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第6話 セカンドエンゲージ、サードエンゲージ、そして



 軽い慣性制御を受けた機体は、どんどんと上昇する。傍から見れば手足の無い謎の物体だ。真っ黒だし。でもまあ、真っ黒でも問題はない。後で色を変えることが出来るというナビ子さんの言葉を信じるだけだ。



 そして。



『脚部構成開始……、イメージいただけますか』



 うーん、さすがに逆足とか多脚はマズいかな。ここは普通に……、普通ってなんだっけ? 確か精霊騎にも逆足型があったっけ。あれはあれで格好良いけど、ちょっとなあ。そろそろナビ子さんからツッコミが入るタイミングだ。急げ俺。


「スタンダードにいくよ。強いて言うなら、ふくらはぎには開閉式スラスターを、それと足首から下は、ちょっとヒールっぽいのが好みかな」


『いただきました。念のためヒールというのは、悪役や回復の意味ではないですよね?』


「足首に何を求めているのかな?」


『申し訳ありません。歴史を知る存在として、細かい事情がありまして』


「なんかよく分からないけど、ナビ子さんも大変だね」


『いえ。……、では脚部構成開始……、創造完了まで、5.865』



 何かあるのかは、分からないけど、ナビ子さんにも色々あるのかな。いつか聞かせて貰えたら嬉しいなって、思ってしまう。



『脚部創造完了。機体反転。衝撃が二つ来ますよ!』


「おうっ! どんとこい!!」


『準光速粒子形成。トローリング開始。電磁場形成。脚部誘引。3・2・1。コール!!』



「セカンドエンゲージぃ!!」



『ナイスコール!』



 どがんどがああん!!



 コクピットの、尻の下、から重たい衝撃がやってくる。いいねえ、こういうのがいいんだよ!


『コネクト。超光速神経伝達動作正常。ちょっと動かしてもらえますか?』


「おっけい」


 脚と胴体だけで、しかも逆さまに上昇している妙な光景だ。それをまともに戻す。


「どっこいしょおっ! こんな感じでいいかな?」


 両膝を曲げて、くるりと反転させて、まだ付いていないけど、頭側を上に持っていく。こんなもんだろ。


『お見事です。では続けていきますよ』


「腕だよな」


『はい。両腕の構成を開始します。リクエストオーダー』


「おおう、結構信じてくれてる感じがいいなあ。応えるよ!」


 考えるのは、これまたスタンダードな腕だ。武装とか、そういう内部ギミックは要らない。これはそういうコンセプトの機体じゃない。ようやっと、それが伝わって来た。理解できた。



「リクエストイメージ!!」


『イメージいただきました。なるほど、シンプルにして拡張性。理解していただけましたか』


「さあ、想像はしたぞ、次はそっちだ」


『両腕創造開始。創造完了まで8.3245……。機体制御は大丈夫でしょうか』


「どういうことだ?」



『今後の事も考え、ナビゲーション精度を2.3%ほど低下させます。エンゲージ可能でしょうか?自信のほどは?』



「ナビ子さんはそれが最善だって思うのか?」


『はい』


「じゃあやるさ。いいよ、それでいこう」


『では……。腕部創造完了。接続まで、3・2・1、コール!!』



「サードエンゲージ!!!」



 なるほど、さっきまでナビ子さんに任せきりにしてきたのが理解出来る。ちょっとだけだけど、自分の操作で合体しろってことか。厳しいけど、嬉しいね、ナビ子さん。



 がっしいいいん!



「まずった!?」


 右腕の合体に意識を持ってかれて、本体がズれたか? 左腕がちょっと遠い。どうする?



 自分でやるさ。それがパイロットだろう!



「うおりゃさあ!」



 素通りしそうになった左腕を蹴り上げる。くるくると回転しながら落下しようとしている左腕を右腕で引っ掴み、それをむりやり左肩に叩きつけた。



 後は任せるよ、ナビ子さん。



『やってくれますね。それでいいんですよ。コネクト開始。超光速神経伝達動作正常。腕部合体完了!』


「ふぅー、スパルタだね」


『何となくご希望している気がしまして』


「流石はファジーなAI分かってる」




『ありがとうございます。さあ、次で最後ですよ!』



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