの一人である。


「測定結果は光が5、その他が1、おお、流石は聖女様」


 王子の時と同じくらいの拍手と歓声が上がる。

 光属性は教会の影響もあるが、王族と並ぶほど影響力がある。

 ちなみにゲームでの性能は回復と防御バフ特化、まさにパーティーの生命線で何度もピンチを救ってくれる、あと意外にも素の攻撃力がそこそこ高いので、たまに攻撃に出ることがある。

 ファンからの愛称は殴り聖女。


 そんなかんじでお目出度ムードで測定は進んでいく。


「次はミリシア・グラン」


 とうとうわたしの番がきたか。 

 心なしか隣にいる弟の表情が硬い。


「んじゃあ、行ってくるは」


 軽く声を掛けて測定器の前まで行く、教員に促されるまま測定器に手を置く。 


「測定結果は‥‥や、闇が6! その他が4! ここれは!?」


 お祝いムードから一気にお通夜になった。

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