閑話 ある子供の毎年の夏休み
小学三年のときにあいつに出会った。
田舎も田舎に家がある俺の夏休みは近所の友達と海に遊びに行くしかなかった。
毎日外で遊べば肌は真っ黒になる。それがいつもの夏の定番だ。
だがその年は変なやつが浜辺にいた。
同い年ぐらいの男子で、さらさらとした日に当たると赤に見える黒髪に、日に当たったこともなさそうな白い肌。田舎には絶対にいないお金持ちの坊ちゃんみたいな奴だ。
俺達が着ている服よりもいい服を着ている。
普通なら気後れするか、囲んで責め立てるのだけど、その男子は堤防で釣りをするおっさんみたいに疲れた顔で釣りをしていた。
「おい、俺達が泳ぐんだそんな浜の真ん中で釣りすんじゃねえよ」
俺がリーダーだから声を掛ける。不気味で怖いけど下の子達には見栄が必要なのだ。
「あ?ああ、ごめん。端っこの方ならいいかな?オヤジにキス釣って来いって言われてさ」
こたえるそいつは年相応の顔になって困った感じで話す。
「端の方だからな邪魔すんじゃんじゃねえぞ」
「はいはい」
そう言ってあいつは端に移動する。その後はいつも通りに海で遊んだ。いつの間にかあいつはいなくなったけど。
「ごめん。今日も端の方で釣らしてくれない?」
「いいけどよ・・・」
次の日もあいつはやって来た。へらへらと笑いながらやって来た。そして俺達が遊んでいる間に帰っていく。
それが数日続いた。仲間たちは慣れてきて興味を無くしたけど俺は気になって仕方が無かった。
「おいここら辺のもんじゃねえだろ」
ある日我慢できなくて声を掛けた。
「あー、婆ちゃんのとこに夏休みだから泊りに来ててね」
ちゃんと返事を返してくれる。でもその表情は年取った爺さんが海を眺めているように感情がない。
「そんな釣りに来てヒマなのかよ」
「大人の酒盛りに付き合うのはねー。それよりかキス釣って晩飯の足しにするほうがマシでね。大半はオヤジ共に喰われるけど」
そいつの喋りは面白かった。
「どこに住んでんだ?」
「湾の反対側だな。こっちはいいよね綺麗な砂浜があってさ。俺の所なんて金払わないと海水浴場で泳げないんだよ。フェンスを乗り越えて侵入するけど人が多くて海水が濁りまくっているしさ」
「マジでそんなとこあんのかよっ」
「いやいや同じ湾内だよ」
いつも代り映えしない田舎に新鮮な情報は魅力的だった。俺はそいつとの会話に飲め込む。
「っ!」
「あ、なんだよっ!」
へらへらしていたそいつの顔が豹変した。なにか悪いことを聞いたのかもしれないと思っていると、上を脱いでそいつは海に飛び込む。
向かった先には下の子供が溺れていた。あっという間に子供の元にたどり着くと抱きかかえて浜辺に戻ってくる。
「よしよし怖かったな」
そいつはしがみつく子をあやす。他の子達が集まる。俺が見守っておかないといけなかったのに、つい話に夢中で気を抜いていた。友達たちの視線は助けたあいつに集まっていた。これで俺はリーダーの座から降りることになるかもしれない。
「すげぇよっ」
「カッコいい」
称賛されるあいつとは反対に俺には誰もいない。わかる俺の信用が無くなったのが。
ゴッゴッゴッ
「いっ!」
「った!」
「ひぃっ!」
あいつは溺れた子をあやしながら俺と同級生の三人の頭に拳骨を落とした。
「っなんだよぉ!」
「いってぇ!」
「ひっどーいっ」
尊敬の目であいつを見ていたのに、恨みがましい目になっている。
「お前ら、見守りもせずに遊び惚けていただろう」
「「「ひぃっ」」」
あいつの冷たい目で同級生を見ていた。
俺のところにあいつが近づいてきた。
「こいつにだけに見守りさせてたとか言うなよ。上のお前ら全員の責任なんだからな。もしこいつに責任を押し付けたらお前らは大人と下の子達に軽蔑されると思っておけよ」
グイッと肩を掴まれて引き寄せられた。
「来年、もしこいつが一人でいたら遠慮なく今回の事を大人にばらすわかったか」
同級生たちは頭が取れるぐらいに首を縦に振り俺に謝ってくれた。俺も会話に夢中になっていたことを謝る。溺れていた子にも謝ったが、あいつにしがみついたままだった。
次の日からあいつは浜辺に来なくなった。家に帰ったのかもしれない。友達とはあいつのおかげで仲は悪くなることはなかった。
そして一年が経ち暑い夏が来るとあいつはまた釣りをしていた。俺は夢中に話しかける。あいつはたまに本を持ってきていた。ドイツ語らしい、英語じゃないのか?どっちにしろわからないが。
溺れた子があいつが来るとしがみついているようになった。あいつはほっておいているが俺は不満だ。
夏だけやって来るあいつ。釣りか本を読むか俺と話すか溺れた子を乗っけて寝ているしかしないあいつ。
今年もやって来るだろう。
私は日焼けせず白い肌になった。この一年で髪もそこそこに伸びた。胸は・・・まあ成長途中である。いままで男のような格好しかしてなかった私の変化に驚くだろうか。
中学生になったんだ私だって好意を抱いている男の子に女の子として意識してもらいたい。
また彼はあの浜辺で釣りをするだろう。私はその横にいるのだ。
はい、貴光は放置すると女の子ホイホイになります。
祖母の家にいるときの貴光はだらけているので口調が悪いです。
男だと思っていた相手が白くなってワンピース着て現れ貴光ビックリ( ´∀`)はぜろや。
あと溺れた子も貴光にメロメロです。
エクスプロージョンッ!( ̄Д ̄)




