決戦前夜 長尾為景
春日山城 長尾為景
兵「伝令。昨日、新発田城にて、早馬が飛びました」
為景「どのような指示だ」
兵「間違いなく、城に兵を率いて参上するようにかと。3000騎程度集まっているそうです」
家臣たちがざわめいた
直江景綱「殿、どういたしましょう」
為景「金を使って、どこまで集まる」
色部勝長「多く集まっても3500騎が限界です」
為景「なら、できうる限りを集めよ。わし、自ら出陣するぞ」
家臣たち『は』
あやつの予想通りか。
ここまで、計画通りに進んでいると、恐ろしい限りよ。
あやつには、今後は、晴景を支えさせるか。
???「殿ご出陣ですか」
妻の慶と、娘の綾が来た
為景「そうだ、出陣よ」
綾を抱きかかえると、綾は笑い出した。
娘というのは可愛いものだな。
だがこれを武器として扱わなければ、
そうか。綾か
為景「慶、綾の相手は決めたぞ」
慶「どなたですか?」
為景「少々年は離れるが、よい若武者よ。相手は・・・」
長尾勢本陣 長尾為景
為景「相手はどうだ」
色部勝長「は、敵大将は、上条定憲。数は4000と密偵からです」
為景「増えたな」
色部「は。相手はこの一戦を持ってわれらを倒すつもりです」
為景「ほかの部隊はどうだ」
色部「ほとんどの部隊は、魚鱗の構えをしています」
為景「定石道理だな。そうではない部隊の配置だ」
色部「配置ですか。特に突出した武将は、おりませんが・・・。そうだ1部隊目立つ部隊がありました。」
為景「どこの部隊だ」
色部「柿崎家の柿崎定家です。400ほどの部隊で、全員に青の甲冑を付け、通常よりも長い槍を持った部隊がおりました。あれは後詰めかと」
為景「ハハハハハ」
色部「何が面白いのですか」
為景「いや。おぬしだけには教えておこう。今回の戦には、1人黒幕がおる。今回の戦、すべての仕掛け人よ」
色部「まさか、柿崎定家がすべてをしているとでも。確かあのものはまだ10代で、初陣ですぞ」
為景「まさにその通りよ。うちに寝返りたい。だから、ここまで準備したそうだ。奴のおかげで、敵味方の識別をし、上杉に打撃を与える。そして、これをした本人がこちらに着く。それだけでも儲けものよ」
色部「これを本当に1人でしていたら10代にして、本当に化け物ですな」
為景「今後の長尾家の柱よ」
伝令「伝令、先ほど先鋒隊が、上杉勢と衝突いたしました」